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諦めるのはもったいない! 「後継者がいない会社」の解決策

帝国データバンク(全国企業「後継者不在率」動向調査)のデータによると、全国の企業の約60%が後継者不在。日本の中小企業における後継者不足問題はもはや「まったなし」の状況なのです。本記事では、後継者不在の会社がとるべき解決策を解説しています。始めやすいものから実践してみてください。

自社の魅力を言語化し、アピールする

家族であれ、従業員であれ、第三者であれ、「この会社を継ぎたい」と思ってもらうには、なにかしらの魅力が必要です。「当社の魅力はこれです」と言葉で表現できない会社の後継者になろうと思う人はほぼいないでしょう。

後継者不足で悩んでいる会社のうち、かなりの割合は、この問題が背景にあると考えられます。つまり、経営者が自社の魅力を把握しておらず、正しくアピールできていないため、後継者候補が集まらないということです。

とはいえ、10年、20年と続いた企業なら、何かしらの魅力はあるはずです。あくまで魅力に気づけていない・アピールできていないのが問題であり、魅力自体は必ず備わっている可能性が高いものです。

自社の魅力を把握する最も簡単な方法は「普段の取引先が、なぜ自社を選んでくれているのか?」を考えること。最初は「向こうの社長さんと仲が良いから……」「昔からの付き合いだから……」といった曖昧な理由しか思いつかないかもしれませんが、よく振り返ってみれば「納期を必ず守っている」「品質に強い責任を持っている」「従業員のモラルが高い」など何らかの理由が見つかるはずです。

「これは当たり前だから魅力にはならないだろう」と思考を止めるのではなく、「この当たり前こそが、実は大きな魅力なのかもしれない」と一歩踏み込んで考えてみるのがポイントです。

自社の魅力を言語化したら、しっかりアピールすることを心がけます。これは次項の「パーパス」にもつながりますが、従業員に対して口頭で伝えるのもいいですし、ホームページ求人情報に掲載するのもいいでしょう。

「パーパス」をつくって発信する

ここ数年は、「パーパス経営」が注目されています。「パーパス」とは企業の存在意義を指し、「何のために組織や企業が存在するのか」「社員は何のために働いているのか」を言語化したものといえます。ややこしいですが、「企業理念を経営目線ではなく、より社会的な視点で解釈したもの」ともいえるでしょう。

パーパスがあることで、従業員の精神的な支柱になります。目標を決めるとき、判断に迷ったとき、部下に指導するとき、取引先やお客さまに接するとき……さまざまなシーンで使える共通言語のような役割を果たします。その結果、組織の一体感が生まれ、困難や会社の岐路というべき状況に対峙したときも乗り越えられる可能性が高まります。

「自社にパーパスがない」という企業は、事業承継を機につくってみるのもおすすめです。パーパスをつくるときは「なぜ自社が存在するのか?」「社会に対してどんな価値を提供したいのか?」「10年後、20年後、どのような企業になっていたいか?」「絶対にやりたくないことは何か?」といったことをアウトプットします。煮詰まったら従業員や親族に聞くのもいいでしょう。

M&A(第三者承継)をする

M&Aとは、自社株などを外部の法人や経営者へ譲渡する事業継承の方法です。M&Aを専門に扱う仲介会社も存在するので、後継者がいなくても事業承継ができる可能性があります。
M&Aを行うには主に次の4つの方法があります。

①株式譲渡

売り手側の株式を買い手側の会社が買い取って経営権を取得する方法です。もっとも事例の多いM&Aスキームといえます。

株式譲渡については、こちらの記事からご覧いただけます。
「売買・贈与・相続のどれを選ぶ? 株式譲渡による事業承継のメリット」

②事業譲渡

事業譲渡とは、売り手側の保有する財産(事業)の一部またはすべてを買い手側の会社へ売却する方法です。経営者は所有するすべての権利も譲渡することになるので、そのまま引退するケースが一般的です。事業譲渡では、売り出したい特定の事業だけを選べるため、残す事業を絞り込むときにも有効です。後継者不在で悩んでいる中小企業の選択肢の1つといえます。

事業譲渡については、こちらの記事からご覧いただけます。
「間違える人多数! 「事業承継」と「事業譲渡」の違いとは?」

③会社分割

これには吸収分割と新設分割の2種類があります。吸収分割は事業に関する権利を買い手側の会社へ切り渡すスキームです。新設分割は事業に関する権利を新たに設立する会社へ承継させる方法です。

吸収分割については、こちらの記事からご覧いただけます。
「「吸収分割」とは? 「承継会社」と合わせて解説!」

④合併

複数の会社を一つに組織再編するスキームです。こちらも1社だけ存続させてほかの会社を吸収する方法と新会社を立ち上げる方法があります。

まとめ

後継者不在を理由に廃業を選択する中小企業は少なくありません。しかし何年、何十年と続いた会社に対して「うちの会社なんて誰も引き継がない」と諦めてしまうのは社会にとって大きな損失です。必要に応じて専門家に相談しながら、自社にできる対策を考えましょう。

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賢者の選択サクセッション編集部

日本の社会課題である事業承継問題を解決するため、ビジネスを創り・受け継ぐ立場の事例から「事業創継」の在り方を探る事業承継総合メディア「賢者の選択サクセッション」。事業創継を成し遂げた“賢者”と共に考えるテレビ番組「賢者の選択サクセッション」も放送中。

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