COLUMNコラム
家族間で会社を承継、デメリットばかりではない理由とは 「血をつなぐ」難しさも
日本経済の重要課題である事業承継問題を専門家とともに学ぶ「サクセッションアカデミー」(主催・一般社団法人サクセッション協会)の第5回が5月22日、東京・銀座とオンラインで開催され、「事業承継の初歩的な構築」をテーマに親族間での承継の長短について理解を深めました。
目次
「動くとき」は大きなビジネスチャンス
サクセッションアカデミーは、事業承継が抱える課題を浮き彫りにし、企業の持続可能な成長へと導くことを目的として設立されました。メガバンク出身の同協会代表理事、原健太郎氏と、外資系企業で約30年以上にわたりコンサルティング業務を経験した同協会フェローの中山良一氏が講師を務めます。
日本における事業承継は、グローバル化やデジタル技術の進化、労働環境の変化などにより、「単なる引き継ぎ」では解決できない課題を多く抱えています。将来性や持続可能性、多様性を考えた事業の再構築も必要です。
家族間での承継では、こうした企業文化の変革は一見難しく見えますが、専門家は長短両方の側面があると指摘します。
中山氏は「家族承継による事業承継は、ファミリービジョンを明確化でき、好ましいケースもある」と言い、「動くときが一番お金をとれる」とも指摘します。事業承継は大きなビジネスチャンスであり、新事業へのチャレンジや積極的な投資が必要であると解説しました。
とはいえ、一筋縄ではいかないのが家族間の承継です。原氏は「血のつながった人が喧嘩をせずにバトンを渡す難しさ」を強調し、家族間の微妙な関係性の中での承継の難しさを指摘しました。
家族承継の方法のヒントを提示
質疑応答では、「継ぐ立場の人間が、先代社長に家族会議の重要性や定期開催の大切さをどうやって切り出し、説得していったらよいのか教えてください」という質問がありました。
原氏は「継ぐ側の人間が経営者に家族会議の重要性を認識させることが大切で、継がせる経営者とセミナーへ行く、質問攻めにするといったことを行い、事業承継の重要性をわかってもらうしかない」と答え、無理やり事業承継を強いるのではなく、「その気にさせる」ことがポイントだと話しました。
サクセッションアカデミーは、会社経営に関わる人や事業承継に興味を持つ創業希望者が有料で参加できます。詳しくは、「賢者の選択サクセッション」ホームページで確認できます。
取材・文/松田謙太郎
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