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事業承継のみなし譲渡課税とは? 消費税に注意!

税金がどのくらい発生するのか、発生する場合は税金を抑えることはできるのか――そんな疑問を抱える方は少なくないはずですが、意外な落とし穴となるのが「みなし譲渡」です。本記事では、事業承継におけるみなし譲渡の注意点や税金について解説しましょう。

事業承継における「みなし譲渡」とは?

「みなし譲渡」とは、個人や企業が無償もしくは著しく低い価格で資産などを譲渡した場合に、時価で譲渡したとみなして税金を計算されること。実際、事業承継を行なう際に「みなし譲渡」となるパターンは多く見られますが、このみなし譲渡には税金がかかることを知らない方もいるようです。まずは、「みなし譲渡」に当たるケースをいくつかご紹介しましょう。

①土地や建物などを譲渡する

土地や建物の無償もしくは時価よりも著しく低い金額での譲渡は、みなし譲渡となります。ただし、譲渡する物件の種類によっては、特別控除が適用される場合もあります。

②株式を譲渡する

株式も譲渡した場合も、みなし譲渡になります。ただし株式に関しては、購入時期が古かったり亡くなった方からの譲渡であったりすると、取得した金額が不明の場合があります。その時は、同一銘柄ごとに売却代金の5%を取得価格として計算することが可能です。

③無利息や低利息で借金をする

実際にお金を譲渡していなくとも、無利息や低利息でのお金の貸し借りも、みなし譲渡と判断される場合があります。

個人から個人へ株式を移す場合の注意点は?

事業承継のタイミングでみなし譲渡と判断されるケースは、個人から法人へ譲渡する場合で多く発生しますが、株式を個人間で承継する場合にはどうなるのでしょうか。個人間の譲渡として、3つのケースを解説しましょう。

①個人から個人に売買するパターン

個人から個人への株式承継は、その売買の対価のほとんどが現金での受け取りになるでしょう。当然その所得に対しては所得税や消費税がかかり、承継される個人には贈与税がかかります。不動産を取得した場合は、継承する側と同じように所得税や消費税を支払う必要があります。

②個人から個人に譲渡

この場合は、渡される側に株式評価額に応じた贈与税が発生する場合があります。

③個人から個人に相続

相続の場合は、相続を受けた方が相続税を支払いますが、相続する株式の価値によって相続税は変わります。

個人から法人へ株式を移す場合の注意点は?

次に、個人から法人に承継するパターンを挙げてみましょう。

①個人から法人に売買

売買に関しては、個人間と同じように売却側は所得税と消費税を支払います。買う側の法人は、法人税を支払います。

②個人から法人に譲渡

個人から法人に譲渡する場合は、みなし譲渡所得と判断されるケースがあり、この場合はみなし譲渡所得課税が発生します。個人から法人に無償や低額で譲渡する場合もみなし譲渡となりますが、売買の時のように消費税は発生しません。

③個人から法人に相続

この場合も売買や譲渡と同じように、法人側が法人税を支払うことになります。

みなし譲渡にならない事業承継のポイントは?

実は、個人から法人へ譲渡するときに、みなし譲渡となるのを回避するポイントがあります。それは、時価の2分の1以上の価格で売却すること。不動産であれば、時価を確認するためには公示価格や周辺の相場を調べることで予想がつきますから、この価格をもとに売却することをおすすめします。

まとめ

事業承継においては、個人や法人という立場によって、また承継する方法によってさまざまな税金が発生します。税負担をすこしでも軽くするために、自社がどのケースにあたるかを事前に想定し、専門家の手を借りながら事業承継を進めることが大切。

支払う税金の種類もたくさんありますから、正しく処理をしなければ思いもよらないトラブルのもととなります。ただでさえ費用や手間がかかる事業承継ですから、想定外の出費で困らないよう、早めに準備を進めましょう。

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賢者の選択 サクセッション編集部

賢者の選択サクセッションでは、⽇本経済の課題解決と発展のためには、ベンチャー企業の育成と併せて、これまでの⽇本の成⻑を⽀えてきた成熟企業∕中堅‧中⼩企業における事業承継をフックとした経営資源の再構築が必要であると考えています。 ビジネスを創り継ぐ「事業創継」という新しいコンセプトを提唱し、社会課題である事業承継問題に真摯に向き合うことで、様々な事業承継のケースを発信しています。 絶対解の存在しない事業承継において、受け継いだ経営者が事業を伸ばす きっかけとなる知⾒を集約していきます。

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