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「税金」と「手数料」に注意! 事業承継にかかる費用を解説
事業承継にはまとまった費用がかかるもの。「費用が捻出できないから」と、事業承継の計画を先延ばしにしている経営者も多いでしょう。とはいえ、いつまでも先延ばしを続けるわけにはいきません。まずは本記事で事業承継にかかる費用を把握することから始めましょう。
目次
事業承継にかかる費用:税金
まず、事業承継時にかかる税金を挙げます。大きく分けて、相続税、贈与税、登録免許税・不動産取得税の3種類の費用がかかります。
相続税
相続税は、資産を相続するときに発生する税金のこと。オーナー経営者が死亡した際、親族が会社を継ぐ場合は、後継者が相続税を納める必要があります。
相続税の特徴は、累進課税制度が採用されていること。相続額が多くなればなるほど、税率が高くなり、納める税金の額も増えていきます。相続税の対象となるのは、相続時の取得額。税率は10%から55%までです。
注意したいのは、相続税の納付は現金に限られている点。後継者の手元に現金がない場合、融資を受けなければなりません。特に不動産など、現金以外の資産を多く相続する際には注意が必要です。
ここでチェックしておきたいのは、中小企業の事業承継をサポートするために設けられた「事業承継税制」。非上場株式の承継で発生する贈与税・相続税が猶予されます。
ただし、適用にはいくつか要件がある上、2018~2028年の10年間の時限措置となっています。2023年3月31日までに各都道府県に特例承継計画を提出し、確認を受けなければなりません。適用を希望する場合は、すぐに動き出すことをおすすめします。
贈与税
贈与税は、先代の生前に資産を贈与したときに課せられる税金のこと。事業承継では、後継者に対して税金が課されます。こちらも相続税と同じく、累進課税制度が採用されています。
なお、2500万円までの資産贈与は非課税です。経営者は控除を用いて節税し、後継者の負担軽減に努めましょう。
相続税と同様、贈与税でも「事業承継税制」は要チェックです。これまで、贈与側と受贈側は各1名に限定されていましたが、事業承継税制の改正によって、双方で複数人の承継が可能に。経営者だけでなく、配偶者などの株式も納税猶予対象になりました。
ただし、こちらも適用を受けるには、2023年3月31日までに対応が必要です。
登録免許税・不動産取得税
登録免許税は、会社登記や資格登録などの際に課せられる税金。不動産所得税は、土地や建物を取得したときに課せられる税金です。
いずれも事業承継税制の要件を満たせば減税されます。登録免許税は、会社分割の登記で税率が0.4%に。不動産取得税は、土地や建物を取得した場合は固定資産評価額の2.5%となります。
事業承継にかかる費用:手数料
次に、事業承継にかかる費用として、専門家に相談したときの手数料を挙げます。
会計士・税理士に支払う費用
まず思い浮かぶのが、会計士・税理士に支払う費用でしょう。事業承継において、資金面の悩みや課題をサポートしてくれる役割です。
相続税・贈与税の計算や自社株の評価をしたり、事業承継計画や経営計画、税務署などに提出する書類を作成したりする際には、会計士・税理士が頼りになります。
一般的に、事業承継をトータルサポートしてくれるメニューに加え、個別で書類作成などをサポートしてくれるメニューもある場合がほとんどでしょう。事業承継税制に関する書類を作成してもらう場合には、30万円程度からが相場です。
初回は無料で相談できることも多くあります。事業承継の取り組みが本格化する前にまず相談し、相手との相性や知識レベルなどを探っておくのも一手でしょう。
弁護士に支払う費用
次に、弁護士に支払う費用です。法律相談や契約書のチェックなどを依頼できます。経営者個人の相続について相談するケースもあるでしょう。
弁護士に支払う成功報酬は取引の10%が相場とされており、これに加えて相談料や着手金が必要になります。依頼前の相談料は、1時間あたり5000円~1万円が相場。継続的なサポートを受けるため、月額の顧問契約を結ぶケースもあります。
特に相続で気になることがあれば、民法に通じている弁護士に相談するのがベストでしょう。相続や遺産をめぐるトラブルを防ぐために、弁護士の知恵を借りましょう。
またM&Aによって事業承継する際には、契約書のチェックやリスク管理などを依頼します。
M&A関連会社に支払う費用
M&Aを検討する際には、M&A仲介会社やアドバイザーにサポートを依頼することとなります。
1億円の売却益が発生する事業承継では、費用相場は500万円程度です。
まとめ
常に費用の問題がついて回る事業承継。まずは事業承継にかかる費用を大まかに把握することから始めましょう。特に事業承継税制の適用を希望する場合には、早期から動き出す必要があります。どのように進めていいか悩む場合は、まず専門家に相談することをおすすめします。
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