COLUMNコラム
無料で利用可能! 「後継者人材バンク」のメリットとデメリットとは?
昨今、後継者不在などを背景に事業承継を断念する中小企業が増えています。そうした問題に対応するため、事業承継・引継ぎ支援センターが実施しているサービスが「後継者人材バンク」です。本記事では、後継者人材育成バンクのメリットとデメリット、利用する流れについて解説します。
目次
後継者人材バンクとは?
後継者人材バンクとは、後継者不在の企業や個人事業主と、創業に意欲を持つ人材を結びつけるためのマッチングサービスのこと。後継者不足に悩む中小企業にとって、適切な後継者を見つける手段として利用されています。
後継者人材バンクを運営しているのは、各都道府県に設置されている「事業承継・引継ぎ支援センター」。地域ごとの商工会議所や中小企業支援機関が主催しています。
事業承継に関する相談や情報・アドバイスを提供するだけでなく、適切な後継者候補の紹介やマッチングサポート、さらには事業承継の手続きや税務、労務などの専門知識を持つ専門家との連携も図られており、円滑な事業承継をサポートしています。
「後継者人材バンク」のメリット・デメリット
それでは、後継者不在で悩む中小企業が後継者人材バンクを活用することのメリット・デメリットを見ていきましょう。
「後継者人材バンク」の3つのメリット
①多くの候補者から選べる
後継者人材バンクには、多様な経験やスキル、そして経営に対するやる気を持つ候補者が登録されており、自社の経営方針に合った後継者を選ぶことができます。
②コスト削減
紹介を受けた外部の専門家などに業務を依頼しない限り、後継者人材バンクは無料で利用できるため、人材を見つける活動にかかるコストを抑えることができます。
③サポート体制
後継者人材バンクを運営している機関が、事業承継に関する相談や支援を行っているため、安心して活用できます。
「後継者人材バンク」の3つのデメリット
①知名度が低い
後継者人材バンクは知名度がまだまだ低く、登録する候補者の数も豊富とはいえません。今後、登録者数が増えれば、マッチング精度はより向上するものと考えられています。
②候補者の質のばらつき
登録者の経験やスキルが多様であるため、適切な後継者を見つけるためには、厳密な選定が必要となります。
③事業承継までに時間がかかる
親族内承継と異なり、候補者とはさまざまな条件面での取り決めを行う必要があります。 また、後継者に中小企業者等の思いを十分に理解してもらえるまでに時間がかかる場合があります。
「後継者人材バンク」を利用するまでの流れ
後継者人材バンクを利用する際の基本的な流れは、以下の通りです。
①事前準備
後継者人材バンクを利用する前に、自社の事業承継の方針や要件を明確にしておくことが重要です。これには後継者に求める条件、業務引継ぎのスケジュールや方法、経営権の移譲方法などを含めることが望ましいです。また、自社の魅力や強みをアピールするための情報もまとめておきましょう。
②申し込み・面談
各地域にある事業承継・引継ぎ支援センターに登録して、後継者人材バンクの説明を聞きましょう。
③登録
企業情報と後継者募集情報を提供して登録します。登録時には、事業内容や業績、経営状況などの詳細情報が求められます。また、後継者に求める条件や経営ビジョンなども明記しましょう。
④候補者とのマッチング
マッチングは事業承継・引継ぎ支援センターが行います。両者が面会を希望する場合、秘密保持契約を締結し対面での話し合いです。面談の際には、候補者の経歴やスキル、適性、人柄などを総合的に評価しましょう。また、将来的なビジョンや成長意欲も重要なポイントです。
⑤条件交渉
条件交渉に進むことになった場合、経営権の移譲や報酬、業務引継ぎのスケジュールや方法など、具体的な条件を決めましょう。契約書の作成などは専門家への業務依頼なので有料ですが、それ以外は事業承継・引継ぎ支援センターの無料サポートを受けられます。
⑥成約
各条件を両者が合意した後、事業承継の手続きに移行します。これには、株式譲渡や役員登記の変更、金融機関への届け出などが含まれます。事業承継にあたっては、引継ぎマニュアルの作成や、後継者が参加する会議のスケジュール調整、重要な取引先への挨拶なども進めるようにしましょう。
まとめ
後継者人材バンクは、とりわけ「後継者不在だが、会社を存続させたい」と考えている中小企業経営者にとって有益な選択肢の一つです。メリットとデメリットを十分に理解し、適切な活用方法を見つけることで、事業承継をスムーズに進めることができます。
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