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事業譲渡類似株式とはどういったもの? 概要や具体例、財務上の留意点を解説

事業譲渡類似株式という言葉をご存じでしょうか。事業譲渡類似株式とは特定の条件において株式を譲渡した場合に適応される課税のルールです。ただし、要件や関連する法令が複数あるため、正しく理解できているという方は少ないのではないでしょうか。そこでこの記事では事業譲渡類似株式について詳しくまとめました。事業譲渡類似株式の概要や要件、財務上の留意点などについて分かりやすく解説するので、ぜひ参考にしてください。

譲渡事業譲渡類似株式を正しく理解しよう

事業譲渡類似株式とは

事業譲渡類似株式とは一定の要件を満たす株式の譲渡に適用されるルールで、譲渡益に対して日本で課税がされます。具体的には、まず日本国内にある会社が発行する株式を、海外の親会社・非居住者がその会社の株式を50%よりも多く所有しているという前提条件があります。そうした条件下において該当の株式をほかの会社や個人に譲渡した際に生じる譲渡益に対して、日本で課税が実施されるというものです。

日本で課税が行われる根拠としては、日本の会社が海外の親会社などに支配されている場合、国内法人の株式譲渡が実質的には国内法人の事業譲渡と同視できるためだとされています。

事業譲渡類似株式の要件

特殊関係株主等と呼ばれる内国法人の株主など、一定の関係にある者で50%を超える資本関係にある外国法人による株式の譲渡において、以下の2つの要件を満たす必要があります。

譲渡年から3年前以内において内国法人の特殊関係株主等が内国法人の発行済株式や出資の総額における、25%以上に相当する金額の株式や出資などを所有していたこと。

譲渡年において非居住者を含む内国法人の特殊関係株主等が、最初に内国法人の株式や出資の譲渡をする直前の内国法人の発行済株式や出資における、総額の5%以上に相当する金額の株式や出資の譲渡を行ったこと。

事業譲渡類似株式の具体例

事業譲渡類似株式の具体例を見てみましょう。例えば、海外に親会社があって親会社が日本の子会社の株式を保有しているケースを考えてみます。グローバルでの再編などが実施された際に、海外にある親会社がほかの法人へと日本の子会社の株式を譲渡したとします。そうした際に事業譲渡類似株式の要件を満たしていると、日本で法人税の申告および納付が必要となる可能性があるのです。

事業譲渡類似株式の財務上の留意点

課税要件は国内法を確認する

課税の扱いに関しては現地における国内法の定めに対して、後述する租税条約による修正が加えられて確定します。例えば、タイでの国内法を見てみましょう。国内法には「支払者がタイの居住者・内国法人または恒久的な施設を持っている外国法人に限り、15%の源泉税が課される」とあります。参考までに、租税条約には「源泉地国の課税を容認しているため、タイにおいて課税ができる」と明記されています。このように記載内容がそれぞれ異なるため注意が必要です。

課税要件は租税条約ごとに異なる

租税条約の内容を確認するようにしましょう。租税条約とは租税回避の防止や二重課税の排除を目的に、二国間で締結される条約のことです。日本ではアメリカやオーストラリアなど数多くの国と租税条約を締結しています。

租税条約については締結している国によって定められている内容が異なります。例えば、事業譲渡類似株式について日本での課税を認めるケースもあれば免除される場合もあるのです。どの国の租税条約が適用されるか、租税条約の内容、適用条件などについて必ず確認しなければなりません。

例として、アメリカとの租税条約では、事業譲渡類似株式は源泉地国で免税とされています。米国に住んでいる方が事業譲渡類似株式に該当する日本法人の株式を譲渡したとしても、日本で課税はされません。

一方、シンガポールとの租税条約では、源泉地国での課税を認めています。シンガポールに住んでいる方が同様の譲渡を行った場合には、日本で課税が生じるのです。

なお、租税条約の適用を受けるためには、いくつかの書類の用意が必要です。租税条約に関する届出書・特典条項に関する付表・居住者証明書の3点を、忘れないように準備しましょう。

日本における課税について

まず、課税所得の範囲についてですが、内国法人は国内源泉所得だけでなく国外源泉所得も課税所得の範囲に含まれます。従って、該当する株式の譲渡所得については現地での課税とは関係なく、日本では法人税が課税されるのです。

次に、現地で外国法人税が課税された場合ですが、二重課税を避けるために一定の範囲において外国税額控除の適用が認められます。この控除限度額は内国法人に課される法人税額に対して、全世界所得に占める国外源泉所得の割合を乗じて算出されるので覚えておきましょう。

まとめ

日本企業が海外進出するケースが増加しています。一方、海外情勢の変化に応じて、事業の再編や売却などを検討する必要性も生じています。そうした際に事業譲渡類似株式というキーワードに出会ったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

事業譲渡類似株式や関連する法令は内容や要件が難しく、混乱してしまうケースも目立ちます。対象としている国によっても考え方が変わるので、注意して対処していかなければなりません。事業譲渡類似株式の要件や財務上の留意点をチェックして、スムーズな対応を目指しましょう。

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賢者の選択 サクセッション編集部

賢者の選択サクセッションでは、⽇本経済の課題解決と発展のためには、ベンチャー企業の育成と併せて、これまでの⽇本の成⻑を⽀えてきた成熟企業∕中堅‧中⼩企業における事業承継をフックとした経営資源の再構築が必要であると考えています。 ビジネスを創り継ぐ「事業創継」という新しいコンセプトを提唱し、社会課題である事業承継問題に真摯に向き合うことで、様々な事業承継のケースを発信しています。 絶対解の存在しない事業承継において、受け継いだ経営者が事業を伸ばす きっかけとなる知⾒を集約していきます。

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