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事業承継を行うべきベストタイミングは?

経営者にとっていつかは直面する事業承継。しかし、毎日の業務に追われる中でなかなか考える時間が取れず、結局後回しにしているケースが多いようです。しかし、事業継承のタイミングを見誤るとあとで大きな痛手を負うことにもなり得ます。そこで本記事では、事業継承を行うべきタイミングについて解説します。

事業継承はタイミングが重要

最近は、若いうちにM&Aなどで会社を手放してアーリーリタイアをする経営者も目立つようになりました。しかし、一般的な事業継承を行うタイミングは、経営者が高齢になり、仕事を続けるのが困難になった時点でしょう。ところがそのタイミングで慌てて後継者に引き継いでもうまく行かず、段々と廃業へ追い込まれるケースも少なくありません。

事業継承の失敗は、経営者自身だけでなく、従業員、顧客、取引先など様々な人に影響を与えてしまいます。後継者の候補としてもっとも多いのは経営者の親族、次に従業員でしょう。しかし、そもそも適任者がいなかったり、いたとしてもその時点で順調に育っていないこともあり得ます。

そのような場合は、M&Aという選択肢もありますが、運よくそのタイミングでよい買い手が見つかるとは限りません。したがって、やはり高齢になる前に準備を開始し、ベストタイミングを見極めたうえで事業承継を行うことが成功の秘訣といえます。

後継者が40代になったらベストタイミング

事情継承のベストタイミングは、会社や後継者の状態などによって千差万別です。しかし、目安となる条件はあります。

会社の状態

会社の経営が安定している時期は、従業員の心理状態も比較的安定しているので事業承継がスムーズに進みやすいといえます。一方で経営が悪化し、従業員の現経営者への信頼が著しく低下している時期も早急に事業継承をするべきタイミングでしょう。

後継者の状態

中小企業庁の『中小企業の事業承継に関するアンケート調査』(2012年11月)によると、後継者の年齢に関して「もっと早い時期がよかった」とする平均年齢は50.9歳でした。一方で、「もっと遅い時期のほうがよかった」とする平均年齢は38.5歳。そして「ちょうどよい時期だった」とする平均年齢は43.7歳となっています。

40代前半は、様々な人生経験を積み、体力・気力も充実している時期ということでしょう。このようなことから一般的には40代前半が事業継承のベストタイミングといえます。ただし、当然ながら年齢ありきの事業継承は失敗のもと。あくまで後継者が順調に育ち、経営者としての自覚も固まった状態がベストタイミングなのです。

継承の準備は早めに

事業継承を成功させるために後継者が学ぶべきことは数えきれないほどありますから、十分な準備期間が必要です。中小企業庁の『事業継承ガイドライン』(2022年3月改訂)には、「準備期間は10年程度が望ましい」といった記述があります。ですから、40歳で経営を引き継いでもらうとすれば、30歳から準備を開始するのが理想ということです。

なぜ10年も前から準備しなければならないのか。その理由は、それだけ学ぶことが多いからです。中小企業庁の『2019年版中小企業白書』を確認すると、元経営者が後継者に行った教育で満足度の高いものは「自社事業に関わる勉強を行う学校に通わせた」(58.8%)、「同業他社で勤務を経験させた」(56.2%)、「資格取得を奨励した」(54.0%)などでした。いずれも数年かかるものですから、こうした事情からも継承の準備は、早めに始めたほうがいいことがわかります。

まとめ

以上のように、事業承継は後継者が40代に入ったくらいがベストタイミング。そのためには早めに準備を開始する必要があります。また、早めの準備開始は、経営者にとって「やるべきことは全部やった」という納得感にもつながります。それゆえ、継承後に経営に口を出して後継者とトラブルになるといった事態も避けられる可能性が高まります。

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賢者の選択サクセッション編集部

日本の社会課題である事業承継問題を解決するため、ビジネスを創り・受け継ぐ立場の事例から「事業創継」の在り方を探る事業承継総合メディア「賢者の選択サクセッション」。事業創継を成し遂げた“賢者”と共に考えるテレビ番組「賢者の選択サクセッション」も放送中。

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