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経営者に「不測の事態」が起こったとき、後継者に何ができる 「飲みニケ―ション」に替わるリスクマネジメントとは

中小企業の事業承継について専門家とともに学ぶ「サクセッションアカデミー」(主催・一般社団法人サクセッション協会)が8月21日、東京・銀座およびオンラインで、「リスク管理と緊急事態対応」をテーマに開かれました。健康な経営者も、突然の事故や予期せぬ出来事に見舞われる可能性は常に存在します。専門家は、緊急時に備えたバックアップ体制の重要性を強調しました。

「飲みニケーション」は事業承継に必要? それとも令和には不要?

サクセッションアカデミーは、事業承継が抱える課題を浮き彫りにし、企業の持続可能な成長へと導くことを目的として設立されました。メガバンク出身の同協会代表理事、原健太郎氏と、外資系企業で約30年以上にわたりコンサルティング業務を経験した同協会フェローの中山良一氏が講師を務めます。

経営者に不測の事態が発生するなどの緊急事態のためには、後継者候補が日頃から取引先と関係を築いておくことが不可欠です。中山氏は「昭和時代には、後継者候補が父親と共にゴルフなどの場で取引先との関係を構築していた」と述べ、伝統的な人間関係構築の重要性を指摘しました。

一方で、原氏は「飲みニケーションが通用した時代は過ぎ去り、令和の現在では新たなスキルや能力が求められる」と述べ、飲み会だけに頼らない時代に即したコンタクトが必要だとしました。

先祖代々の「不文律」を引き継ぐためのバックアップ体制整備をしよう!

先代から継承すべき技能や知識は、言葉では伝えきれないものがあります。原氏が例に挙げたのは「鰻のタレ」。こうした伝統的なレシピや技能は、メモや記録だけでは完全には伝わりません。

中山氏は「自然災害の多い日本では、代表者の急逝だけでなく、突発的な災害リスクにも備える必要がある」と指摘し、原氏も緊急時の資金確保や「人・モノ・カネ」の保全が不可欠であると述べ、保険の活用や家族関係のリスク管理の重要性を訴えました。

サクセッションアカデミーは、会社経営に関わる人や事業承継に興味を持つ創業希望者なら、誰でも参加可能です。詳しくは「賢者の選択サクセッション」ホームページから。

取材・文/松田謙太郎

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