COLUMNコラム
日本的な「背中を見て盗め」は通用しない時代に 事業承継における「不文律の文化」を言語化するコミュニケーションとは
中小企業の事業承継について専門家とともに学ぶ「サクセッションアカデミー」(主催・一般社団法人サクセッション協会)が7月17日、東京都銀座及びオンラインで開催されました。今回は、「コミュニケーション戦略の概要」をてー間に、会社経営のノウハウを確実に後継者に伝えるため、求められるコミュニケーション技術について学びました。
目次
ステークホルダーに合わせたコミュニケーションの重要性
サクセッションアカデミーは、事業承継が抱える課題を浮き彫りにし、企業の持続可能な成長へと導くことを目的として設立されました。メガバンク出身の同協会代表理事、原健太郎氏と、外資系企業で約30年以上にわたりコンサルティング業務を経験した同協会フェローの中山良一氏が講師を務めます。
事業承継には後継者だけでなく、多様なステークホルダー(利害関係者)が関与します。原氏は「各ステークホルダーとのコミュニケーションの透明性が大切だ」と述べ、特に対面コミュニケーションの重要性を強調しました。
中山氏は、コミュニケーションにおける情報の非対称性を指摘し、「仕事に関する情報をどの範囲で誰に開示するか、ステークホルダーごとに適切にコミュニケーション方法を選択する必要がある」と言います。
「不文律」を言語化して事業承継を円滑に進める
事業承継では、家族間の承継であっても「双方の見えている景色が異なる」と原氏は指摘します。日本的な「暗黙の了解」で引き継ぎを行うのではなく、「不文律」であっても明確に言語化する必要性が高まっている、としました。
中山氏も「良いことも悪いことも話せる関係だと、生産性が上げる」と述べ、関係性構築の重要性を強調しました。
最後に、原氏は「昔ながらのOJT(オンザジョブトレーニング)、いわば『背中を見て技能を盗め』という時代ではない。対面、ネット、文章など事業承継者に適したコミュニケーション方法を実践していくことが大切だ」とまとめました。
サクセッションアカデミーは、会社経営に関わる人や事業承継に興味を持つ創業希望者なら、誰でも参加可能です。詳しくは「賢者の選択サクセッション」ホームページから。
取材・文/松田謙太郎
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