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事業承継、「やることチェックリスト」を公開!

事業承継を行う際、「何から始めればいいかわからない」「漏れがないか心配……」といった不安や悩みを持つ経営者、あるいは後継者は多いでしょう。そこで本記事では、事業承継で失敗しないための準備をチェックリストにまとめて解説します。

事業承継で準備すべきこととは?

事業承継にあたっては「事業承継計画書」と呼ばれる現経営者の情報、会社の現状(財政状態)、誰に引き継がせるのか、何を準備するかなどをまとめた書類を作成します。事業承継計画書を作成することで、以下のようなメリットがあります。

・現状を把握でき、中長期的な目標も明確になる
・現経営者と後継者で、認識を擦り合わせられる
・従業員や外部からの理解・信頼を得やすくなる

事業承継計画書の詳細はこちらの記事(「事業承継を成功に導くロードマップ!「事業承継計画書」の作成のコツとは?」)で解説していますが、計画策定の事前準備として「会社や経営者の現状分析」を行うべきです。具体的には、以下の点についてしっかりチェックする必要があります。
中小企業庁「事業承継ガイドライン」)を参照。

現状の把握

まずは会社の現状をチェックしましょう。項目は以下のとおりです。

1. 資産、従業員数・年齢構成、資金繰り、負債、業界での競争力等を把握しましたか?

経営者や後継者候補なら知っていて当たり前のようにも感じますが、意外と把握できていなかったりします。上記以外にも「業界のトレンド、業界の将来性の見通しはどうか」「収益性や成長性について、何か問題点はあるか」なども重要です。これらの項目は事業承継に限らず、会社経営をするうえで必ず理解しておくべきものなので、自信がない部分は確実に把握しておきましょう。

2. 経営者である自分の状況について把握しましたか?

主に、保有自社株式、その他個人資産の価値、負債、個人保証等です。

3. 後継者候補をリストアップしましたか?

まずは、親族内、社内、社外それぞれに後継者となり得る者がいるかどうかを確認しましょう。そのうえで、「その後継者候補に能力・適性があるかどうか(統率力、意思疎通能力、視野の広さ、忍耐力、行動力、柔軟性、経営能力等)」、「それぞれの後継者候補の属性はどうなっているか(年齢、経歴、会社経営に対する意欲の有無、親族・役職員との人間関係等)を確認しましょう。  

4. 相続発生時に予想される問題点の把握、解決方法の検討をしましたか?

相続トラブルに発展させないためにも、法定相続人について、相互の人間関係・株式保有状況はどうなっているかを確認するとともに、相続財産の特定、相続税額の試算、納税方法の検討などを行う必要があります。

「承継の方法・後継者」の確定〜「事業承継計画」の作成

次に事業承継を進めるにあたり、関係者との意思疎通と事業承継計画書の項目についてチェックしましょう。

1. 事業承継について、後継者候補に意思を確認するとともに、親族や幹部役員の意見を聞きましたか?

関係者へのヒアリングは事業承継を成功させる必須条件です。しっかり時間を設けて行いましょう。

2. 事業承継の各種メリット・デメリットを把握したうえで、承継の方法、後継者を確定しましたか?

事業承継には親族内承継、従業員等への承継、M&Aの大きく3パターンがあり、それぞれに特徴やメリットが異なります。前項にもつながる話ですが、現経営者と後継者だけで決めるのではなく、関係者にも意見を聞いたうえで決定することが重要です。

3. 中長期の経営計画を作成しましたか?

主に記載すべきなのは、「会社の現状の詳細な分析」「今後の環境変化の予測」「中長期的な方向性(=経営ビジョン)の決定」「売上高、利益等の具体的数値目標の設定」などです。

4. 事業承継の具体的な時期を検討しましたか?

中長期の経営計画に、事業承継の時期や課題の解決策を実施する時期を記載すれば、事業承継計画書の大部分は完成したことになります。

承継の方法別・チェックリスト

ここからは、親族内承継、従業員等への承継、M&Aの3つに分けて、簡単にチェック項目を紹介しましょう。

親族内承継のチェックポイント

①事業承継計画を社内や取引先企業、金融機関等に公表しましたか?
②後継者を重要なポストに就けて権限の一部を委譲し、関係者と意思疎通する機会を与えましたか?
③役員・従業員の理解を得つつ、後継者を助ける将来の役員陣の組成を始めましたか?
④社内での現場のローテーションや、責任ある地位に就けて自覚を促しましたか?
⑤(必要に応じて)他社勤務を通じて、幅広い人脈の形成や経営手法の習得をさせましたか?  
⑥株式の保有状況を把握し、必要な対策を検討しましたか?
⑦後継者への生前贈与を検討しましたか?
⑧遺言の活用を検討してみましたか?
⑨会社法の各種制度の活用を検討してみましたか?
⑩生命保険の活用を検討してみましたか?

従業員等への承継のチェックポイント

①事業承継計画を社内や取引先企業、金融機関等に公表しましたか?
②後継者候補を事前に一定期間役員等として活動させることを検討しましたか?
③役員・従業員の理解を得つつ、後継者を助ける将来の役員陣の組成を始めましたか?
④社内での現場のローテーションや、責任ある地位に就けて自覚を促しましたか?
⑤セミナーへの参加を通じて必要な知識を修得させましたか?  
⑥株式等の経営権を一定程度後継者に集中させることについて検討しましたか?
⑦必要に応じて、種類株式を活用することを検討しましたか?
⑧MBOの手法を理解し、必要に応じて自社での活用を検討してみましたか?
⑨事業承継に向けて、債務の圧縮を図りましたか?
⑩後継者の債務保証を減らすべく、金融機関と交渉しましたか?

M&Aによる事業承継のチェックポイント

①M&Aにはさまざまな方法があり、必要に応じて使い分けられることを理解しましたか?
②M&A手続きのおおまかな流れ・注意点を理解しましたか?
③M&A仲介機関に相談してみましたか?
④高値売却できるよう、会社の実力の「磨きあげ」を行いましたか?
⑤簡易自己診断を用いて、自社株式の売却価格の目安を算定してみましたか?  
⑥算定結果を目安として、企業価値改善(会社の実力の磨きあげ)を検討しましたか?
⑦M&A完了後の経営統合にも気を配りましたか?

まとめ

事業承継を進めるうえでは、数多くのチェックポイントがあります。これらに関する知識は膨大であり、経営者一人ですべてを完全網羅するのは困難といえるでしょう。専門家に適宜相談しながら準備を進めるのがおすすめです。

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賢者の選択 サクセッション編集部

賢者の選択サクセッションでは、⽇本経済の課題解決と発展のためには、ベンチャー企業の育成と併せて、これまでの⽇本の成⻑を⽀えてきた成熟企業∕中堅‧中⼩企業における事業承継をフックとした経営資源の再構築が必要であると考えています。 ビジネスを創り継ぐ「事業創継」という新しいコンセプトを提唱し、社会課題である事業承継問題に真摯に向き合うことで、様々な事業承継のケースを発信しています。 絶対解の存在しない事業承継において、受け継いだ経営者が事業を伸ばす きっかけとなる知⾒を集約していきます。

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