COLUMNコラム
事業承継時にリスタート!「第二創業」のメリット・デメリット
廃業する中小企業の多さが社会課題となるなか、近年注目されているのが「第二創業」です。「第二創業」という言葉を耳にしたことはあっても、その意味や意義を知らない方はまだまだ多いでしょう。本記事では、事業承継における「第二創業」の意義を紹介します。
目次
事業承継における「第二創業」とは
まずは「第二創業」という言葉の意味について、簡単に解説しましょう。
第二創業とは、企業がこれまでとは異なる分野に乗り出したり、新たな事業をスタートさせたりして、経営刷新を図ること。事業承継の文脈であれば、経営者が入れ替わったタイミングで、先代が運営していた事業を一新し、新たな事業に挑戦することです。
第二創業は、衰退し始めた企業を立て直すための手段として用いられることも多くあります。事業を立ち上げた創業期、企業の売り上げが伸びていく成長期、売り上げが安定する成熟期、そして売り上げが落ち込み始める衰退期……と、企業に衰退の兆しが見えたとき、新たな可能性を模索するために行われるのが第二創業なのです。
企業が衰退し始める原因の一つに、古いやり方に固執し、時代のニーズに乗り切れないことが挙げられます。そこで、事業承継をして経営者が代替わりすることを機に、第二創業によって生まれ変わりを促すのです。
第二創業のメリット
次に、第二創業のメリットを紹介しましょう。
①「既存事業の行き詰まりを解消し、経営改善を図れる」
何より大きなメリットは、既存事業の行き詰まりを解消し、経営改善を図れることです。
事業承継を機に新たな事業に挑戦することで、衰退していた企業の経営改善を図ることができます。やり方やタイミングによっては、V字回復も期待できるでしょう。
②「事業基盤がある」
事業基盤があるため、失敗しづらい点も大きなメリットです。
既存事業には顧客がついているはず。第二創業した際にも、その顧客を基盤として、新たな展開が見込めるでしょう。
また、既存事業の人材も見逃せません。信頼のおける従業員とともに、新たな事業をスタートさせましょう。新しい人材を探すことから始めるより、ぐっとスムーズに進むはずです。
③「資金調達がスムーズ」
既存事業の基盤があるため、金融機関からの信用が得やすい点もメリットでしょう。既に金融機関と強固な関係が構築されているため、ゼロから始めるより相談もしやすいはずです。
第二創業のデメリット
次に、第二創業のデメリットを挙げましょう。
①「既存社員との交渉が必要」
まず考えられる第二創業のデメリットは、既存社員との交渉が必要になるケースが多いこと。いくら経営陣が「第二創業で会社を元気にしたい」と思っていても、必ずしも全従業員が賛成してくれるわけではないでしょう。
既存事業で頑張ってくれていた社員に対して、新事業に乗り出す理由や意図をきっちり説明し、理解してもらう必要があります。全体に向けて説明会を開催するほか、可能であれば一対一の面談の場を設け、不満や考えを引き出しましょう。
②「新事業がうまくいくとは限らない」
当然のことですが、新事業が100%うまくいくとは限りません。むしろ、既存事業の慣習に縛られてしまい、新事業を柔軟に運営できないケースも。すぐに結果が出ると期待するのではなく、根気強く取り組んでいくことが大切です。
第二創業をする方法
第二創業をする方法としての「事業承継」について、簡単に触れておきましょう。
事業承継とは、自社を後継者に承継すること。事業承継には、大まかに以下の3パターンがあります。
①親族内承継
その名の通り、親族内での承継、つまり事業を配偶者、子、孫、甥、姪などに承継させる方法のこと。親族の中に、経営適性と承継の意思を持った人材が見つかれば、親族承継を採用する企業は多いものです。
親族への承継についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
(「大切な事業を親族へ!「親族承継」のメリット・デメリットと手順」)
②親族外承継(役員・従業員に承継する)
親族外承継には2つのパターンがあります。そのうちのひとつは、役員や従業員に会社を任せる方法です。事業や経営方針を熟知している後継者を選定し、安心して事業を任せられます。
従業員への承継についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
(「後継者不在を解決!「親族外承継」のメリット・デメリットと手順」)
③親族外承継(第三者に承継する)
親族外承継のもうひとつのパターンは、第三者承継です。従業員ではなく、M&Aなどによって、まったくの第三者に事業を引き継ぐケースがあります。
親族や従業員に適当な後継者がいない場合は、第三者に事業を任せることになります。
親族外承継についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
(「後継者不在を解決!「親族外承継」のメリット・デメリットと手順」)
まとめ
事業承継を機にリスタートする「第二創業」。「経営がうまくいっていないから、事業承継する気になれない」といって、これまで大切に育ててきた企業を廃業してしまうのはもったいないです。事業承継をきっかけとして、第二創業という道の可能性を探ってみてはいかがでしょうか。
SHARE
記事一覧ページへ戻る