COLUMNコラム
「事業承継したい」と思ったら、まずやるべきこと3選!
事業承継は、企業の持続的な成長や発展に不可欠なプロセスです。しかし、事業承継には多くの課題や複雑な手続きが伴うため、適切な準備がなされていない場合、企業の将来に大きなダメージを与える可能性があります。本記事では、事業承継をしたいと思った際にまず取り組むべき3つのポイントを紹介します。
目次
1 「会社の現状」を把握する
事業承継を考える前に、まずは会社の現状を整理・把握しましょう。具体的には、以下の3点です。
①資産、従業員数・年齢構成、資金繰り、負債、業界での競争力
経営者でも意外と把握できていないケースも多い項目です。上記以外にも「業界のトレンド、業界の将来性の見通しはどうか」「収益性や成長性について、何か問題点はあるか」なども重要です。これらの項目は事業承継に限らず、会社経営をするうえで必ず理解しておくべきものなので、自信がない部分は確実に把握しておきましょう。
②経営者自身
保有自社株式、その他個人資産の価値、負債、個人保証などを把握しましょう。特に負債、個人保証は何の対策をしないままだと、事業承継をするうえでの大きなハンデになりかねないので注意しましょう。
③後継者候補のリストアップ
事業承継を円滑に進めるためには、早期から後継者候補のリストアップや選定基準の設定が必要です。親族内、社内、社外それぞれに後継者となり得る者がいるかどうかを確認しましょう。
④相続発生時に予想される問題点
相続トラブルに発展させないためにも、法定相続人について、相互の人間関係・株式保有状況を確認するとともに、相続財産の特定、相続税額の試算、納税方法の検討などを行なう必要があります。
なお、相続税・贈与税については「事業承継税制」を活用することで支払い猶予ないしは免除できる可能性があります。ただし、事業承継税制を受けるためには、2024年(令和6年)3月31日までに特例承継計画を策定し、都道府県知事に提出したうえで認定書を受領しなければなりません。認定を受けた後、2027年までに承継を行なわなければ、特例の恩恵を受けられなくなります。
事業承継税制については、こちらの記事で詳しく解説しています。
(「事業承継で相続税が免除になる方法!――5分でわかる「事業承継税制」の仕組みとポイント」)
2 「事業承継計画書」の策定
事業承継を成功させるためには、まず計画を立てることが重要です。事業承継計画書では、承継時期や後継者の選定基準、事業承継にかかる費用や手続きの概要を明確にしましょう。
事業承継計画書とは、現経営者の情報、会社の現状(財政状態)、誰に引き継がせるのか、何を準備するかなど事業承継の内容をまとめた書類を指します。
「事業承継計画書」を作成することで、以下のようなメリットを得られます。
① 現状を把握でき、中長期的な目標も明確になる
② 現経営者と後継者で、認識をすり合わせられる
③ 従業員や外部からの理解・信頼を得やすくなる
事業計画書作成の流れについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
(「事業承継を成功に導くロードマップ!「事業承継計画書」の作成のコツとは?」)
3 「後継者」の選定と育成
後継者を選ぶ際には、「その後継者候補に能力・適性があるかどうか(統率力、意思疎通能力、視野の広さ、忍耐力、行動力、柔軟性、経営能力等)」「それぞれの後継者候補の属性はどうなっているか(年齢、経歴、会社経営に対する意欲の有無、親族・役職員との人間関係等)を確認しましょう。後継者人材バンクや専門機関を活用することで、幅広い候補者から適切な後継者を見つけることができます。中小企業診断士や税理士などの専門家と協力して、選定基準に基づいたマッチングを行いましょう。
後継者人材バンクを利用するメリット・デメリットについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
(「無料で利用可能! 「後継者人材バンク」のメリットとデメリットとは?」)
また、事業承継において後継者のスキルや知識は重要であり、あわせて教育・育成計画を策定して後継者が必要なスキルを習得できる環境を整えることが大切です。
教育・育成計画の策定には、業界や職種に特化した研修プログラムや、メンター制度の導入などが有効です。これにより、後継者は経営者としての知識やスキルを身につけることができ、事業承継後の成長につながります。
まとめ
事業承継には時間がかかることが多いため、早期から準備を始めることが重要です。経営者だけですべてを網羅的に準備することは簡単ではないため、専門家や支援機関と積極的に連携し、適切なアドバイスやサポートを受けましょう。
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