COLUMNコラム
事業承継を成功に導くロードマップ!「事業承継計画書」の作成のコツとは?
事業計画は何年にもわたる取り組みのため、計画を立てておかないと進捗がわからず、うまく承継できない恐れもあります。本記事では、いつ、だれに、何を、どうやってを整理して、事業承継を成功するための「事業承継計画書」の作成方法を解説します。
目次
事業承継計画書には何を書けばいい?
事業承継計画書と事業承継計画表の違い
事業承継計画書とは、現経営者の情報、会社の現状(財政状態)、誰に引き継がせるのか、何を準備するかなど事業承継の内容をまとめた書類を指します。似たものとして、事業承継計画表がありますが、こちらは会社や現経営者、後継者が事業承継までにどういった変化していくのかを(基本的には1年単位で)まとめた工程表です。
どちらも事業承継を行なうと決めた場合は、早い段階で作成するのが理想的ですが、事業承継計画表に関しては、適時変更しながら進捗を管理するのが一般的です。
記載内容に関するルールは特になし
事業承継計画書も事業承継計画表も、法律で定められた書類ではないので、規定のフォーマットはありません。ただし、ゼロから項目を考える必要はなく、ひな形が用意されています。
中小企業基盤整備機構(中小機構)や商工会議所、金融機関や事業承継センターなどがWeb上で公開しているので、そこから自社に適したものを選び、適宜変更しながら活用しましょう。
一例として、以下の中小機構のWebサイトからひな形がダウンロードできます。
(中小企業経営者のための事業承継対策)
事業承継作成書の内容は、以下の記事でも詳しく解説しています。
(「税金が猶予・免除に! 事業承継税制の「提出書類」を解説」)
「事業承継計画書」を作成するメリット
計画書と聞くと「面倒だな……」と思う人もいるかもしれません。しかし、事業承継計画書を作成することは、企業経営においてもメリットがあるといえます。
メリット① 現状を把握でき、中長期的な目標も明確になる
事業承継は、自社の経営状況を客観的に見直す絶好のタイミングです。事業承継計画書には、現状のヒト・モト・カネを真摯に見つめ、書面に残さなければなりません。
日常業務においては見過ごしたり、目を背けたりしていたことでも、形になることで正しく会社の経営状況を把握できます。また、「◯年後に◯◯を終わらせる(達成させる)」といった中長期的な目標も定まります。
メリット② 現経営者と後継者で、認識を擦り合わせられる
事業承継計画書には後継者を明記するため、自分がこの会社の経営を担うことへの意識が強まります。また、現経営者が「3年後には事業を承継したい!」と思っていても、後継者は「現場経験を積み、取引先や金融機関との信頼関係づくりもあるから、5年以上は期間を設けてほしい……」と思っているかもしれません。
しかし、事業承継計画書を作成することで、こうした認識のズレがなくなり丁寧な議論を重ねる機会が生まれます。
メリット③ 従業員や外部からの理解・信頼を得やすくなる
事業承継計画書を作成してロードマップを描き、現状分析と中長期的なビジョンを示すことで、従業員や取引先、金融機関の理解・信頼を得やすくなります。
ステークホルダーからの信頼は企業経営に欠かせないものですので、会社に期待を持ってもらえることは大きなメリットといえるでしょう。
事業承継計画書作成の3ステップ
ステップ① 現状把握と後継者候補のリストアップ
自社の資産、従業員数、現経営者の個人資産や保有株式、相続や贈与で問題になりそうな点などを把握します。お金に関わる部分はトラブルに発展しがちなので、最初の段階できちんと洗い出しましょう。あわせて、この段階で誰を後継者にするのかをリストアップします。
ステップ② 後継者、関係者へのヒアリング
ステップ①でリストアップした後継者候補に事業承継する意志があるかを聞くとともに、家族や幹部役員の意見にも耳を傾けましょう。
ステップ③ 後継者の確定、事業承継計画書の作成
後継者本人の意向を確定ししだい、事業承継計画書の作成に移ります。このとき意外と後回しにしがちなのが、経営理念。最近では、パーパスなどといわれたりしますが、まだ自社にないのでしたら、現経営者とともに考えるのがおすすめです。
ただし、特に親族内承継の場合、現経営者がいろいろ心配して口を出したりするケースは多いものですが、いかに後継者に任せられるかが重要です。また、法律面や税務面では専門知識も求められるため、各個人で判断するのではなくプロフェッショナルのサポートを受けるのがいいでしょう。
まとめ
事業承継計画書をいきなり作成するのは難しいかもしれません。しかし、少しでも早い段階から書くべき項目を把握しておき、事業承継に関して思いつくことがあったらメモとして書きためておくと、後から役立つ可能性は大いにあります。まずは、日常の仕事の中でも事業承継を意識することから始めてみてはいかがでしょうか。
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