COLUMNコラム
「スペシャリストになりたかった」銀行員2人が変えた、創業159年の酒造会社/スピリッツにウイスキーも~千代むすび酒造
江戸時代から続く老舗の酒屋「千代むすび酒造」(鳥取県境港市)。創業159年を超える老舗でありながら、シャンパンと同じ作り方の日本酒「SORAH」を生み出すなど、先進的な経営で知られています。なぜ、千代むすび酒造はイノベーションを起こすことができたのでしょうか。
目次
思いがけない2人の登場
千代むすび酒造の5代目社長・岡空晴夫氏。晴夫氏には娘が3人いましたが、跡取りをどうするか悩んでいたところ、思いがけず若い2人が名乗りを上げました。
その2人とは、長女と三女の婿養子である、聡さんと拓己さんです。
二人の前職は銀行員。この2人の登場で、千代むすび酒造に新たな風が吹きました。老舗になかった視点が、千代むすび酒造の経営を変えました。
「銀行での仕事は、広く浅く学ぶという感覚だったので、何かのスペシャリストになることに憧れて、千代むすび酒造に入社したという一面もあります」(岡空聡氏)
世界に展開する経営方針
千代むすび酒造の特徴は、造る酒の多さ。現在は、世界25か国に日本酒だけでなく、スピリッツなどの蒸留酒も輸出しています。直近では、海外マーケットに向け、新しくウイスキーの醸造も始めました。
この二人が会社を牽引しているように見えますが、実は、大まかな経営方針を決めているのは晴夫氏
ウイスキーの醸造を決めたのも、晴夫氏から「ウイスキーの醸造がやりたい」とお願いされたからだといいます。
「ウイスキーを始めたいと言われたのが、私が入社してから3か月ほどのことだったので、大変でした」(岡空拓己氏)
晴夫氏が大まかな方針を決め、それに聡さんと拓己さんのお二人が、別の価値観からの意見などを加え、新しいものを生み出しています。
まとめ
千代むすび酒造の事業承継は、まさにイノベーションといえます。グローバルに展開する酒造ビジネスを成功させている企業としての在り方は、事業承継を考えている人にとって、参考になるはずです。
千代むすび酒造株式会社
1865年(慶応元年)鳥取県上道町にて創業。1995年海外に日本酒の輸出を開始。2009年韓国ソウルに100%出資小会社 JIZAKE CY KOREA設立。シャンパンと同じ作り方の日本酒 「SORAH」を生み出す。「SORAH」はミラノ酒チャレンジ2022 Double Gold受賞、Kura Master 2023プラチナ賞を受賞。
SHARE
記事一覧ページへ戻る