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事業承継、非上場株式の移転方法まとめ!

「事業承継するときにはどれくらい税金がかかる?」「非上場株式の価値はどうやって算出するの?」上記のような疑問を抱える中小企業の経営者や個人事業主、株式会社の社長もいるでしょう。本記事では、事業承継する際に必要な税金の種類や、節税になる事業承継税制を解説します。

事業承継に伴う非上場株式の移転には税金がかかる

事業承継にはさまざまな税金が発生しますが、主に次の種類があります。

譲渡所得税
・みなし譲渡所得税
・所得税
・贈与税
・みなし贈与税
・相続税
・法人税

株式移転にかかる税金を対策する3つの方法

思わぬ出費として負担の大きいこれらの税金ですが、実は、抑えられる方法があるのです。3つの税金対策方法を紹介しましょう。

①生前贈与

2021年に入ってから、上場株式が継続的に値上がりしています。すると非上場株式の価値も比例して上がってきますが、価値が上がったタイミングで贈与すると贈与税が高くなってしまいます。そこで、その前に生前贈与をすることで、節税の大きな効果が見込めます。

②売買で譲渡

非上場株式の売却には、約20%の税金がかかります。もしも贈与などで事業承継を行ない、約20%より高い税金の支払いが必要になる場合は、売買で譲渡することで税金を安く抑えることができます。

③生命保険の活用

生命保険を活用することで、株式移転時のリスクを抑えられます。経営者が亡くなって株式移転が突然必要になった場合、資金の用意に苦労する恐れもあります。この事態に備えて経営者が生命保険に加入し、保険金の受取人を後継者にすることで、キャッシュを残すことができます。

事業承継税制を活用すれば、非上場株式の移転を税金ゼロで実現できる?

「事業承継税制」とは、後継者が非上場株式や事業用資産を贈与や相続で取得した際、都道府県知事の認定を受けると納税が猶予又は免除される制度です。平成30年度の税制改正で、中小企業の事業継承をさらに後押しするため、10年間限定で特例措置が設けられています。

これによって、納税猶予の対象となる非上場株式の制限の撤廃や、納税猶予割合の引き上げ制度などが創設されました。事業承継制度が設定された大きな要因としては、少子化による後継者不足があります。

ただでさえ後継者がいない企業が事業承継するにあたってネックとなっていたのが、事業承継にかかる税金です。

税金を理由に事業承継をあきらめる経営者や、税金を理由とする黒字倒産も増えている実情を受けて、事業継承を促進する目的で定められたわけです。

優遇を受ける条件は? どこに相談すればいい?

この税制の優遇を受けるには、先代経営者と後継者それぞれに条件があります。

先代経営者

・会社の代表取締役の経験
・贈与や相続の直前に会社の筆頭株主である
・贈与後に代表取締役ではない

後継者

・贈与を受ける時に会社の代表取締役である
・贈与を受けることにより会社の筆頭株主になる
・贈与前に3年間継続して会社の役員であった

これらの条件をクリアしていれば、事業承継税制を受けられます。事業承継税制は専門的な知識を要するので、専門家に相談しながら進めることをおすすめします。ここで、相談先を選ぶポイントを挙げてみましょう。

税務や法務に詳しい

事業継承には税務や法務の知識が必要ですが、顧問先の税理士や弁護士などへの相談は、有力な選択肢となります。

②M&Aの知見がある

親族内承継以外の道で事業を引き継ぐ場合、選択肢のひとつとしてM&Aがあります。M&Aの知見があるところに相談することで、円滑に事業承継ができる可能性が高まるでしょう。

③報酬額が安い

各都道府県にある事業引継ぎ支援センターや商工会議所など、無料で相談を受けてくれるところも多数あります。最終的には専門家に依頼するべきですが、まずは相談しやすいところに話を聞いてみると、事業承継の全容を理解できるでしょう。

まとめ

事業承継に関しては、引き継ぎ後の財務戦略や組織体制など、事前に決めておかなければならないことがたくさんあります。準備不足のまま承継が行なわれると、後継者や従業員などにしわ寄せがいってしまいます。金融機関への対応方針など、あらかじめ経営者と後継者で話し合っておくことで事業承継がスムーズにでき、会社がいい形で再出発できるでしょう。事業承継は、経営者として最後の仕事といえます。専門家の知識を借りて円滑に事業承継を行ない、次の世代によい形で事業を残していきましょう。

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賢者の選択サクセッション編集部

日本の社会課題である事業承継問題を解決するため、ビジネスを創り・受け継ぐ立場の事例から「事業創継」の在り方を探る事業承継総合メディア「賢者の選択サクセッション」。事業創継を成し遂げた“賢者”と共に考えるテレビ番組「賢者の選択サクセッション」も放送中。

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