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「喫煙者の割合」が高い企業は、経営に大きなマイナス? 国が推進する「健康経営」、認定制度の受け付け開始

従業員の健康管理を経営的な視点で実践する企業を認定する制度「健康経営銘柄2025」と「健康経営優良法人2025」の申請受付が8月から始まった。この制度は、特別な補助金を得られるものではないが、健康管理体制を整えると経営に大きなメリットが得られるという。どのようなメリットがあるのだろうか。

健康経営優良法人とは

健康経営優良法人は、経済産業省が健康長寿社会を目指す取り組みの1つとして推進しており、経団連や日本医師会などの民間人材などでつくる「日本健康会議」が認定する。従業員の健康向上を経営戦略的に実施する「健康経営」をする企業を認定し、社会的に評価される環境を整備することを目的とし、「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」がある。

これまでの調査で、社員の健康と企業経営には相関関係があることが分かっている。最も関係が大きいのは「喫煙」で、喫煙者の割合が高いほど企業利益にマイナスの影響がある。また、保健事業費や正社員割合が高いほど、企業利益にプラスの影響がある。

また、投資先や就職先として高評価につながるほか、取引先や自治体・地域からの信頼も勝ち得やすい。

特に今年度の申請では、小規模法人の認定要件を一部緩和する特例を導入している。経済産業省が中小規模法人の健康経営に注力していることを読み取ることができ、中小企業にとっては従業員の福利厚生を見直すチャンスでもある。

事業承継においても、従業員の健康に対する意識を改革することで、大きな経営改善になる可能性がある。先代から会社を引き継ぐ際、ベテラン従業員との関係や、新卒採用は重要なポイントになる。健康経営を目指し、従業員の待遇を見直すことは信頼や人材の獲得につながるといえる。

申請受付は、大規模法人が10月11日、中小規模法人が10月18日まで。詳しくは、日本健康会議のホームページなどに掲載している。

取材・文/清野亜紀

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