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合資会社の事業承継、6つのポイント!

持分会社の種類のひとつである、合資会社。株式会社よりも設立費用が安価に抑えられる、少人数で立ち上げやすいなどのメリットがあることで知られています。本記事では、合資会社の代表が読むべき事業承継のポイントについて解説します。

合資会社とは

合資会社は、持分会社の種類のひとつ。(資)や(シ)と表記され、「無限責任社員」と「有限責任社員」の両方が所属しているのが特徴です。

無限責任社員とは、その名の通り、会社の債務に対し無制限に責任を負う社員のこと。会社が負債を抱えてしまった場合は、負債を完済する責任があります。一方、有限責任社員とは、会社の債務に対し、出資額を上限に責任を負う社員を指します。経営にかかわるのは、原則として無限責任社員のみ。

合資会社を設立するには、無限責任社員1名以上、有限責任社員1名以上の、計2名以上が必要となります。

合資会社のメリット・デメリット

合資会社を設立するメリットは、大きく分けて4つあります。

1.設立費用を安価に抑えられる
最大のメリットは、設立費用が少額で済むことでしょう。株式会社の設立に25万円程度がかかるのに対し、合資会社は10万円ほどあれば設立可能です。

2.手続きが比較的簡単
株式会社の設立と比べて、手続きがシンプルなのもメリットです。

3.資本金を用意しなくても設立可能
合資会社は現物出資が認められており、資本金集めの必要がありません。

4.株主総会が不要
株式会社ではないため、株主総会が不要です。

もちろんデメリットもあります。合資会社のデメリットは大きく分けて4つです。

1.無限責任社員の責任が大きい
無限責任社員は債務に対する責任が大きいため、失敗するとすべてを失ってしまうリスクがあります。

2.最低2名の在籍が必要
無限責任社員と有限責任社員、それぞれ必ず1名以上在籍している必要があります。自分が無限責任社員を務める場合、常に有限責任社員1名以上を雇用し続けなければなりません。

3.絶対数が少ない
株式会社の最低資本金額が撤廃されたことから、株式会社の設立が増えており、合資会社の絶対数は減少傾向にあります。同じ合資会社を見つけにくく、ネットワークをつくったり、合資会社経営のノウハウを学んだりしにくいのはデメリットでしょう。

4.採用が難しい
小規模経営のことが多く、新たに採用するのが難しいケースもあります。

合資会社の事業承継

ここからは、合資会社の事業承継のポイントを解説しましょう。

①事業承継計画は早くから、綿密に
合資会社には、無限責任社員と有限責任社員がそろっていなければなりません。もし無限責任社員が亡くなり、有限責任社員だけが残されてしまうと、合資会社は合同会社に変更されてしまいます。早い段階から事業承継の計画を立てておきましょう。

②後継者を探しておく
無限責任者は責任が大きいため、親族であれ、社員であれ、後継者がなかなか見つからないことが予想されます。後継者を誰にするか、可能な限り早い段階から検討し、話し合いをしておくことをおすすめします。

③出資者は複数に
合資会社として企業を存続させたいなら、出資者は複数いたほうがよいでしょう。ただし、無限責任社員は責任が大きいため、なかなか見つかりにくいのが難点。複数の出資者を望むなら、綿密に計画を立てておく必要があります。

④定款に持分承継を記載する
合資会社の事業承継を円滑に行うには、定款に持分承継を定めておく必要があります。社員が亡くなり、持分を相続することになった場合、相続人は持分の払戻請求権を相続することになります。払戻請求権を出資して社員になるためには、煩雑な手続きが必要な上、税金が課されます。そのような事態を避けるために、あらかじめ定款の記載を変更し、相続人が社員になる旨を定めておくのです。「代表者の死亡によって相続が発生した場合、相続人が持分を引き継ぎ社員となる」などと記載しておきましょう。

⑤場合によっては株式会社に変更する
事業承継が発生する前の段階で、前もって合資会社を株式会社に変更しておくのもひとつの手段です。合資会社を株式会社に変更するには、合資会社を解散し、株式会社を新たに設立することになります。登記費用をはじめとした費用や、手続きの手間もかかるものの、合資会社の精算自体には多額の税金はかかりません。

⑥事業承継税制を適用する
合資会社であっても、事業承継税制(事業承継にかかる相続税と贈与税を猶予される制度)の適用が可能です。事業承継にかかる税金を抑え、スムーズに事業承継するために、専門家に相談しながら適用を検討してもいいかもしれません。

まとめ

合資会社の事業承継は、株式会社の事業承継とは異なる部分もあります。後になって慌てないよう、早いうちから少しずつ準備しておきましょう。まずは専門家の指示に従って後継者を検討し、大まかなスケジュールを立ててみるのがおすすめです。

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賢者の選択サクセッション編集部

日本の社会課題である事業承継問題を解決するため、ビジネスを創り・受け継ぐ立場の事例から「事業創継」の在り方を探る事業承継総合メディア「賢者の選択サクセッション」。事業創継を成し遂げた“賢者”と共に考えるテレビ番組「賢者の選択サクセッション」も放送中。

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