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使わなきゃもったいない! 事業承継の支援制度3選

事業承継を考えている経営者・後継者なら、税制や金融面でどういった支援制度があるのか気になると思います。利用するためには各種要件を満たすことが必要ですが、承認されれば大きなメリットを享受できます。本記事では、知っておくべき「事業承継で使える支援制度」を4つ取り上げて解説します。

支援制度①「事業承継税制」

事業承継税制とは、一定の要件を満たすことで、先代経営者から自社株式や事業用資産を後継者が引き継ぐときに発生する「相続税」や「贈与税」の負担が猶予(あるいは免除)される制度です。

支援制度という名目ではないものの、高ければ数千万円、億単位になるかもしれない相続税・贈与税の支払いが猶予になるわけなので、実質的に「国が支援している」といっても過言ではないでしょう。

ただし、事業承継税制の適用期間は、2018年(平成30年)1月1日から、2027年(令和9年)12月31日の「10年間限定」です。

さらに適用を受けるには「2024年(令和6年)3月31日まで」に特例承継計画を策定し、都道府県知事に提出したうえで認定書を受領しなければなりません。

認定を受けた後は、2027年までに承継を行わなければ特例の恩恵を受けられなくなります。今後10年ほどの間に事業承継を行おうと考えている経営者の方は、早めに動き出しましょう。

事業承継税制の適用要件、手続きの流れは、こちらの記事で詳しく解説しています。
「事業承継で相続税が免除になる方法!――5分でわかる「事業承継税制」の仕組みとポイント」

支援制度②「遺留分に関する民法の特例」

遺留分とは、被相続人(亡くなった人)の遺産があった場合、一定の相続人(配偶者、子、孫、親、祖父母など)に最低限保障された一定の割合の相続財産のこと。

被相続人は、「自身の財産を誰に譲るのか」を遺言で自由に定めることができるのですが、一定の相続人は生活保障のために一定の制約があります。これが遺留分の制度です。

遺留分をめぐる相続トラブルは絶えないため、円滑な事業承継を妨げることがないよう、中小企業経営承継円滑化法では「民法の遺留分に関する特例」が規定されています。

この民法特例を活用することで、先代経営者の推定相続人全員の合意のうえ、後継者に贈与された自社株式・事業用資産の価額について、「除外合意」「固定合意」という2つの制度で法的手段をとることができます。

事業承継で活用できる「遺留分に関する民法の特例」はこちらの記事でお読みいただけます。
「相続トラブルを未然回避! 事業承継で活用できる「遺留分の特例」とは?」

支援制度③「事業承継・引継ぎ補助金」

「事業承継・引継ぎ補助金」は、事業承継を契機として新しい取り組みを行う中小企業、および事業再編、事業統合に伴う経営資源の引継ぎを行う中小企業を支援する制度です。

この制度の中でも、「事業承継・引継ぎ補助金(経営革新事業)」は、事業承継やM&Aを機に、経営革新にチャレンジする事業者を対象としています。

経営革新事業には、創業支援型(Ⅰ型)、経営者交代型(Ⅱ型)、M&A型(Ⅲ型)と3つの類型があり、すべて「補助率は2/3」「補助下限額は100万円」です。

補助上限額については、創業支援型(Ⅰ型)、経営者交代型(Ⅱ型)は400万円、M&A型は800万円となっており、廃業費用を伴う場合、いずれの類型でも200万円の上乗せ額があります。

ただし、申請すれば必ず交付されるとは限らないので、事前の準備や書類の手配を確実に行いましょう。

「事業承継・引継ぎ補助金」はこちらの記事で解説していますので、ぜひご一読ください。
「事業承継で活用できる「創業・事業承継補助金」とは?」

まとめ

昨今は中小企業の後継者不足などを背景に、国を挙げて事業承継への支援制度がさまざま出ています。とりわけ事業承継税制は、相続税・贈与税の支払いが猶予(もしくは免除)となる、非常にメリットが大きい制度です。

ただ、「使えるものは使う」という姿勢は大切ではあるものの、それぞれ適用を受けるには要件を満たす必要があり、場合によっては準備に時間がかかるものもあるので注意しましょう。

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賢者の選択サクセッション編集部

日本の社会課題である事業承継問題を解決するため、ビジネスを創り・受け継ぐ立場の事例から「事業創継」の在り方を探る事業承継総合メディア「賢者の選択サクセッション」。事業創継を成し遂げた“賢者”と共に考えるテレビ番組「賢者の選択サクセッション」も放送中。

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