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クリニック(医院)承継はこれで大丈夫! ポイントと流れを解説

事業承継は組織の一大事。ここまで育て上げた事業を、次の世代へと確実にバトンタッチします。これは企業のみならず、クリニックでも同様です。本記事では、クリニック(医院)承継の流れやポイントを解説します。

クリニック(医院)承継の3つの種類

クリニックの経営者は、企業の経営者と同様、いつか進退を迫られるタイミングがやってきます。自分のクリニックを廃業するか、それとも何らかの形で存続させるのか――。自院を頼ってくれる患者さんの顔が思い浮かび、その迷いはますます深刻なものとなるでしょう。存続させることを選ぶのであれば、承継や譲渡、合併などの形式のうち、自院にあったものを選ぶことになります。個人診療所の場合は、親族へ承継するか、第三者に譲渡する。

医療法人の場合は、親族へ承継するか、第三者に譲渡するか、他の医療法人と合併するのが一般的です。事業承継を無事に完了させるために、どの形がふさわしいのか、時間をかけて丁寧に検討しましょう。

クリニック(医院)承継のポイント

クリニック承継にあたっては、以下の3つのポイントに留意しましょう。

①患者さんやスタッフへの配慮を忘れない

クリニックの経営者が変わると、患者さんは不安を覚えるもの。健康にかかわる重要なことですから、これまでの治療が受けられなくなるのではないか、治療方針が変わるのではないかと動揺する患者さんも多いでしょう。スタッフも同様です。経営陣が変われば、経営方針も変わることが予想されます。これまでと同じように働けるのかと不安に思い、離職にもつながりかねません。クリニック運営は、患者さんとスタッフなしには決して成り立ちません。それぞれに丁寧に説明しながら、感謝の気持ちを忘れることなく真摯に進めましょう。

②後継者選びは慎重に

当然ながら、後継者選びは重要なポイントです。クリニックの後継者は、医療知識はもちろんのこと、経営知識やノウハウも備えている必要があります。もちろん、患者さんやスタッフと良好な関係性を築けるような人間力も必要です。信用のおける後継者を選ぶことは、クリニック承継において最も重要で、かつ最も困難なポイントだと言っても過言ではないでしょう。

③迷ったら専門家に相談を

クリニックの承継においては、さまざまな書類作成や手続きが必要になります。ただでさえ多忙な経営者が、すべての対応を一人でこなすのは困難です。早期から専門家に相談し、遅滞なく、漏れなく手続きを進めるようにしましょう。

クリニック(医院)承継の流れ

ここでは、クリニック承継の流れを大まかに説明します。

①後継者候補を選ぶ

企業の事業承継と同様、まずは後継者選びです。親族を後継者にする、スタッフを後継者にするのが最も多いパターンといえます。「後継者だから」「実力があるから」「長く働いてくれているから」といった理由だけではなく、その人に後継者としての素質があるか、冷静に見きわめましょう。もし候補が見つからなければ、後継者育成からはじめます。

②後継者候補の意思を確認し、後継者を確定する

後継者の選定が済んだら、相手の意思を尋ねましょう。経営者が「この人だ!」と思っても、相手にそのつもりはないかもしれません。経営者は、クリニックの未来を決める最も大事な要素です。相手と丁寧な対話を重ね、本音を引き出しましょう。

③経営方針をすり合わせる

後継者が確定したら、クリニックの今後についてじっくり話し合うことが大切です。ここで注意したいのは、後継者の意見に耳を傾けること。経営者だからといって、相手に意見を押しつけるのはご法度。フレッシュな意見を取り入れつつ、長く愛されるクリニックになるための経営方針をすり合わせましょう。

④事業承継計画書を作る

クリニックの事業承継をより円滑に進めるために、事業承継計画書を作成することをおすすめします。ここからは、顧問税理士などに相談して、話し合いに同席したり、アドバイスをもらったりするといいでしょう。プロの知見や経験に基づいた事業承継のポイントを聞いておきましょう。

⑤経営を改善する

事業承継のポイントは、後継者に引き継ぐまでに経営課題を解決しておくことです。経営課題が残ったままだと、後継者が翻意してしまうかもしれません。また、経営者が変わると、どうしても既存の患者さんやスタッフは不安に思うもの。患者さんが減ってしまったり、スタッフが離職してしまったりすることもあります。そうしたリスクを減らすためにも、この段階で経営改善に取り組むことをおすすめします。

⑥財産権と経営権を後継者に移転する

最後は事業承継の本番、財産権と経営権の移転です。これでクリニックの承継は完了となります。承継が完了したら、先代は後継者にあまり口出ししないこと。「相談されたらアドバイスする」という姿勢で、どんと構えておきましょう。

まとめ

クリニックの承継は、後継者候補選びからはじまります。場合によっては、適切な人材が見つからず、育成しなければならないことも。クリニックが潰れてしまえば、患者さんやスタッフに多大な迷惑が及ぶでしょう。良い結果に結びつくよう、責任感を持って計画的に進めましょう。

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賢者の選択 サクセッション編集部

賢者の選択サクセッションでは、⽇本経済の課題解決と発展のためには、ベンチャー企業の育成と併せて、これまでの⽇本の成⻑を⽀えてきた成熟企業∕中堅‧中⼩企業における事業承継をフックとした経営資源の再構築が必要であると考えています。 ビジネスを創り継ぐ「事業創継」という新しいコンセプトを提唱し、社会課題である事業承継問題に真摯に向き合うことで、様々な事業承継のケースを発信しています。 絶対解の存在しない事業承継において、受け継いだ経営者が事業を伸ばす きっかけとなる知⾒を集約していきます。

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