COLUMNコラム
持続可能な「重工業製品」を国が後押し 大企業でも中小企業でもない新たなカテゴリ「中堅企業」も設定 9月法改正
日本企業の競争力を高め、国内投資を活発化させるための改正産業競争力強化法(以下「改正法」)が、2024年9月2日に施行された。「国際競争力のある商品の生産・販売」と、新たに定められた「特定中堅企業者」の2点に対し、税制優遇や金融支援などを行う。
目次
国際競争力のある商品に対する優遇措置
経済産業省によると、改正法における「国際競争力のある商品」とは、「電気自動車」と「半導体」、CO2を大幅削減した製造法を用いた鉄鋼「グリーンスチール」、石油由来ではなく再生可能資源を原料とした化学製品「グリーンケミカル」、植物油や廃食油などから製造される「持続可能な航空燃料(SAF)」の5種だ。
これらの生産・販売計画の認定を経産相から受けると、10年間の税額控除を受けることができ、「日本政策金融公庫による大規模・長期の金融支援(ツーステップローン)」なども利用可能となる。
新たに定義された「特定中堅企業者」
また、改正法は、従業員数2000人以下の企業(※より規模の小さな中小企業を除く)を新たに「中堅企業」と定義した。国内で約9000社が対象となる。
このうち、特に賃金水準が高く、国内投資に積極的な中堅企業を「特定中堅企業者」とし、特別な税制優遇、金融支援などの対象としている。
特定中堅企業者は、賃金や賃金伸び率、売上高に対する投資比率が業種別平均以上で、外部有識者で作る評価委員会が十分な経営能力があると判断した企業。認定により、日本政策金融公庫による大規模・長期の金融支援や、知財管理に関する助成・助言などを受けることができる。
事業承継に伴う事業再編
今回の改正法は、成長意欲を持った中堅事業者の事業再編を積極的に支援する内容が多く盛り込まれた。従来、中堅企業は中小企業政策の対象外となっており、課題に応じた措置が講じられてこなかった背景がある。
事業承継のタイミングを迎えている企業にとって、特定中堅企業者の認定基準を指標に、事業再編に取り組むことも選択肢の一つとなる。
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