COLUMNコラム
事業承継に必須!「経営ビジョン」の意義と立て方のポイント
あなたの会社には、経営ビジョンがあるでしょうか。数年以内の事業承継を検討しているなら、後継者選定・育成の第一歩として、経営ビジョンの設定が有効です。本記事では、事業承継における経営ビジョンの必要性と、経営ビジョンの立て方のポイントを紹介します。
目次
そもそも「経営ビジョン」とは?
経営ビジョンとは、企業の目標をまとめたものです。従業員に経営ビジョンを浸透させることで、どのような状況下であっても、進むべき道筋を示し、団結力を高めることができます。組織全体の行動規範であり、判断基準の軸となるのが、経営ビジョンなのです。
「経営ビジョンと経営理念は何が違うのか」と疑問に思う方もいるでしょう。経営理念は文字通り経営するにあたっての理念のことで、企業活動の根底にあり続けるものです。基本的に、一度設定されると、変わることはありません。
一方で、経営ビジョンは、市況などによって変わることが十分にあり得ます。
事業承継と経営ビジョン
事業承継にあたっては、事業承継計画を立案し、それに沿って承継を進めていくこととなります。事業承継計画の立案と、事業承継計画の実践においては、経営ビジョンが不可欠です。その理由を解説します。
経営ビジョンの設定により、後継者選び・教育の方針が見えるから
事業承継計画を立てる際は、現経営者の考えを整理する必要があります。自身の考えや、「今後会社をどのようにしたいか」といった展望をまとめることは、後継者の指名にも、後継者教育にも欠かせません。
なぜなら、自身の考えや展望がクリアになっていないと、誰を後継者にしていいかわからないからです。「海外進出したい」なら海外経験が豊富なAさんを、「地域とのつながりをより強固なものにしたい」なら社歴が長く地域から愛されているBさんを、「上場に向けて動き出してほしい」なら従業員からの信頼があつく推進力のあるCさんを後継者に指名する……といったように、自身の展望をかなえてくれそうな人選が必要となるでしょう。
また後継者教育を施すにあたっても、経営ビジョンがないと、「その人は何が得意なのか」「今後の会社のために、どのような能力を磨き、どのような経験をしてほしいのか」が見えてこないはずです。
そうした考えをクリアにし、まとめたものが、経営ビジョンです。経営ビジョンを設定することで、事業承継はより円滑になるとともに、後継者に継いだ後の会社も安泰となるでしょう。
経営方針の継承に役立つから
現経営者の考えや展望、つまり企業の目標をまとめたものが経営ビジョンだとすれば、経営ビジョンは、現経営者の経営方針が濃密に凝縮されたものであるともいえます。
経営ビジョンとして、経営方針を明確に言語化しておくことで、経営者が代替わりしても方針をしっかり引き継いでいくことができるでしょう。
「後継者は自分の背中を見てきていたから、あらためて言葉にしなくてもきっと伝わっているはず」などと過度な期待をせず、明確に言語化して伝えることをおすすめします。
経営ビジョンとは、企業の目標をまとめたものです。従業員に経営ビジョンを浸透させる事業承継計画は、会社のビジョンや将来の経営目標と切り離しては考えられません。後継者への経営権の承継は、将来の会社の売上(利益)規模や事業内容、組織体制等と併せて考えていく必要があります。
経営ビジョンの立て方のポイント
では、経営ビジョンはどのようにつくっていけばいいのか。ここでは、そのポイントをまとめて紹介しましょう。
事業ドメインを明確にする
まず、事業ドメインを明確にすること。自社が手がける事業の範囲、つまり「自社は何をする会社なのか」をはっきりさせましょう。
「そんなのもう決まっているし、あらためて検討することではない」と思う方もいるかもしれませんが、ここでは幹部らとともに議論の時間をとることをおすすめします。外部環境・内部環境・自社の強み・自社の弱みをあらためて見つめ、分析したうえで、今後も成長を続けられる事業ドメインを選択しましょう。
数値目標を設定する
2つ目は、数値目標を設定すること。中期的なビジョンを数字にして、誰にでもわかる形に示します。
具体的には、3年後、5年後の数値目標を考えてみるといいでしょう。「3年間の売上高成長率10%を目指す」といった具合で、「期限」と「目標」の2つの数字を入れましょう。
なお、ここでは「実現は可能だが背伸びが必要」と思われる数字にすることがポイントです。
経営基本方針を示す
3つ目は、経営基本方針。先ほど挙げた数値目標を達成するための具体的な方針や行動基準を提示します。そして、実際の人事評価にリンクさせましょう。
まとめ
事業承継は、会社をアップデートさせるチャンスです。
現経営者は、まず経営ビジョンを設定する作業を通して、数年後の自社に思いをはせましょう。その作業が、後継者選定や育成にも必ず生きるはずです。
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