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新規事業開発を成功に導くための流れと押さえるべきポイント

事業承継を考える人、特に後継者にとって切っても切り離せないものが新規事業開発。とはいえ、一から事業を立ち上げるためには、徹底した準備やノウハウが必要とされます。「新規事業の開発を考えているけれど、何から始めればよいかわからない」という人に向けて、新規事業開発の概要から流れ、成功のためのポイントと成功事例を紹介します。

新規事業開発の概要

新規事業開発とは、新しく自社でビジネスを始めることをいいます。
新規事業開発においては、十分な労力と準備が必要です。
消費者ニーズの多様化、デジタル技術の発展、グローバリゼーションや経済情勢の変化などの時代の流れに合わせて、新たな商売を生み出すことが求められます。

新規事業開発~実行までの流れ

新規事業開発を実行するまでのプロセスは以下の通りです。

①目的を明確化する

新規事業を始めるにあたって、まずは目的を明確化し、方向性を定めましょう。
市場の拡大や売上高の向上、人材育成など自社の課題によって設定する目的は異なります。
そのため、目的を明確化するために、事業ビジョンや課題を洗い出し、現時点で必要性の高い取り組みや達成すべき目標を考えるべきです。

市場調査・顧客調査を行い情報収集

次に、市場や競合他社の動向、顧客のニーズなどあらゆる情報を収集します。
情報収集の方法としては、アンケートやインタビュー、街頭調査などがあります。

市場調査・事業調査を行って収集した情報をフレームワークに落とし込んで分析することで、安定性の高いアウトプットや時間短縮につながります。
またそれだけでは掴めない潜在的なニーズ(顧客インサイト)を掴むことで、より深い分析や検討が可能になります。

集めた情報を基に人材や資金なども含めた事業計画を立案する

集めたデータを基に事業モデルを構築し、人材や資金なども含めた事業計画を立案します。
その際、最終目標に向けた事業進捗を管理するために、中間目標となる「マイルストーン」を設定しましょう。
たとえば、飲食業で将来的な店舗を増やす場合、「中期目標の店舗数」などがマイルストーンに該当します。

事業計画に基づいて実行する

最後に、立案した計画に基づいて事業を進めていきます。
実行する際は、効果測定を定期的に行い、事業計画に対する進捗の遅れなどが生じた場合は、改善策を検討し、迅速に対応するようにしましょう。

新規事業を成功させるポイント

新規事業を成功させるポイントは以下の3つがあります。

①ターゲットやニーズを明確化するための情報収集

プロセスでも触れたとおり、事業を行う種となるターゲットやニーズを明確化するために情報収集を行うことは重要です。
あくまで仮説を立てて終わるのではなく、実際にアンケートやインタビューなどを行い、事実を把握するようにしましょう。

②人材育成とチームのモチベーションを高める環境づくり

新規事業は不確定要素が多いため、チームのモチベーションを損なってしまう恐れがあります。
しかし、新規事業に携わるメンバーのモチベーションをいかに高めて維持するかどうかが、新規事業を成功させるためのカギとなります。
また、新規事業の立ち上げには行動計画を進めてくれる人材が必要なので、社内に優秀な人材がいない場合は、しっかりと育成するようにしましょう。

③事業をスムーズに進行するために具体的な計画を立てる

事業をスムーズに進行するためには、「誰が」「いつ」「どんな行動をする」というような具体的な計画を立てておくことが重要です。
最終的には、時間軸で計画を立てられればさらに進めやすくなるでしょう。

新規事業の成功事例

ここからは新規事業に成功した具体的な事例を2つご紹介します。
企業によって参考になるかどうかは異なるので、一つの例として理解しておくことをおすすめします。

セガサミーグループの事業承継

パチンコ・パチスロ事業で知られる「サミー」とゲーム業界大手「セガ」の両社が経営統合して生まれた「セガサミーグループ」を率いるのは、サミー前社長の息子である、里見治紀氏です。経営統合を機に外部企業からサミーに入社した里見氏は、社内の様々なポジションを経験した後、セガのアメリカ拠点に異動し、承継者となるためのスキルとノウハウを徹底的に学びました。その後、スマートフォンゲームに特化した新ビジネスを立ち上げ、一度は失敗したものの、出向中の社員を自社に呼び戻して開発した新ゲームがヒットし、黒字化を達成しました。

詳しくは、過去の記事もご参照ください。
(「巨大エンタメ企業を率いる二代目が父の背中から学んだこと−−セガサミーグループの事業承継/里見治紀インタビュー#1」)

株式会社西村プレシジョンの事業承継

眼鏡産業の盛んな福井県鯖江市にある「西村プレシジョン」は、元は眼鏡の部品を作る中小企業でした。その2代目である西村昭宏氏が入社した当時、眼鏡産業は中国に市場を取られ、厳しい状況に置かれていました。そんな中、西村氏は自社の強みであるチタンの加工技術に注目し、高度な技術を活用して眼鏡を作ろうと思いつきます。さらに、需要があるのに市場が伸びていない老眼鏡に目をつけ、持ち運びや掛け外しのしやすい厚さ2ミリの老眼鏡「ペーパーグラス」を開発しました。また、「本の栞にもなる」というユニークなPRを展開したところ、1個1万5000円という高価格であるにも関わらず売上を伸ばし、会社の立て直しに成功しました。

詳しくは、過去の動画もご参照ください。
(「【The Succession】第3回_株式会社西村プレシジョン」)

まとめ

景気や消費者の動向が刻一刻と変化していく中で、新規事業の開発は事業承継を考える経営者にとってはとても重要な課題です。

本記事内でも、新規事業の成功事例を紹介いたしましたが、過去記事では、承継者による第2創業についてのインタビューを掲載していますので、ぜひご参照ください。
(「第2創業」生み出す事業承継が日本の企業社会を進化させる/入山章栄ロングインタビュー#1)

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賢者の選択サクセッション編集部

日本の社会課題である事業承継問題を解決するため、ビジネスを創り・受け継ぐ立場の事例から「事業創継」の在り方を探る事業承継総合メディア「賢者の選択サクセッション」。事業創継を成し遂げた“賢者”と共に考えるテレビ番組「賢者の選択サクセッション」も放送中。

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