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オープンイノベーションを企業が導入する理由とは? 成功事例も紹介

企業の持続的成長のため、ビジネスの幅広い領域で活用されているのが「オープンイノベーション」です。デジタル化の進展や新型コロナウイルスの流行などの環境変化に対応すべく、オープンイノベーションを取り入れる企業は増加しつつあります。この記事では、オープンイノベーションの概要のほか、実際に成功した事例も紹介します。

オープンイノベーションの概要

オープンイノベーションとは、企業・組織などが外部リソースを駆使し、革新的な製品やサービスを生み出すことです。自社内のみで研究・開発を行う「クローズドイノベーション」と異なり、オープンイノベーションでは企業の枠に囚われない新たな価値を創造できます。

企業がオープンイノベーションを行う理由

企業がオープンイノベーションを行う理由は、主に以下の3点が挙げられます。

・新たな技術やアイデアの受容
他企業・研究機関・大学・スタートアップなど、あらゆる組織と連携することで、自社内だけでは思いつかなかったアイデアや革新的な技術を得られます。組織全体の成長や事業促進などの効果が期待できます。

・ビジネスの加速
自社のみで研究や開発を行う場合よりも開発スピードが向上します。また、事業の立ち上げの時間短縮にもつながります。

・コストの削減
新たな事業領域に取り組む場合、自社のリソースだけでは膨大なコストが発生します。外部の技術やアイデアを取り入れれば、費用と時間を削減できるでしょう。

オープンイノベーションを成功させるには

オープンイノベーションの成功にはいくつかのポイントがあります。ここでは、特に重要な4つの点について説明します。

・ビジョンを明確化する
どのような目的で、いつまでに何を行うのか、なぜオープンイノベーションを推進するかなどビジョンを明確にする必要があります。ビジョンを明確化し、組織全体に共有することで、事業をスムーズに進行できるでしょう。

・情報セキュリティの確保
外部との情報共有や連携を行う場合、情報セキュリティの確保が重要です。自社の知的財産や機密情報の取り扱いに注意し、適切な契約やセキュリティ対策を行いましょう。

・オープンイノベーションプラットフォームの活用
お互いのビジョンや価値観が合致する連携先を選定しましょう。他社とマッチングできるオープンイノベーションプラットフォームを活用すれば、効率的にパートナーを見つけられます。

・組織や環境の構築
外部組織とのコミュニケーションをスムーズに行うための組織や環境の構築も重要です。社内における必要な人材の採用はもちろん、外部機関からの人材紹介も検討しましょう。また、オープンイノベーション専門の部署の立ち上げなども重要です。環境を事前に整えておくことで、効率の良い事業・研究開発が実現します。

企業のオープンイノベーション成功事例

ここからは、オープンイノベーションの成功事例を3つ紹介します。

株式会社資生堂 x ドリコス株式会社

ドリコスは、2012年に設立されたベンチャー企業です。半導体技術を活用したサービスを提供しており、「テクノロジー」と「飲む」をキーワードに事業を展開しています。

同社は、サービス品質の担保、流通・販売チャネルの確保、新たなビジネスの創出を目指して、大企業との業務提携を検討していました。

一方、資生堂は、部署の垣根を越えた横断的なプロジェクトの推進を目的として、ベンチャーとの提携を模索していました。

両社は、事業シナジーがあると判断し、2017年6月に包括的業務提携を締結しています。

業務提携後は、共同開発プロジェクトとして、好みの香りにカスタムできるアロマディフューザー「BliScent」を開発しました。同商品は、海外でも高評価を得ています。

日本航空株式会社 x 株式会社みんなのごはん

日本航空株式会社(JAL)と株式会社みんなのごはんは、国際線の機内食を共同で開発しました。みんなのごはんは、ベジタリアンやビーガン、アレルギー、宗教食などのコンサルティングやレシピ開発に強みを持つベンチャー企業です。

JALは、訪日外国人観光客の増加に伴って、多様化している機内食ニーズに対応するため、ベジタリアンに対応した特別食の品質向上を目指していました。その中で、みんなのごはんのベジタブルフードのおいしさに感動したJALの担当者が、プロジェクトを本格的にスタートさせます。

2014年5月には、JALの機内食の製造工場で何度もミーティングを重ね、2015年1月に正式契約を締結。そして、2015年6月から、実際にJALの国際線でベジタリアンミールの提供が開始されました。

ベジタリアンミールは、利用者から「おいしかった」との意見が多数寄せられるなど、好評を博しています。

花王株式会社 x 株式会社ヘルスケアシステムズ

花王株式会社と株式会社ヘルスケアシステムズは、2021年6月から「皮脂RNA」を活用し、自宅で健康状態の把握ができる郵送検査サービスを開発しています。ヘルスケアシステムズは名古屋大学発ベンチャーとして、「未病」をテーマにした郵送検査キットの開発、販売を手掛けている会社です。

花王は原材料調達からR&D、生産、販売まで一貫して自社で行ってきましたが、近年は消費者ニーズの多様化や変化スピードに課題を抱えていました。こうした課題から、オープンイノベーションを活用する方針に転換しています。

花王は皮脂RNAを採取後、常温で安定的に保存・輸送できる技術を持ち、ヘルスケアシステムズは、郵送検査事業の商流やノウハウがあります。このような2社の強みが事業を成功へと導きました。また、今後は郵送検査サービスの種類の拡充を目指しているとのことです。

まとめ

今回は、オープンイノベーションの概要と成功事例を解説しました。オープンイノベーションを取り入れることで、外部の技術を活用でき、新たな領域における事業展開やスピード感のある開発が可能となります。実際にオープンイノベーションを取り入れ、新たな事業の展開に役立てている企業は多く存在します。

また、事業の発展には事業承継も有効です。事業承継については、過去記事で詳しく解説していますので併せてご覧ください。
「事業承継の流れを7つのステップで解説!」

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賢者の選択サクセッション編集部

日本の社会課題である事業承継問題を解決するため、ビジネスを創り・受け継ぐ立場の事例から「事業創継」の在り方を探る事業承継総合メディア「賢者の選択サクセッション」。事業創継を成し遂げた“賢者”と共に考えるテレビ番組「賢者の選択サクセッション」も放送中。

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