COLUMNコラム
新規事業の創出に役立つフレームワーク、成功事例を紹介!
新規事業の創出に成功できれば、事業規模の拡大や、安定した経営を実現につながります。また、新規事業の開拓には、業界への深い知見や既存事業での功績による信頼があるというメリットがあるため、ベンチャー企業による新規事業の開拓よりも優位に参入できるでしょう。しかし、新規事業創出は簡単ではありません。本記事では、新規事業の創出に役立つフレームワークや、成功事例についてわかりやすく解説します。
目次
新規事業を創出する方法(フレームワーク)
新規事業を創出する際には、フレームワークの活用が有効です。
フレームワークを活用するメリットとして、「アイデアや思考が整理しやすい」「検討している内容の抜け漏れが減る」「思考や戦略を共有しやすい」といった点が挙げられます。
ここでは、新規事業を創出するためにおすすめのフレームワークを4つ紹介します。
・マンダラート
マンダラートは「9マス×9マス=81マス」のマスを中心とし、アイデアを深掘りしたり、関連する事柄を見つけたりするフレームワークです。一つひとつのアイデアを整理・拡大する場合に役立ちます。
・アナロジー分析
アナロジー分析は、他業種の成功事例を自社の場合に置き換え、取り入れてアイデアを出すフレームワークです。具体的な成功事例を挙げ、「自社の場合なら」と置き換えをしたり、成功事例と自社の共通点などを考えたりします。他業種の事例を活用する理由は、業界内の常識にとらわれないようにするためです。
・ペルソナ分析
ペルソナ分析は、ペルソナと呼ばれる「架空のターゲット」を作り上げ、その人物像からニーズやインサイトを考えるフレームワークです。
ペルソナには、以下のような属性や情報を設定します。
<ペルソナの設定項目例>
性別・年齢・職業・居住地・家族構成・年収・貯金・趣味・ライフスタイル・新規事業で解決できる悩みなど
関わる人がターゲットに関する共通認識を持てるよう、詳細に設定することがポイントです。
・スキャンパー法
スキャンパー法は、7つの質問から既存のアイデアを拡大・派生させるフレームワークです。
以下の7項目の頭文字をとってSCAMPER(スキャンパー)といいます。
<SCAMPERの7つの質問>
Substitute(代用):他の方法や物で代用できないか?
Combine(組み合わせ):既存のアイデアを組み合わせられないか?
Adapt(適応):他の物を適用したり応用できたりしないか?
Modify(修正):修正や変更することで、新しい価値を生み出せないか?
Put to other uses(他の使い道):他の目的などに応用できないか?
Eliminate(削減):不要なものを取り除き、コンパクトにできないか?
Reverse/Rearrange(逆転/再編成):プロセスを逆転したり並び替えたりして、新しい価値を生み出せないか?
フレームワークを活用するコツ
フレームワークを活用するには3つのコツがあります。
・複数のフレームワークを使う
フレームワークを活用するには、複数のフレームワークを利用しましょう。一つのフレームワークだけを使用していると、認知バイアスやフレームワークの性質によって、見落としが出る恐れがあるためです。複数の視点を組み合わせ、活用することで、視野が広がったり、より内容を網羅して分析・整理できるようになったりするでしょう。
・新規事業の目的やゴールを設定する
フレームワークを使用する際には、新規事業の目的やゴールをしっかりと設定しましょう。特に注意すべきなのが、フレームワークの使用が目的になってしまうことです。フレームワークはあくまでツールであり、手段です。目的やゴールがない状態で検討をしてもいいアイデアは生まれません。
目的やゴールが明確にあれば、それを基に検討できるでしょう。
・客観的な視点でみる
フレームワークを使用する場合、常に客観視をしながら検討することが大切です。ユーザーの視点や市場のニーズを理解して検討することで、より実現性のある新規事業を創出できます。
新規事業創出のポイント
多くの新規事業が立ち上げられていますが、その中で成功し継続できているものは10%にも満たないといわれています。では、新規事業創出を成功させるには、どのような対策が必要でしょうか。
新規事業創出を成功させるには?
新規事業創出を成功させるには、3つのポイントがカギです。
・経営理念を決める
経営理念は、会社やその経営者がどのような考えをもとに事業を行うかを表します。経営理念を定めると、その考えに共感する人が従業員として集まります。また、顧客も経営理念に賛同する人になるため、新たな事業展開もしやすくなるのです。
・ロールモデルを設定する
ロールモデルとは、行動や考えが規範となる人をいいます。ビジネスでは、どのような顧客を獲得し、その人がどのように満足したのかを想定することが重要です。新規事業の場合は、どのような顧客をターゲットとし、その人がどのような商品やサービスにより満足してくれるのかを考えます。
・事業を成功させるためのプロセスが重要
アイデアを事業化するまでには、いくつかのプロセスがあります。プロセスを飛ばして、いきなり商品化をしてお店に並べたとしても、消費者は購入してくれません。
そのため、以下のプロセスは必ず実践しましょう。
1.新規事業と経営理念にズレがないか考える
2.市場の状況やニーズ、顧客の悩みや問題と感じているポイントを分析する
3.商品やサービスにオリジナルの付加価値をつける
4.試供品やテスト販売で顧客の意見をくみ上げる
5.商品・サービスを改良し、提供する
うまくいかない場合には最初から考え直し、ベストなアイデアが出るまでプロセスを繰り返すことも必要です。
新規事業創出における注意点
新規事業の成功には、スピードが最も重要な要素と言えます。競合がいない市場を見つけたとしても、立ち上げまでに時間がかかってしまえば、その間に競合が参入してシェアが奪われるリスクなどがあるためです。また、仮に新規事業がうまくいかなかった場合、その事業を立ち上げるためにかかった時間が無駄になったり、撤退や中止といった切り捨ての判断をしにくくなったりするデメリットもあります。
新規事業創出は成功までの早さだけでなく、失敗までのスピードも大切です。失敗までのスピードとは、その事業が失敗したと判断するまでの時間を指します。結果を素早く出すことで、リソース不足といった失敗リスクを回避し、次の新規事業に素早くつなげられます。
新規事業の創出に成功した大企業の実例を紹介
新規事業の創出に成功した大企業の実例を紹介します。
・日本交通株式会社の成功事例
日本交通は創業95年、グループの売り上げが日本一のタクシー会社です。2005年に業界最年少で代表取締役社長に就任した3代目の川鍋一朗氏は、経営難に陥っていた日本交通を大胆な経営改革で立て直しました。
しかし、入社後わずか半年で会員制ミニバン・ハイヤー事業を展開する子会社を設立するも、多額の赤字を出すという失敗も経験しています。そうした挑戦ののち、日本交通は日本初のタクシー配車サービス「Japan Taxi」をリリースしました。IT分野を強化するため、DeNAの配車サービス「MOV」と事業を統合したのです。日本交通の経験と、DeNAのIT技術をかけ合わせた配車アプリ「GO」を生み出し、今や日本の交通の重要な役割を担っています。
まとめ
新規事業の創出は、企業の衰退を回復に導くための効果的な手段です。この時、検討したい内容や目的に合わせた複数のフレームワークを活用することで、思考や膨大な情報を整理できるでしょう。
新規事業については、以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひ併せてご覧ください。
>>新規事業の立案過程、便利なフレームワークや事業を成功に導くコツを紹介!
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