COLUMNコラム
企業の成功・失敗事例にみる新規事業立ち上げのポイント!事業計画の基本をおさえよう
この記事では、新規事業について、成功させるステップやポイント、事例を解説します。新規事業が成功・失敗する要因、企業の強みや弱み、課題、立ち上げを成功させる7つのステップについて知りたい人はぜひご覧ください。新規事業に取り組み、会社の発展を目指しましょう。
目次
新規事業を立ち上げる狙い・メリット
新規事業を立ち上げ、会社の発展に繋げたいと思う経営者は多いのではないでしょうか。
新たに事業を行うことは、既存事業の行き詰まりを解消する狙いがあります。また、起業するよりも失敗するリスクが少なく、これまでの事業で築いてきた信頼や資金を活用できることは大きなメリットです。
また、事業承継後に新規事業を成功させた後継者もいます。例えば「日本長者番付2023年」で1位である株式会社ファーストリテイリングの代表 柳井正氏は、父から受け継いだ紳士服専門店をカジュアルな衣服の販売店へ新たに変貌させ、成功を収めました。
新規事業の立ち上げを成功させる7つのステップ
1.目的を明確化する
・事業コンセプトを明確化する
事業コンセプトは、「だれに:顧客ターゲット」「何を:提供価値」「どのように:提供方法」で構成され、明確化することが重要です。顧客ターゲットは、年齢や性別、職業などで絞り込むことが一般的ですが、「〇〇に困っている人」など心理的側面にフォーカスすることで、新たな市場を引き起こせるかもしれません。
・MVVやペルソナ設定の活用
目的の明確化には、MVV「ミッション(果たすべき使命や役割)」「ビジョン(目標)」「バリュー(行動指針)」の3つを定義し、事業メンバーと再度共有することもおすすめです。
また、ターゲットの選定にはペルソナ設定が有効です。年齢や職業、趣味、休日の過ごし方など架空の人物を作り出し、具体的な人物像やストーリーを設定していきます。ペルソナである顧客がどうしたら商品を手にするのか、一連の購買行動を考えましょう。
2.顧客の不満や課題を発見し、ニーズ把握する
既存事業から顧客の不満を把握し、課題やニーズを探し出しましょう。新規事業の立ち上げは、ニーズに合った商品に仕上げていくため、仮説検証のサイクルを根気強く、かつ素早く行うことが重要です。
3.新規事業のアイデアを考える
ニーズを把握できたら、次にアイデアを出します。アイデアを考えるときは、フレームワークを活用することがおすすめです。また、事業案として出たアイデアに「新奇性」「解決性」「収益性」が備わっているかは、事業化への基準となります。独創的であり、顧客の問題を解消でき、収益化できることが必要条件です。
4.市場調査
対象となる市場規模、想定顧客数、成長性、参入企業との勝機などを把握することが市場調査では大切です。市場調査のデータ分析に活用できる、4つのフレームワークを紹介します。
(1)PEST分析
PESTとは市場に影響する外部要因の頭文字であり、政治・経済・社会・技術の多方面から分析することでトレンドに合わせた戦略に繋がります。
・Politics(政治):ビジネスに関する法律や政治動向
・Economy(経済):顧客の所得変化や経済水準、為替、金利
・Society(社会):人口の推移、顧客の価値観・習慣
・Technology(技術):製品開発、製造技術の進化
(2)3C分析
客観的に自社を評価し、他社と比較することで分析がしやすくなるため、3Cに分けて把握することもおすすめです。
・Customer(顧客):顧客のニーズ、対象
・Company(自社):自社の強み、弱み、評価
・Cometitor(競合):他社の現状や市場シェア、強み、弱み、評価
(3)SWOT分析
3C分析やPEST分析で得た情報を整理し、優先順位を考えていきます。
・Strengh(強み):自社の強み
・Weakness(弱み):自社の弱み
・Opportunity(機会):社会、市場の変化で受けるプラス効果
・Threat(脅威):社会、市場の変化で受けるマイナス効果
(4)ファイブフォース分析
自社を取り巻く外部からの脅威を分析するもので、5つの対象があります。
・業界内での競合
・業界への新規参入者
・代替品の存在
・買い手(顧客)の交渉力
・売り手(サプライヤー)の交渉力
潜在的な脅威を把握することで、価格帯や撤退のタイミングなど、重要な基準を具体化しやすくなります。
5.事業計画の作成
ビジネスやアイデアの全体像、製品やマーケティングに関する情報など、事業を成功に導く方法をまとめたものが事業計画書です。事業計画書には、以下の内容を含めることが一般的です。
・事業の概要
・市場のニーズ
・製品、サービスの内容
・ターゲット顧客
・競合
・マーケティング戦略
・収益計画
・チーム構成
読み手を意識して作成しましょう。
6.新規事業スタート
事業計画書が採用となったら、新規事業を始めます。事業は参入時期が大切なので、スピード感をもって進めましょう。
7.事業結果を改善
事業が始動してからは、顧客からのフィードバックを大切にして、修正・改善を繰り返しましょう。顧客の不満から改良を重ねることで、よりニーズの高いサービスへと進化します。
新規事業が成功・失敗する理由
新規事業の成功に必要なポイント
新規事業を立ち上げ成功させるために必要なポイントを5つ紹介します。
ターゲットの明確化
新規事業で成功している企業は、ターゲットの明確化ができています。新規事業のステップ1である「事業コンセプトの明確化」は、事業の成功に必要不可欠です。様々な側面から検討を重ね、ターゲットを設定すると良いでしょう。
チームは適正な数で構成する
チームの規模が大規模になりすぎないように注意しましょう。ビジネスモデルの検証・改善サイクルは迅速さが重要になるため、必要最低限のメンバー数が理想です。また、メンバーは立候補制にすることも一つの手です。モチベーションを保ちながら事業を進めるためにも、熱量のある従業員を選ぶことも良いでしょう。
強みを生かす
3C分析やSWOT分析を行うと、他社にはない自社の強みが見えてきます。既存事業でも生かされた強みは、新規事業でも活用できるでしょう。
撤退の条件を決めておく
新規事業は参入のタイミングも重要ですが、同様に撤退のタイミングも重要です。条件を設定し、このラインを超えたら撤退すると決めておくことで、会社へのダメージを最小限に抑えられます。
継続的に取り組む体制が整っている
いくら良い商品・サービスであっても、継続的に提供できるシステムがないと長続きしません。システム化した後もイレギュラーに対して柔軟に対応することで、生産性が向上します。
新規事業が失敗する要因
新規事業が失敗する要因を2つ紹介します。
事前準備の不足
大きな失敗の要因として、事前の準備が不足していることが挙げられます。ニーズが不足したり、情報収集が不十分だったり、資金面での不足が生じることを、事前の段階で防ぐことが重要です。特にニーズ不足は、失敗のリスクを高める要因となるため、ターゲットの選定や市場調査をしっかりと行いましょう。
スピード不足
事業成功においてスピード感は非常に重要です。流行やブームが去ると需要が低下する可能性があり、需要があっても競合が多数参入することでリスクが生じるかもしれません。将来の脅威を見極め、参入するタイミングを見極めることが大切です。
新規事業立ち上げの成功・失敗事例を紹介
成功事例
株式会社 星野リゾート
全国だけでなく世界にも展開している星野リゾートも、事業承継を行った企業の一つです。現社長である星野佳路氏は、代表に就任した際に役員の交代を依頼し、社内体制の改革を成功させました。運営する施設はすべて「コンセプト」を重要視しています。このコンセプトの徹底が、他のリゾートの差別化を生み、成功を遂げたといえるでしょう。
星野代表のインタビューは、以下の記事で詳しく紹介しているのでご覧ください。
【第9回放送】星野リゾートの事業承継 前編(本編)
株式会社 陣屋
株式会社 陣屋 代表取締役 宮﨑 知子氏は、10億円の負債がある老舗旅館を再建させた若女将です。社長就任直後から、問題点であるアナログな体制をデジタル化するため、自社でIT管理システム「陣屋コネクト」を開発しました。このシステムはライセンス販売により全国450施設で利用されています。また陣屋の売り上げは3倍となり、旅館でのデジタルトランスフォーメーションを成功させたのです。
宮﨑社長のインタビューは、以下の記事で詳しく紹介しているのでご覧ください。
【第7回放送】株式会社陣屋の事業承継(本編)
失敗事例
株式会社ファーストリテイリングの野菜生産・販売
ユニクロやGUを展開する株式会社ファーストリテイリングは、2002年に野菜の生産・販売事業「SKIP」をスタートさせましたが、一年半で25億円以上の赤字となり撤退しました。原因として、顧客のニーズ把握が甘かったこと、準備不足であったことが挙げられています。
この新規事業の担当者は失敗を生かし、新たに任された事業では顧客のニーズ把握や準備に注力し「990円ジーンズ」で成功を収めました。リーマンショック後の景気低迷時に販売したことで、インパクトとタイミングがマッチしたことも成功要因の一つです。
まとめ
この記事では、新規事業が成功・失敗する要因について解説しました。企業には強みや弱み、課題があります。新規事業は、現状の課題や顧客の不満を洗い出し会社の磨き上げを行ういい機会です。新規事業を成功させるためにも、他社の成功例や失敗例、共通する要因などを理解しておくと良いでしょう。
過去記事では、新規事業にも必須である経営ビジョンについて、詳しく解説しているので、ご参照ください。
>>事業承継に必須!「経営ビジョン」の意義と立て方のポイント
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