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「事業承継補助金」の審査に通るためのポイント

事業承継の際に申請できる補助金制度があることはご存じでしょうか。承継者だけではなく、後継者不足に悩んでいる方も対象とされている制度で、うまく活用すれば、事業承継や新たな取り組みにかかる費用を賄うことができます。今回は、補助金を受け取るための審査に通る方法などについて解説していきます。

事業承継補助金(事業承継・引継ぎ補助金)とは

「事業承継・引継ぎ補助金」とは、事業承継を促進するための補助金制度です。経営者の高齢化や後継者不在率が高いことにより、廃業に至る事例が増加していることを受け、中小企業・小規模事業者の事業承継を国をあげて支援しようという取り組みで、事業承継にかかる費用の他に、事業の再編や事業統合における費用に関してもその一部を補助しています。

事業承継補助金(事業承継・引継ぎ補助金)制度のポイント

事業承継を行えば誰でも補助金を受け取れるというわけではありません。事業承継・引継ぎ補助金では、その対象となるための条件が複数定められています。また申請の準備を始めるにあたり、申請から補助金の交付までにはどのくらいの時間を要するのか、確認しておく必要があります。補助金を申請する前に押さえておきたいポイントについて解説しますので、参考にしてみてください。

①申請はシステム経由で行う

事業承継・引継ぎ補助金の申請には、経済産業省が運営している補助金の電子申請システム「jGrants」を使用します。jGrantsを利用するためには、アカウントを作成しなければならず、作成時にメールアドレスや携帯番号の他にも、印鑑証明書や申請書が必要になるため、早いうちから準備をするように気をつけましょう。

②申請から補助金交付までには時間がかかる

事業承継・引継ぎ補助金の申請期間は、順次募集がかけられており、今年は現段階(令和5年8月)で第6次まで公募が進んでいます。申請受付から補助金の交付までには約一年かかるので、適したタイミングで申請できるように、こまめにチェックするようにしましょう。

③補助対象は限定的

事業承継・引継ぎ補助金の補助対象となるのは、経営革新事業、専門家活用事業の主に2つの事業者です。経営革新事業の事業者とは、事業承継を機に経営革新にチャレンジする人を指し、専門家活用事業者は、合併や買収によって経営資源を誰かから引き継いだ、あるいはその予定がある人のことを指しています。両者の補助上限額や補助率は同じですが、どちらの対象に含まれる可能性があるのか確認する必要があります。

④廃業・再チャレンジ事業の新設

補助対象として前述した2つの事業者に加え、令和3年度から廃業・再チャレンジ事業者も事業承継・引継ぎ補助金の対象となりました。補助金上限額はその他2つの事業者よりは低く設定されていますが、事業を始める際の費用を少しでも賄えるので、再チャレンジを考えている人はぜひ活用してみてください。

事業承継補助金の採択率をアップするコツ

事業承継の補助金を受け取るまでには、厳正な審査を通過する必要があります。特に、事業承継に伴う経営革新を対象とした補助金であるので、申請内容が明確でなければ不採択となる可能性があります。採択率を高め、補助金を受けとるために、申請書を書く際の注意点やアピールポイントについて紹介します。

①申請書は簡潔に、読みやすく

申請書の内容は、補助金の交付を判断する重要な要素です。事業内容やプランを明確にすることは大事ですが、詳細までを説明する必要はありません。コンセプトや過程、うまく行かなかったときの対応策など、事業の大枠を簡潔にわかりやすく記載することを心がけましょう。

②申請目的をしっかりアピール

申請書の中で最も重要視されるのは、申請の目的です。補助金を必要としている理由、またその使い道などを、明確に示すようにしましょう。申請書を記入するうえでも、申請目的がしっかり定まっていれば、その他の項目においても記入しやすくなります。また、申請目的として納得がいくようなアピールができているか、第三者に確認してもらうことも効果的です。

③事業の強みを明らかにする

補助金の採択数には毎年予算に応じて限りがあるので、優先してもらえるような強みをしっかりアピールする必要があります。事業承継により新たな取り組みを行うのであれば、事業のオリジナリティや地域経済への貢献度などについてアピールすると、採択につながりやすくなるでしょう。
また、金融支援を含む事業再生計画の策定や、経営革新計画の承認を受けていることなどは、申請時に加点ポイントとしてみなされるので、それらを証明する書類を提出することで、採択率を上げることができます。加点ポイントの項目は他にも複数あるので、確認してみてください。

まとめ

事業承継に伴う補助金制度について解説してきました。補助金の対象は限られていますが、採択されれば、事業の継続やさらなる発展のための費用として利用することができます。補助金の審査を無事にクリアできるように、申請する際にはご紹介した申請書の書き方をぜひ参考にしてみてください。
現段階で後継者が決まっていないという方でも、今後円滑に事業承継を進めるために補助金の活用について考えてみてはいかがでしょうか。

過去記事では、後継者問題やその解決法についても解説していますので、ぜひご参照ください
「後継者問題の実態とは?深刻化する原因や解決方法を解説」

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賢者の選択 サクセッション編集部

賢者の選択サクセッションでは、⽇本経済の課題解決と発展のためには、ベンチャー企業の育成と併せて、これまでの⽇本の成⻑を⽀えてきた成熟企業∕中堅‧中⼩企業における事業承継をフックとした経営資源の再構築が必要であると考えています。 ビジネスを創り継ぐ「事業創継」という新しいコンセプトを提唱し、社会課題である事業承継問題に真摯に向き合うことで、様々な事業承継のケースを発信しています。 絶対解の存在しない事業承継において、受け継いだ経営者が事業を伸ばす きっかけとなる知⾒を集約していきます。

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