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事業承継にかかる5つの料金を解説――節税も可能!
事業承継を円滑に完了させるには多額の費用がかかる――。そのようなイメージを抱き、事業承継の検討に二の足を踏んでいる経営者の方も多いのではないでしょうか。本記事では、事業承継で使用する料金について解説します。必要な料金を確認して、早期から準備しておきましょう。
目次
事業承継にかかる料金は5種類
多額の費用がかかるというイメージのある事業承継。日本商工会議所の「事業承継と事業再編・統合の実態に関するアンケート」(2021年)によると、後継者不在企業は約2割を占めています。事業承継の障害・課題として最も多かった回答は「後継者への株式譲渡」(約3割)。
後継者へ株式譲渡を行う際の障害としては、「譲渡の際の相続税・贈与税が高い」が約7割、「後継者に株式買取資金がない」が約6割と、資金面がネックになっていることがわかります。
事業承継にかかる費用は、主に以下の5種類です。
1.相続税
2.贈与税
3.不動産取得税登録免許税・不動産取得税
4.法人税・消費税
5.専門家へ支払う費用
それぞれについて見ていきましょう。
相続税
相続税とは
誰かが亡くなり、亡くなった人の資産が親族などに相続される際、対象となる資産に課されるのが「相続税」です。オーナー経営者が亡くなり、親族が会社の後継者となる場合は、相続人である後継者が相続税を納めます。相続税は累進課税となっており、相続時の取得金額が大きければ大きいほど、税率が上がります。
1000万円以下なら税率は10%、6億円超ならば55%となります。ただし、相続税には基礎控除額があり、取得金額が基礎控除額に満たない場合は相続税が発生しません。相続税の基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」で算出されます。
相続時精算課税制度とは
相続時に支払う税金を抑えるために知っておきたい制度として、相続時精算課税制度があります。相続時精算課税制度とは、父母または祖父母から子・孫への生前贈与のような制度。2500万円までは、贈与税を払うことなく贈与を受けることができます。
この制度では、まず贈与時に贈与財産に対する軽減された贈与税を支払います。続いて相続時には、その贈与財産とその他の相続財産を合計した価額を基に計算した相続税額から、既に支払った贈与税額を精算します。
事業承継税制とは
事業承継税制は、日本の中小企業の事業承継を促進するための特例措置です。事業承継税制を適用すると、事業承継で生じる贈与税・相続税の納税が猶予されます。具体的には、次の通りです。
・納税猶予の対象となる株式数:上限なし(これまでは発行済株式の3分の2まで)
・納税猶予の割合:100%(これまでは80%)
この制度の適用を受けるには、2023年3月31日までに特例承継計画書を提出する必要があります。
贈与税
贈与税とは、贈与人が資産を譲渡したとき、被贈与人に課せられる税金です。事業承継においては、後継者が贈与税を支払うこととなります。贈与税も相続税と同じく累進課税制度が適用され、贈与される額が高ければ高いほど贈与税の額も上がります。
暦年課税制度
贈与税には、暦年課税制度があります。この制度は、1月1日から12月31日までの1年間で贈与された財産の額に応じて課税されるというもの。この制度において、基礎控除額は1人あたり年間110万円です。1月1日から12月31日までに受けた贈与の合計金額が110万円以下であれば、贈与税を支払う必要はありません。
事業承継税制を贈与税に適用する
相続税のパートで説明した事業承継税制は、贈与税にも適用されます。これまでは、先代経営者と後継者はそれぞれ1名に限定されていました。ところが事業承継税制が改正されたことで、先代経営者と後継者、それぞれ複数人の承継が可能となっています。
たとえば父が経営者だとすると、父から子ども3名までの承継が納税猶予の対象です。同様に、先代経営者側を複数名とし、父と母の2名から子どもへの承継も対象となります。こちらも相続税と同様、2023年3月31日までに特例承継計画書を提出し、承認を受ける必要があります。
不動産取得税登録免許税・不動産取得税
事業承継においては、不動産の所有権移転にも課税されます。登録免許税は、土地や会社の登記に対して発生する税金のこと。不動産を承継する場合には、不動産の所有権移転登記が必要となるため、登録免許税が課税されます。不動産取得税は、土地・建物を購入したり、土地に建物を建築したりした際に発生する税金のことです。相続では課税されませんが、生前贈与を受けると課税されます。
法人税・消費税
一般的な事業承継では、法人税・消費税ともにかかりません。ただし、以下のようなケースは例外となります。
【法人税】
事業譲渡において、譲渡価額と譲渡対象となる負債との差額に対して課される
【消費税】
事業譲渡においては、個々の資産に対して課される
専門家へ支払う費用
事業承継を行う際は、多くの経営者がM&Aアドバイザー、弁護士、税理士、会計士などといった専門家に相談することになります。専門家に相談する際は、その報酬が必要です。
まとめ
事業承継にかかる費用は、場合によっては多額になりえます。もし少しでも不安があるなら、すぐに専門家に相談しましょう。専門家とともに、税制を活用したり、納税額を抑えたりする方法を検討して、円滑な事業承継を目指しましょう。
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