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その商標、譲り受けたのに…元の会社がそっくり製品を販売?/裁判で800万円以上の高額賠償に、事業承継の裁判トラブル

中小企業の事業承継が日本経済の課題となっていますが、企業トップが交代する事業承継にトラブルはつきもので、裁判沙汰に発展してしまう恐れもあります。商標を新会社に譲った会社が、再び酷似した名称の商品を販売し、裁判になったケースを紹介します。

洗剤の名前が酷似、レビューでも誤認続出

洗剤を扱うA社は2007年、新会社B社に洗剤などの販売事業を譲渡しました。

しかし6年後、A社はB社に譲渡した商標と酷似した名前の家庭用洗剤を自社サイトで発表し、販売を開始しました。

すると、Amazonなどの通販サイトで、両社の商品が混在して表示されるように。購入者のレビューには、同じブランドであると誤認したとみられる記載もありました。

さらにA社の代表は、B社の顧客となった企業と取引し、B社の評判を落とすような行為なども行いました。

事態を看過できなくなったB社は、A社に対して譲渡事業の商標を用いた洗剤販売事業の差し止めや損害賠償を求め、東京地裁に提訴しました。

判決は、名称が酷似していたことなどから、A社の「顧客を奪う目的」や「不正な競争」を認め、B社に対して800万円以上の賠償金の支払いを命じました。

また、販売権を譲渡した商品と類似した名称の洗剤・洗濯用品の製造、広告掲載などをA社に禁じました。

未払い残業代の請求など、事業承継で起こりがちな3つのトラブル

他にも、事業承継で起こりがちなトラブルはあります。

たとえば、先代経営者時代に未払い残業代があった場合、従業員は3年間、新しい経営者に支払いを請求できます。過去には、こうした事業承継時の未払い残業代を巡る裁判もありました。

会社と個人の財産が区別されていないケースも要注意です。事業承継時に個人所有の不動産を譲渡の対象に含めないまま、会社所有の不動産だけを譲り受けると、所有権を持つオーナーから地代や明け渡しを求められるトラブルになることもあります。

ほかに、株主名簿が未作成のまま株式譲渡をすると、誰か株主か分からなくなってしまうこともあります。

※こちらの記事は追記・修正をし、2024年2月27日に再度公開しました。

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