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明日からできる! 事業承継対策

「事業承継の準備を始めなきゃ……」と考えている中小企業の経営者・後継者候補は多くいます。しかし、「やるべきことがたくさんありすぎて、何から手をつけたらいいかわからない」と悩んでいる人も少なくありません。本記事では、円滑な事業承継を実現するために、事業承継対策の考え方、ポイント、事前準備の必要性、注意点をわかりやすく解説します。

なぜ事業承継には準備が必要なのか?

事業承継は、企業の持続的な成長と発展を目指す上で重要なプロセスです。承継がうまくいかないと、企業の価値が低下し、経営が混乱する恐れがあります。また事業承継は、中小企業であっても地域経済や雇用の安定にも寄与するため、社会的な意義も大きいものです。

ここでは、中小企業が事業承継対策を行うメリットを紹介します。経営者はもちろん、後継者(後継者候補)も必ず把握しておきましょう。

メリット1「スムーズな移行」

事業承継は「経営者の交代」という大きな変化を伴うため、経営者・後継者・従業員間のコミュニケーションが重要です。事前準備を行うことで、親族や従業員の混乱を最小限に防ぐとともに、ステークホルダー(顧客、取引先、従業員、株主など)への信頼を維持することができます。

メリット2「後継者の能力向上につながる」

後継者には、経営者として必要な知識やスキルが求められます。事前準備期間中に、後継者(後継者候補)の教育や研修を行うことで、承継後の業務遂行能力を向上させることができます。

メリット3「法務・税務対策ができる」

事業承継には、さまざまな法的手続きや税務上の対策が必要です。専門家に相談し、とりわけ相続や自社株の買い取りに関する事前準備を行いましょう。後継者や親族が不利益を被るリスクを軽減できます。

準備の前に「事業承継の形態」を把握しよう!

事業承継には大きく4つの形態があり、最初にそれぞれの特徴を把握することが大切。どの形態になるかによって準備も大きく変わるからです。

①親族内承継

家族企業や地域密着型の会社では、伝統や家族の絆を重んじるため、この形態が選ばれることが多いです。親族内承継のメリットは、信頼関係が既に築かれていることや、企業文化や価値観の継承が容易であること。一方で、適切な後継者がいない場合や、家族間での対立が起こるケースがあります。

②社内(従業員)承継

社内で経験豊富な人材がいる場合や、経営の安定性や継続性を確保したい場合に選ばれることが多いものです。業務や組織の理解が深く、スムーズな移行が期待できる一方、社内の人材が適切な後継者であるかどうかを見極める必要があります。

③M&A(合併・買収)

M&Aは、後継者がいない場合や、企業規模の拡大や市場シェアの獲得を目指す場合、経営資源の活用が困難な場合に選ばれることが多いです。新たなビジネスチャンスやシナジー効果が期待できますが、経営文化の違いや統合に伴うコストが問題となるケースもあります。

④事業譲渡

会社の事業や資産(株式を含む)を第三者に譲渡する形態のこと。経営者が引退する場合や、企業のリスク分散を図る場合に選ばれます。スピーディーな事業承継が可能で、しかも株式を現金化できるというメリットがあります。一方で、譲渡先との交渉や適切な株式評価額の算定が難しいケースも珍しくありません。上述のM&Aもそうですが、かなり難易度の高い形態になるため、専門家への相談が必要となります。

まずはここから! 事業承継対策のはじめ方

事業承継に限らず、何か大きなことを成し遂げたいなら計画は必須。適切なタイミングと段階的なプロセスを理解し、事業承継対策を進めましょう。

事業承継のタイミングは、経営者の年齢や健康状態、企業の業績や市場環境など、さまざまな要因によって変わりますが、一般的には5~10年程度前から準備を始めることが推奨されています。早期に準備を始めることで、後継者の育成や経営体制の整備に十分な時間を確保できます。

計画を立てる際は、「事業承継計画書」の作成・活用がおすすめです。事業承継計画書とは、現経営者の情報、会社の現状(財政状態)、誰に引き継がせるのか、何を準備するかなど事業承継の内容をまとめた書類のこと。この書類を活用することで、ブレない事業承継が可能となります。

「事業承継計画書」のメリット、書くべき内容、作成の流れについては、こちらの記事で解説しています。
「事業承継を成功に導くロードマップ!「事業承継計画書」の作成のコツとは?」

まとめ

事業承継では、適切な後継者の選定や育成、資産や負債の整理、自社株の買い取りや相続税の対策など、多くの要素が関与しています。経営者は、事業承継の成功のために、これらの要素を総合的に検討し、柔軟な対応が求められます。最善の事業承継を実現するために、専門家に適宜相談をしながら、前向きな取り組みをしていきましょう。

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賢者の選択 サクセッション編集部

賢者の選択サクセッションでは、⽇本経済の課題解決と発展のためには、ベンチャー企業の育成と併せて、これまでの⽇本の成⻑を⽀えてきた成熟企業∕中堅‧中⼩企業における事業承継をフックとした経営資源の再構築が必要であると考えています。 ビジネスを創り継ぐ「事業創継」という新しいコンセプトを提唱し、社会課題である事業承継問題に真摯に向き合うことで、様々な事業承継のケースを発信しています。 絶対解の存在しない事業承継において、受け継いだ経営者が事業を伸ばす きっかけとなる知⾒を集約していきます。

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