COLUMNコラム
事業保険は事業承継対策にも活用できる! 保険の種類やメリット・デメリットを解説
事業保険は、賠償責任や事業運営において起こり得るリスクに備えるための保険です。しかし、事業保険はリスク予防としてだけではなく、事業承継や節税など、さまざまな用途に活用できます。 事業保険に詳しくない人向けに、事業保険の種類、メリット、デメリット、活用方法について解説します。
目次
事業保険は法人や個人事業主が加入する保険
事業保険は、事業者である法人や個人事業主がリスク対策や節税を目的として加入する保険です。
事業活動におけるリスクには、業務災害、損害賠償、経営悪化などが挙げられます。また、経営者に万が一のことがあった場合の資金繰り、役員の退職金の準備、従業員の福利厚生の備えなど、事業保険は企業を安心・安全に経営する上で欠かせないものです。
事業保険は大きく分けて2種類ある
事業保険は、対処するリスクによって、生命保険、損害保険の大きく2つに分かれます。
それぞれの目的や事業に応じて最適な事業保険を選択しましょう。
①3つのタイプの保険を組み合わせたものからなる「生命保険」
生命保険は、「死亡保険」「生存保険」「生死混合保険」の3つのタイプの保険が組み合わさった保険です。被保険者が事故や怪我で死亡した場合は死亡保険金、被保険者が一定期間生存していた場合は満期保険金が支払われます。
代表的な生命保険は以下の通りです。
・定期保険
・収入保障保険
・養老保険
・終身保険
・医療保険
②事故や災害発生時に補償が受けられる「損害保険」
損害保険は、事故や災害などが発生した場合に補償を受けられる保険です。
代表的な損害保険は以下の通りです。
・火災保険
・賠償責任保険
・業務災害補償保険
・休業補償保険
・自動車保険
事業保険に加入するメリット4つ
①万が一の際に保険料が支払われる
事業保険の最大のメリットは、万が一の際に生じるリスクに対する保障となることです。例えば、天災により設備や施設に影響が出たり、経営者が突然死亡してしまったりというような経営リスクが考えられます。
しかし事業保険に加入した場合、保険金を修繕費用に利用することができ、死亡保険金を受け取れるなど、まったく対策していなかった場合よりも損失を最低限に抑えることが可能です。
②緊急時の予備資金として貯めておくことができる
保険というものは、保険会社に対して保険料を支払うことでお金がプールされている(貯蓄されている)状態をつくるものです。保険を解約すれば、約1週間で資金を手にすることができます。
このように事業保険は、資金不足などの緊急時にも即座に資金を確保できる商品なのです。
③従業員の福利厚生として活用できる
事業保険は、従業員の福利厚生としても活用できます。
福利厚生を充実させることは、従業員のモチベーションアップや会社の利益にもつながるので、重要なポイントです。福利厚生の方法としては、従業員に万が一のことが発生した場合の弔慰金や退職金の準備などが挙げられます。
また、福利厚生を目的とした事業保険の活用は損金算入ができます。損金算入とは、法人税の計算をするときに会計上は「費用」ではなくても、税務上は「損金」扱いになることを指します。このように従業員だけではなく、会社にとってもメリットになります。
④雇用者だけでなく経営者の退職金も確保できる
多くの事業保険には解約返戻金が設定されており、事業保険に長く加入するほど、退職金として保険の解約時に解約返戻金を受け取れます。
経営者は雇用者とは違って自分で退職金を準備する必要があるので、退職金を確保する目的で事業保険を活用するケースもみられます。
事業保険に加入するデメリット2つ
①保険料によっては資金繰りが悪化する可能性がある
事業保険に加入すれば、毎月または毎年のペースで保険料の支払いがあります。
したがって、未加入の場合と比較すると一定額利益が減少するため、資金繰りが悪化する可能性があります。そうなると、金融機関への融資返済や新規事業の投資などが実施しにくくなります。
②保険を解約するタイミングによっては損をする可能性がある
基本的に、事業保険は加入期間が長いほど解約返戻金も高くなる仕組みになっています。
そのため、事業保険に加入して即座に解約してしまうと、3割程度しか受け取れない恐れがあります。
事業保険の活用方法2つ
①資金対策をしておくことでスムーズに事業承継ができる
後継者へスムーズに事業承継を行うには、相続などの納税資金や自社株対策といった資金対策をしておく必要があります。
事業保険に加入しておけば、このような資金対策ができるので、事業承継を検討している方にもおすすめです。
②保険金の一部または全部を経費として計上できるため節税効果につながる
事業保険に支払う保険料は、一部または全部を経費(損金)として計上できます。計上した経費分だけ利益が少なくなり、課税される法人税や所得税が減少するので節税効果につながります。
しかし、2019年の税制改正により、保険料の損金算入割合は「解約返戻金のピーク時の返戻率」によって決められるようになり、節税効果が薄れてしまいました。
まとめ
本記事では、事業保険の概要について解説しました。事業承継は多くの費用が必要になりますが、事業保険をうまく活用することで事前に対策ができます。
また事業保険以外にも、事業承継で使える支援制度はいくつかあり、過去記事でご紹介しているので、ぜひご参照ください。
(「使わなきゃもったいない!事業承継の支援制度4選」)
SHARE
記事一覧ページへ戻る