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事業承継の「資金」はこう集める!  便利な融資制度や補助金を解説

事業承継に「資金調達」がボトルネックになる企業は多いもの。事業用資産や自社株の引き継ぎには、まとまった資金が必要になるからです。資金調達を円滑に行うためには、どのように資金調達をすればいいのでしょうか。本記事では、事業承継における資金調達の方法として、融資制度や補助金などを解説します。

事業承継の流れ

事業承継における資金調達の手段を紹介する前に、まずは事業承継の大まかな流れを確認しましょう。事業承継は、次のような流れで進んでいきます。

1.会社の状況を整理する
2.後継者候補を選び、意思を確認する
3.後継者候補を育成する
4.事業計画書を作成する
5.関係者に告知する
6.経営改善を進める&税金対策や資金の準備をする
7.承継する

事業承継を成功させるためには、⑥の段階での税金対策や資金調達が欠かせません。事業承継においては、自社株を後継者に引き継ぐこととなります。その際、税金を考慮しておかないと、後継者が贈与税と相続税にかかる資金を集められず、会社を存続させられないことにもなりかねません。

また、事業承継を機に経営革新や事業転換に取り組む場合には、税金以外にも資金が必要になることがあります。ここからは、資金調達に活用できる融資制度や補助金を解説しましょう。

日本政策金融公庫の融資

融資制度の代表的なものとして、日本政策金融公庫の融資が挙げられます。日本政策金融公庫とは、一般の金融機関が行う金融を補完するために、国の出資を受けて設立された金融機関です。主な業務として、国民生活事業、農林水産事業、そして中小企業事業の3本の柱があります。

事業承継に際して、日本政策金融公庫から受けられる融資は「事業承継・集約・活性化支援資金」です。対象として挙げられているのは、次の5つです。

1.中期的な事業承継を計画し、現経営者が後継者(候補者を含みます。)と共に事業承継計画を策定している方

2.安定的な経営権の確保等により、事業の承継・集約を行う方

3.中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(経営承継円滑化法)第12条第1項第1号の規定に基づき認定を受けた中小企業者(同項第1号イに該当する方に限ります。)の代表者、同法第12条第1項第2号の規定に基づき認定を受けた個人である中小企業者または同法第12条第1項第3号の規定に基づき認定を受けた事業を営んでいない個人の方

4.事業承継に際して経営者個人保証の免除等を取引金融機関に申し入れたことを契機に取引金融機関からの資金調達が困難になっている方であって、公庫が融資に際して経営者個人保証を免除する方

5.事業の承継・集約を契機に、新たに第二創業(経営多角化・事業転換)または新たな取組みを図る方(第二創業後または新たな取組み後、おおむね5年以内の方を含みます。)

融資限度額は別枠7200万円(うち運転資金4800万円)で、返済期間は次のようになっています。

【設備資金】
20年以内(うち据置期間2年以内)
【運転資金】
7年以内。ただし、既往の公庫融資の借換を含む場合、8年以内(うち据置期間2年以内)

なお、日本政策金融公庫の運営しているサービス「事業承継マッチング支援」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
今回お送りする「14_事業承継-日本政策金融公庫」のリンクを貼ってください。

信用保証協会による特別保証

次に、中小企業や小規模事業者の円滑な資金調達を支援することを目的に設立された公的機関「信用保証協会」による特別保証です。この制度は、中小企業の支援のために開始されました。これまで、事業承継によって経営者が交代すると、先代経営者から保証を切り替え、後継者の保証が必要でした。しかしこの特別保証制度では、経営者の個人保証が不要となります。

さらには、経営者保証コーディネーター(事業承継ネットワーク地域事務局等が雇用する専門家)による確認を受けた場合には、保証料率が大幅に軽減されます。対象は、次の(1)または(2)に該当し、かつ、(3)に該当する中小企業者です。

(1) 保証申込受付日から3年以内に事業承継を予定する事業承継計画を有する法人
(2) 令和2年1月1日から令和7年3月31日までに事業承継を実施した法人であって、事業承継日から3年を経過していないもの。
(3) 次の①から④までに定める全ての要件を満たすこと。
①資産超過であること
②EBITDA有利子負債倍率が10倍以内であること
※EBITDA有利子負債倍率=(借入金・社債-現預金)÷(営業利益+減価償却費)
③法人・個人の分離がなされていること
④返済緩和している借入金がないこと

資金使途は事業資金で、限度額は2億8000万円となっています。

事業承継・引継ぎ補助金

補助金としては「事業承継・引継ぎ補助金」が代表的です。この補助金は、事業承継をきっかけに経営革新や事業転換に取り組む中小企業を支援し、日本経済の活性化を図るためにつくられた制度です。事業承継・引継ぎ補助金は、3種類から構成されています。

1.事業承継・引継ぎ補助金(経営革新)
2.事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)
3.事業承継・引継ぎ補助金(廃業・再チャレンジ)

事業承継・引継ぎ補助金の交付を受けるためには、経済産業省が運営する電子申請システム「jGrants」を利用する必要があります。

まとめ

事業承継には、まとまった資金が必要となります。今回ご紹介した融資制度や補助金、事業承継税制の特別措置なども活用しながら資金を準備し、円滑な事業承継を行いましょう。自社に合った融資制度や補助金を見つけるには、プロの手を借りるのも有効です。安心して事業を引き継げるよう、専門家に相談しながら準備を進めることをおすすめします。

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賢者の選択 サクセッション編集部

賢者の選択サクセッションでは、⽇本経済の課題解決と発展のためには、ベンチャー企業の育成と併せて、これまでの⽇本の成⻑を⽀えてきた成熟企業∕中堅‧中⼩企業における事業承継をフックとした経営資源の再構築が必要であると考えています。 ビジネスを創り継ぐ「事業創継」という新しいコンセプトを提唱し、社会課題である事業承継問題に真摯に向き合うことで、様々な事業承継のケースを発信しています。 絶対解の存在しない事業承継において、受け継いだ経営者が事業を伸ばす きっかけとなる知⾒を集約していきます。

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