COLUMNコラム
後継者の負担軽減!借金のある会社が親族承継する場合にやるべき6つのこと
事業承継をするにあたり、多くの企業にとって課題となるのが「借入金」です。「親族内承継を検討しているが、借入金がまだ残っている」「このまま承継していいのだろうか」「後継者に迷惑をかけたくない」などと悩んでいる経営者も多いのではないでしょうか。特に後継者が親族である場合、その心配はひとしおでしょう。本記事では、借金のある会社を親族内承継する際の注意点と対策を紹介します。
目次
借金のある会社が事業承継する際の注意点
事業承継では、経営権や株式といったプラスの資産だけでなく、借金というマイナスの資産も引き継がれます。これは親族内承継であろうと、親族外承継であろうと、M&Aであろうと同じです。
したがって、「借金=事業承継の大きな障壁」となります。後継者候補がいても、借金があると知ったら、承継に二の足を踏んでしまう可能性があるからです。
仮に継いでくれたとしても、借金は後継者にとって大きな負担であり続けます。返済が困難になると、土地や建物を売却して対応することになりますし、最悪の場合は倒産する可能性すらあります。
なお、後継者には、借金だけでなく、銀行から負債の連帯保証を求められることとなります。銀行からの借入金については、連帯保証人の変更ではなく「追加」となるため注意が必要です。後継者が連帯保証人になったとしても、先代経営者が設定した個人保証を後継者に変更したり、先代経営者の個人資産の担保を解除したりするのは難しいのです。
なぜなら、金融機関はあくまで先代経営者に融資をしたから。若くて信用がなく、個人資産を十分に持たないと思われる後継者だけを保証人にするのはリスクが高いと判断されるのです。
事業承継を行う際には、後継者に「どの程度の期間でいくら返せる見込みか」「完済の予定はいつか」「どの程度の利益が見込めるか」を、数字を使って説明し、合意を得ておきましょう。
親族に事業承継するまでに取り組みたいこと
借金のある経営者(先代)が親族への事業承継を検討している場合、事業承継するまでにどのような対策をとるべきでしょうか。ここでは6つの方法を紹介します。
①資金繰りを改善する
1つ目は、資金繰りを改善すること。これこそが、後継者の負担を軽くするために現経営者ができる最大の取り組みです。現状を把握し、経営を引き締めていきましょう。
資金繰りを改善できれば、後継者の負担軽減につながるだけでなく、金融機関との交渉もしやすくなるでしょう。売り上げをアップさせることはもちろん、人件費などの経費を引き締めて、ムダを削減しましょう。
②金融機関と交渉する
2つ目は、事業承継する相続人以外の債務を免除できるよう、金融機関と交渉すること。
相続による事業承継であれば、債務は相続人全員で平等に引き継がれる可能性が高くなります。つまり、事業資産は後継者が、債務は相続人全員が引き継ぐことになるのです。これでは、後継者以外の相続人が納得せず、“争続”になってしまいかねません。
③役員借入金を減らす
3つ目は、役員借入金を減らしておくこと。役員借入金とは、「役員の個人資金を法人に貸し付けた資金」を指します。金融機関から融資を受けると利息が発生しますが、役員借入金の場合、その役員が承認すれば無利息・無担保・長期でお金を借りることができます。
注意すべきは、役員借入金は相続税の対象になること。後継者の負担を減らしたいなら、役員借入金は減らしておくのがベターです。
役員借入金を削減する方法としては、主に以下の3つが挙げられます。
・DES(Debt Debt Swap/デット・エクイティ・スワップ)の活用
債務を資本金に振り替える方法。貸付金を株式に変えることで、現金を動かすことなく、役員借入金を減らせる。
・役員報酬を減額し、その分で借入金を返済
役員の報酬を減らすことで企業の利益を増やす方法。
・暦年贈与
役員が後継者へ債務分を贈与する方法。年間110万円の基礎控除の範囲内であれば、贈与税は発生しない。
④後継者の個人資産を貯めておく
根本的な方法として「後継者の個人資産を貯めておく」も有効です。経営者が後継者の負担を減らすべく努めるだけでなく、後継者自身も資産を蓄えておくようにしましょう。後継者の個人資産が潤沢であれば、いざというときに慌てずに済みます。
この施策を採用するには、早期から後継者を指名し、資産の準備をしておいてもらう必要があります。
⑤相続放棄を検討してもらう
相続放棄とは「被相続人(亡くなった方)の財産を一切相続しないこと」をいいます。
先述の通り、相続によって事業承継すると、借金などの債務は相続人で平等に引き継ぐこととなります。財産よりも借金のほうが多いようなら、相続放棄をしてしまうのも一つの手です。
⑥生命保険を活用する
最後の方法は、経営者に万が一のことが起きた場合に備えて、法人を受取人とした生命保険に加入しておくこと。もし何もなければ、返戻金を受け取ることができます。
まとめ
借金がある場合、特に親族への承継に二の足を踏む経営者は多いものです。
とはいえ、これまで大切に育ててきた事業を廃業してしまうのはもったいないこと。早期から対策を講じ、後継者の負担を軽減するようにしましょう。
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