COLUMNコラム
後継者問題の実態とは? 深刻化する原因や解決方法を解説
中小企業を中心に問題視されている、事業承継に関する後継者問題。後継者問題に悩んでいる方向けに、人材不足が起きる原因や解決策・対策などその実態について解説します。
目次
後継者問題とは? 現状と悩まされる中小企業
後継者問題とは、会社経営の後継ぎがいないことを指します。従来は、自身の子どもや親族に経営を引き継ぐことが一般的であり、親族内でスムーズに事業承継が行われていたため、後継者問題とはほとんど無縁でした。
しかし、現在では後継者不足などのさまざまな理由により廃業してしまう企業が増えています。廃業すると、保有していた独自の技術やノウハウを失うだけではなく、その企業で働く従業員の雇用も失われます。
日本は全事業者の約99.7%が中小企業です。一方、帝国データバンク株式会社が2020年に実施した調査によると、65.1%の経営者が「後継者不在である」と回答しました。
また、2019年の中小企業の売上高のデータを見ると、売上高が高い会社ほど後継者不在率が低くなっています。
このように、後継者問題はその会社だけの問題ではなく、日本経済にとって大きな問題なのです。
後継者候補がすぐに見つからない、見つかってもすぐに経営者になれないという理由から、なるべく早く検討し、時間をかけて教育や育成などの準備をする必要があります。
後継者問題が起こる主な原因3つ
後継者問題を解決するためには、まずその原因を知っておくことが重要です。後継者不足の要因は、業種や事業規模によって異なりますが、主な原因を3つご紹介します。
少子高齢化で人材が急速に減少
日本は現在でも「親族内承継」が多いことが特徴で、今後も小規模事業や個人事業では社内で後継者を育てることが考えられます。
しかし、現在は少子高齢化の影響を受け、子どもの数が急速に減少しているという状況です。そのため、経営者に子どもがいないケースが多くなっています。
一方、企業規模が大きくなると、社外で優秀な人材を選び引き継がせる「親族外承継」の割合が高くなります。
その場合、会社が運営している事業に不安要素があったり、多額の負債を抱えていたりすると後継者となることを断られてしまうので注意しましょう。
子どもに引き継ぐ意思がなく親族内承継が叶わない
経営者が自分の子どもへ事業承継することを望んでいたとしても、子どもの方は引き継ぐ意思がないという場合もあります。
新たな技術が開発されたり、グローバル化が進んだりというように世の中は日々変化し続けています。
子どもはそのような環境下で生きているので、自身の資質や能力に不足を感じ、経営者になることに対して不安を持ってしまうのも無理はありません。
事業の先行きが不透明で将来性に不安がある
数年先を予測することも難しい中で、多くの経営者は事業の継続性に課題を抱えています。
それゆえに、思うように事業の承継に進めなくなっているのです。
後継者問題を解決する方法3つ
親族や身内から後継者を探す
後継者を育てるには10年はかかると言われますが、子どもや配偶者などの親族や身内から後継者を探すことができれば、時間をかけて経営者として教育できます。
また、日本では子どもなどの親族が承継することが一般的であるため、従業員や取引先、金融機関などの利害関係者からも理解を得やすいでしょう。
なお、後継者の育成方法としては以下のような選択肢が挙げられます。
・自社の主要部門や他社で勤務させ経験・知識を積ませる
・プロジェクトの責任者に任命する
・社外のセミナーや勉強会などのイベントに参加させる
第三者へ事業承継を行う
自社で後継者候補にふさわしい人材が見つからない場合は、第三者へ事業承継を行うことがおすすめです。しかし、会社を承継するには株式譲渡を行う必要があります。
株式譲渡では、成約後に株式を売却した対価として金銭を受け取れるというメリットがあります。また、オーナー社長が自社株を売ることに成功して手にした金銭は、退職金代わりにも活用できます。
廃業して清算をする
会社を廃業して清算してしまうことも解決方法の一つです。
会社を廃業すると、自分のつくった会社や社員の雇用をなくしてしまうというデメリットはありますが、清算することで出資額以上の資金が手元に残る場合もあります。
ただし、手元に残る金額がはるかに少なく、かえって債務を抱えてしまう可能性もあるので注意が必要です。
まとめ
本記事では、今後さらに深刻化すると予想される後継者問題について解説しました。
事業承継を行う際、後継者問題によって上手くいかないという事例もありますが、解決するポイントは複数あります。過去記事では、事業承継の課題や考えるべきことについても解説しているので、ぜひご参照ください。
(「事業承継の課題とは?中小企業の経営者と後継者が考えるべきこと」)
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