COLUMNコラム
株式譲渡契約書とは? 書類の雛形について解説
事業承継を考える際、株式譲渡を選ぶケースも見受けられます。株式譲渡とは株式を売り手側から買い手側に譲ることで、会社の経営権を譲渡することです。
金銭的な取引が発生する以外に経営権の移転も行われる株式譲渡では、「株式譲渡契約書」を作成しなければなりません。
この記事では、株式譲渡契約書に不備がないように、作成時の注意点や記載すべき項目などを解説します。
目次
株式譲渡契約書について
ここでは、株式譲渡契約書の概要と作成方法、契約書を記載する際の注意点について解説します。
株式譲渡契約書とは?
株式譲渡の際に、売り手側と買い手側との間で契約を締結する書類が株式譲渡契約書です。
事業承継などで、売り手側から買い手側へ企業の経営権を移動する取引を行う時に、株式譲渡契約書を作成します。この書類を作ることによって、株式譲渡に関する取引内容に法的拘束力を持たせることが可能です。
当事者同士による認識の違いからトラブルに発展する場合もあるため、株式譲渡契約書は非常に重要な書類と言えます。
株式譲渡契約書の雛形を活用する
契約書に関する業務を行う企業や弁護士事務所などのホームページで、株式譲渡契約書の雛形を公開しているところもあります。作り方に不安がある場合は、雛形をダウンロードして作成すると良いでしょう。個人での作成が難しいのであれば、専門家に相談してみるのもおすすめです。
記載時の注意点
株式譲渡契約書を記載する際には注意点があります。
・個人間での株式譲渡
個人間で行う株式譲渡でも、契約書の内容に違いはありません。トラブルの発生を避けるためにも、株式譲渡契約書は必ず作成しましょう。
・収入印紙は不要
株式譲渡契約書は課税文書の対象外であるため、収入印紙の添付は不要です。ただし、契約書に対価を金銭で受領している旨が記載されている場合、収入印紙が必要になります。
・印鑑の押印
株式譲渡契約書には押印が必要です。法律で実印が定められているわけではないため、認印でも問題ありませんが、実印であれば押印が当事者であることを証明できます。そのため、契約書への押印は実印がおすすめです。
・契約書の保管期間
株式譲渡契約書の保管期間は法人・個人で異なり、法人が株式譲渡契約書を作成する際は、法人税法に基づき保管期間は7年間となります。個人間での契約の場合、保管期間は法律で定められていません。確定申告に契約書を使用すると、5年間の保管期間が義務付けられます。
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株式譲渡契約書の記載項目
株式譲渡契約書には、取引の内容や表明保証などを明記しますが、状況によって記載する項目が変わる点に注意しましょう。ここでは、一般的に明記される項目をご紹介します。
取引の合意内容や譲渡対価の支払い方法
株式譲渡契約書には、まず取引の合意内容を記載しなくてはなりません。具体的には、株式の銘柄や種類、株式の数、譲渡の対価などです。なお、取引内容は契約締結前に決定しますが、当事者間で認識の違いが発生する可能性もあるため、トラブル防止のためにも譲渡対象の株式を特定することが大切です。
また、売り手側から買い手側に株式を移転することを示す「クロージング」に関しても明記しましょう。クロージングとしては、株式の移転や譲渡対価の支払い方法などを記載します。対価の金額と支払い方法には譲渡の代金だけでなく、支払期日や振込先口座などを忘れずに記載しましょう。無償譲渡であれば、支払い方法の項目を省きます。
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表明保証
表明保証とは、売り手側が買い手側に対して一定の事項が真実かつ正確であることを明らかにし、保証することを定めたものです。
表明保証によって、株式の所有者が譲渡人でなかった、会社の資産状況が事実とは異なっていたという状況でも、買い手側が損害を受けることはありません。株式譲渡契約書においては、必ずしも表明保証を記載しなければならないわけではありませんが、売り手側の表明保証をしっかりと明記すると安心です。
表明保証の代表的な記載項目としては、「株式譲渡契約の締結やそれに関わる手続きの一切を実行していること」や、「譲渡対象の株式が法律によって適正に発行されたものであること」が挙げられます。
契約解除・損害賠償
契約解除の項目には、どういった場合に株式譲渡契約の解除を認めるか、解除事由を記載しましょう。契約違反や表明保証の違反があったケースが解除事由になります。
契約解除の他に、損害賠償の項目も明記しましょう。損害賠償とは、何らかの違反によって当事者が損害を受けた場合に、相手方に対して損害賠償請求を行える条項になります。賠償額の上限や請求可能な時期を定めておくのが一般的です。
まとめ
株式譲渡契約書は記載項目に注意し、重要事項を記さなければなりません。契約書の記載項目は状況によって異なるため、臨機応変に対応しましょう。始めから作成するのが難しい場合は、雛形のテンプレートを利用するのがおすすめです。
株式譲渡について詳しく知りたい方は、こちらの過去記事もぜひ併せてご覧ください。
「株式譲渡にはどのような手続きが必要か?譲渡先別に譲渡の流れを解説!」はこちら
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