COLUMNコラム
事業譲渡契約書の注意点! 承継されるもの、承継されないものとは?
事業譲渡は会社の成長戦略の一部として、また後継者問題の解決策としてしばしば利用されます。しかし、事業譲渡は契約書の作成や手続きが非常に複雑で、注意が必要です。 本記事では、事業譲渡の際に承継されるもの・承継されないものを紹介するとともに、契約書を作成する際の注意点を解説します。
目次
事業譲渡契約書とは?
事業譲渡契約は、一定の事業を他の会社に譲渡する際に必要となる契約です。契約書には譲渡対象の資産、債務、会社の財産、従業員の取り扱いなど、全ての詳細を明確に記載する必要があります。
事業譲渡契約書の必要性
事業譲渡において、事業譲渡契約書を作成する理由は以下の通りです。
1. 譲渡対象の明確化:事業譲渡契約書には、譲渡対象の事業や資産、債務などが具体的に記載されます。これにより、双方が譲渡対象を正確に把握し、トラブルを防ぐことができます。
2. 権利義務の明確化:事業譲渡契約書では、双方の権利や義務が明確に定められます。これにより、譲渡後のトラブルや誤解を避けることができます。
3. 法的拘束力の確保:事業譲渡契約書は、法的拘束力を持つ文書です。契約書に基づいて紛争が発生した場合、法的措置を取ることができます。
事業譲渡で承継されるもの・承継されないもの
事業譲渡契約では、事業の譲渡対象となる要素が明確に記載されます。その範囲は非常に広く、以下の要素が含まれます。
・資産:有形資産(土地、建物、機械、設備など)、無形資産(知的財産権、営業秘密、クライアントリストなど)、そして在庫などが含まれます。
・人材(従業員):従業員も重要な譲渡対象です。通常、従業員の雇用は事業譲渡後も継続しますが、その詳細は契約書に明確に記載されるべきです。
・債務:事業に関連する債務もまた承継されます。これには貸借対照表に記載されている債務だけでなく、リース契約やサービス契約に関連する未払いの費用も含まれます。
・事業に関連する契約:不動産契約・取引先契約・雇用契約など、長期契約や重要な契約もまた承継の対象となります。
一方で、事業譲渡される側が契約時に同意しない部分の事業については承継されません。
事業譲渡契約書の注意点
業譲渡契約書の作成は、その名の通り法的な契約を記録する重要なプロセスです。適切な事業譲渡契約書は、譲渡過程を円滑にし、両当事者間の意思の疎通を促進し、将来的な紛争のリスクを軽減します。
ここでは、事業譲渡契約書作成時に特に注意すべきポイントを解説しましょう。
契約内容の正確性
契約書には譲渡される資産や債務、事業の現状などを正確に記載することが求められます。特に資産や債務の詳細なリストアップは適正な価格設定を行うために重要で、不明確または誤った記載は契約後のトラブルの原因となる可能性があります。
また、譲渡される事業の現状を明確に記載することは、事業譲渡後の予期せぬ問題を防ぐために重要です。具体的には、事業の経済的状況、従業員の数と彼らの労働条件、事業所の位置、主要な顧客と供給業者等を含めるべきです。
競業防止条項
競業防止条項は、譲渡者が一定期間内に同業種に参入することを制限する契約条項で、譲受者の事業活動を保護します。その内容と期間を明確に記載することが必要です。
しかし、競業防止条項が過度に厳格である場合、譲渡者の権利を不必要に制約する可能性があり、この場合法的に無効になることもあります。したがって、競業防止条項の設定は、法的に適切な範囲内で行うことが必要です。
従業員の取り扱い
事業譲渡は、従業員にとっても大きな影響を及ぼします。そのため、事業譲渡契約書には従業員の取り扱いを明記することが必要です。
具体的には、従業員の雇用条件の変更、雇用の継続、退職金の取り扱いなどを詳細に記載しましょう。労働法に違反することのないよう、これらの項目は慎重に検討する必要があります。
印紙税の計算
印紙税は契約書に収入印紙を貼り、その後で契紙書に署名・押印することで支払いが完了します。印紙税の計算を誤ると、不足税金の追加徴税などのリスクがありますので、十分注意して計算を行いましょう。
印紙税については、こちらの記事で詳しく解説しています。
(「事業譲渡契約書に印紙税は必要? 基礎知識と注意点を解説!」)
まとめ
事業譲渡契約書を理解し、適切な手続きや注意点を押さえることで、円滑な事業譲渡が可能となります。内容を吟味するうえでは、事前に専門家の意見を聞くことも重要です。
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