COLUMNコラム
「バズる動画は、最初の2秒で決まる」 大赤字だった沖縄のホテルを承継し、SNSで再建した「ど素人」が語る秘訣
全くホテル経営の経験がないにも関わらず、2022年に大赤字だった沖縄のリゾートホテル再建を任され、SNS活用で黒字化にこぎつけたインフルエンサー、片岡力也氏(34)。彼のアカウント「ど素人ホテル再建計画」はTikTokやInstagramで数々のバズり動画を生み出し、中には350万回再生の動画も。片岡氏に、ビジネスにも使える「バズり動画」の秘訣を聞いた。
目次
◆バズると思ったきっかけは「ボロボロの状態のホテルを撮影できそうだったこと」
――どのようなホテルの経営を引き継いだのですか
「なかどまINN(現・BUZZ RESORT、沖縄県恩納村)」という16室のリゾートホテルです。客室稼働率は15%を切り、約2000万円の赤字が出ていました。
――最初にホテルを見学されたそうですが、すぐに「引き継ごう」と思いましたか?
話を聞いてからすぐに、ホテルに2週間滞在しました。自分の力で再建できるかどうか、細かくチェックしたんです。その結果、「これならいける」「話題を作ることができる」と思い、事業承継の話を受けることにしました。
――「これならいける」と思った理由は何でしょうか。
ボロボロの絵が撮れそうだったことです。マイナスイメージを伝えて「え?こんなボロボロのホテルあるの?」という驚きや応援をどれだけ集められるか、がバズる秘訣だと思っていたので、それを実際に撮影できるかチェックしました。
実際、ホテルの現状を撮影して投稿した動画が1番バズって、350万回以上再生されています。
――ある程度どんな動画に編集するかを事前にイメージして撮影するのですか?
基本的にはそうです。以前ライターをやっていたことがあって、その時に身についた構成力が活きています。
◆動画がバズるかどうかは最初の2秒で決まる
――動画をバズらせるために意識していることはありますか?
SNSでバズるためには、「稀有性」、つまり今まで観たことがないコンテンツをアップすることが欠かせません。
「ど素人ホテル再建計画」は、赤字であること、素人が経営していること、SNSを駆使してお金をかけずに黒字化を目指すこと、視聴者の力も借りることの4つの要素をあえて公開することで、物珍しさを意識しています。
――タイトルの付け方はどうでしょうか。
SNSの裏にあるAIは、最後まで視聴した人が多い動画を「面白い」と判断して、いろいろなアカウントのタイムラインに表示させます。つまり、動画をバズらせるためにはより多くの人に動画を最後まで観てもらう必要があります。
でも、SNSのショート動画は、基本的に最初の2秒で90%が離脱するといわれています。となると、最初の2秒で「え?気になる!」と思わせなければいけません。
「ど素人ホテル再建計画」のアカウントでは、その最初の2秒でいろんな方に「え?気になる!」と思ってもらえるよう、タイトルにものすごく力を入れています。
◆動画がバズればビジネスが広がるチャンスがあると確信していた
――「ど素人ホテル再建計画」のアカウントは何人で運営されているのですか?
基本的には、企画・撮影・編集を僕一人で行っています。これまで外部発注はしたことなくて、ジャンプしながら僕が写っている動画も、実は左手でドローンを操作しながら自分で撮影しているんですよ(笑)。
――片岡さんは「新社会人の初任給程度」の報酬でホテル再建を任されているそうですが、その理由は?
1つは、そもそも事業承継をすると決めた当初から、ホテルが経済的にまずい状況だったことです。そんなホテルから多くの報酬はもらえない……という気持ちがありましたし、個人的に沖縄が大好きだったこともあって、応援したい気持ちのほうが強かったんです。
それから、「ど素人ホテル再建計画」をバズらせてホテルを再建することができれば、全国の潰れかけているホテルから依頼をいただけるだろうなという確信がありました。このホテルを皮切りに、いろんなホテルを立て直す人になろうと思っていたんです。
実際はホテル以外の事業者の方からもさまざまな依頼が来るようになり、思っていた以上に自分が救える人の数が多いことがわかりました。今では35社ほどのコンサルティングをさせていただいています。
■ど素人再建計画 片岡力也氏 プロフィール
1990年12月19日生まれ。旅人だった祖父の影響を強く受け、大学在学中にバックパック旅に没頭。「海外で仕事がしたい」と本田技研工業に入社するも、国内担当の部署に配属となり4カ月で退職。その後独立し、飲食店のプロデュースやシェアハウスの経営、大手旅メディアのライターを経験。2019年12月より世界一周旅行に出発するも、新型コロナウイルスの影響によりカーボベルデで足止めとなる。しかしその逆境をも活かし、活躍の場を広げている。
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