COLUMNコラム
サクセッションとは何? 企業の事業承継における後継者育成の基礎知識
企業の事業承継は英語にすると「Succession」といいます。事業承継において次期後継者の育成や育成プランの作成は非常に重要です。後継者の育成を効率的かつ順調に進めるためには、知っておくべき項目がいくつかあります。今回は、最も重要な「サクセッションマネジメント」と「サクセッションプラン」について紹介します。
目次
サクセッションとは?
サクセッションという言葉には、以下の3つの意味があります。
①連続。並び。つながり。継続。
②継承。継承者。継承権。相続。相続者。相続権。
③ある生物群集に別の生物群集が侵入して、生物群集が入れ替わりながら、ほぼ安定な状態へ変化していくこと。
企業のサクセッションは、2つ目ですね。
サクセッションマネジメントとは
サクセッションマネジメントとは、社内・グループ内におけるCEOを中心とした役員・経営幹部ポジションに関して、後継者育成計画(サクセッションプラン)に基づき、候補者の選出から指名に至る一連のプロセスを効果的かつ効率的にマネジメントすることです。
サクセッションマネジメントをしておくことで、会社の主要ポストに空席ができても、有能かつ経験豊富な従業員をすぐに配置できるため、人材確保における保険的な役割もあります。
しかし、サクセッションマネジメントを実行するのは容易ではなく、現状ではこのような後継者育成に取り組めている企業は多くありません。
サクセッションマネジメントとタレントマネジメントの違い
サクセッションマネジメントと似ている言葉として、タレントマネジメントがあります。
タレントマネジメントとは、企業が成長し続けるために、全社員を対象に一人ひとりのタレント(能力)に注目し、評価や育成、異動などを通じて最も活躍できるポジションに人材を配置することです。
サクセッションマネジメントの対象は特定の後継者候補に限られますが、タレントマネジメントの対象は全社員です。
サクセッションプランとは
サクセッションプランとは、後継者育成計画と訳され、事業の後継者を育成する施策のことをいいます。経営者候補および幹部候補の育成です。
一般的な人材育成は職務に必要な知識・スキルの習得を目的としており、人事部の主導で従業員に研修を受けさせ、専門性を高めていきます。
一方サクセッションプランでは、経営層が主導となって従業員に管理職研修やフォローアップなどさまざまな方法を実施し、会社が望むビジョンに向かって従業員の成長を促します。
具体的には、客観的な人材アセスメント、組織力分析、次世代人材育成、活性化、リテンション(定着)戦略までのプロセスを指します。
サクセッションプランを立てることで後継者不在におちいるリスクを回避し、企業が持続的成長を図ることができます。
サクセッションプランのメリット・デメリット
ここからはサクセッションプランのメリット、デメリットについて解説します。
サクセッションプランのメリット
サクセッションプランを行うメリットは以下の4つが挙げられます。
・組織の混乱や業績不振を回避できる
・経営者に必要な人材要件を整理・明確化できる
・優秀な人材を確保でき、採用コストを削減できる
・従業員のモチベーション・エンゲージメント(愛社精神)が上がる
経営幹部ポストが空白になるなどの緊急事態やビジネスチャンスに備えて後継者を育成しておくことは、企業の経営戦略において重要な課題の一つです。
また、自社内の人材から経営ポジションの後任を決定することで、採用コストが抑えられるだけでなく、従業員のモチベーションも向上します。
サクセッションプランのデメリット
サクセッションプランを行うデメリットは以下の3つが挙げられます。
・準備から運用までに長期間がかかる
・候補者が途中で退職・辞任してしまった際のリスクを考慮する必要がある
・候補外となった従業員のモチベーションが下がる
社内で経営者候補・幹部候補を育成させることが目的のため、運用には数年~数十年の長期間を要します。
そのため、一般的な人材育成に比べて対象者一人あたりのコストが大きくなります。
そこで近年、人事・労務業務分野で用いられるシステムやアプリケーションの総称であるHRテクノロジーの導入が拡大しています。このHRテクノロジーを活用することで、人事に関する業務効率化が期待できるとともに、人件費・残業代などのコストも削減できます。
まとめ
主にサクセッションマネジメントとサクセッションプランの概要について解説しました。最近では人手不足や離職率の高まりなどによって、後継者不在という状態に陥っている企業が多いため、長期的に後継者を育てるサクセッションプランが注目を集めています。
人材育成との違いなど、解釈するには少し複雑な内容ですが、知っておけば事業承継に役立てられます。
過去記事では、後継者問題についても紹介していますので、ぜひご参照ください。
(「後継者問題の実態とは?深刻化する原因や解決方法を解説」)
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