COLUMNコラム
「事業承継診断」でやるべき準備を把握しよう!
事業承継ではさまざまな準備が必要なため、「何から取りかかればいいのか?」「今、自社はどこまで準備ができているのか?」と悩んだり、迷ったりする経営者も多いでしょう。本記事では、中小企業庁が公表している「事業承継診断票」の内容を紹介するとともに、事業承継で欠かせない「事業承継計画表」について解説します。
目次
「事業承継診断表」とは?
事業承継診断票(事業承継診断書)は、 中小企業庁が作成した、小規模事業者向けの事業承継に関するヒアリングシートです。
「後継者の有無」や「事業売却先の候補」の有無など11個の質問に対し、「はい・いいえ」で回答を求めるものとなっています。この診断票の回答結果に基づいて、必要に応じて専門家や事業引き継ぎ支援センターとの相談を促すものです。
「事業承継・引継ぎ支援センター」 は、国が設置する公的相談窓口です。親族内への承継も、第三者への引継ぎも、 中小企業の事業承継に関するあらゆる相談に対応してもらえます。
事業承継診断をしてみよう!
「事業承継診断表」で問われているのは以下の11項目です。
Q1 会社の10年後の夢について語り合える後継者候補がいますか。「はい」の場合、それは誰ですか。
「はい」→Q2、「いいえ」→Q7へ
Q2 候補者本人に対して、会社を託す意思があることを明確に伝えましたか。
「はい」→Q3~Q6、「いいえ」→Q8~Q9へ
Q3 候補者に対する経営者教育や、人脈・技術などの引き継ぎなど、具体的な準備を進めていますか。
Q4 役員や従業員、取引先など関係者の理解や協力が得られるよう取り組んでいますか。
Q5 事業承継に向けた準備(財務、税務、人事等の総点検)に取りかかっていますか。
Q6 事業承継の準備を相談する先がありますか。 また、それは誰ですか。
Q7 親族内や役員・従業員等の中で後継者候補にしたい人材はいますか。
「はい」→Q8~Q9、「いいえ」→Q10~Q11へ
Q8 事業承継を行うためには、候補者を説得し、合意を得た後、後継者教育や引き継ぐなどを行う準備期間が必要ですが、その時間を十分にとることができますか。
Q9 いまだに後継者に承継の打診をしていない理由が明確ですか(後継者がまだ若すぎるなど)
Q10 事業を売却や譲渡などによって引き継ぐ相手先の候補はありますか。
Q11 事業の売却や譲渡などについて、相談する専門家はいますか。実際に相談を行っていますか。「はい」の場合、それは誰ですか。
Q3~Q6 で1つ以上「いいえ」と回答した人
円滑に事業承継を進めていくために、事業承継計画の策定による計画的な取り組みが求められます。
Q8~Q9 で1つ以上「いいえ」と回答した人
企業の存続に向けて、具体的に事業承継についての課題の整理や方向性の検討を行う必要があります。
Q10~Q11 で1つ以上「いいえ」と回答した人
事業引継ぎ支援センターにご相談ください。
「事業承継計画書」の作成が重要
事業計画は何年にもわたる取り組みのため、計画を立てておかないと進捗がわからず、うまく承継できない恐れもあります。そこで「いつ」「だれに」「何を」「どうやって」を整理するために「業承継計画書」を作成することが大切です。
事業承継計画書を作成することで、「現状を把握でき、中長期的な目標も明確になる」 「現経営者と後継者で、認識を擦り合わせられる」「従業員や外部からの理解・信頼を得やすくなる」といったメリットを得られます。
事業承継計画書を作成する際の基本となる流れは以下のとおりです。
①「現状把握と後継者候補のリストアップ」
自社の資産、従業員数、現経営者の個人資産や保有株式、相続や贈与に際に問題になりそうな点などを把握します。
お金に関わる部分はトラブルに発展しがちなので、最初の段階できちんと洗い出しましょう。併せて、この段階で「誰を後継者にするのか」リストアップします。
②「後継者、関係者へのヒアリング」
ステップ①でリストアップした後継者候補に事業承継する意志があるかを聞くとともに、家族や幹部役員の意見にも耳を傾けましょう。
③「後継者の確定、事業承継計画書の作成」
後継者本人の意向を確定した後、事業承継計画書の作成に移ります。
このとき、意外と後回しにしがちなのが「経営理念」。最近では「パーパス」などといわれたりしますが、まだ自社にないのでしたら、現経営者とともに考えるのがおすすめです。
ただし、特に親族内承継の場合、現経営者がいろいろ心配して口を出したりするケースは多いものですが、いかに後継者に任せられるかが重要です。
また、法律面や税務面では専門知識も求められるため、各個人で判断するのではなくプロフェッショナルのサポートを受けるのがいいでしょう。
まとめ
「事業承継診断」を行うことで、現時点で決まっていない部分、これから決めるべき部分が見えてくるはずです。
事業承継で失敗しないための「やることチェックリスト」はこちらの記事で解説しています。合わせてご一読ください。
(「事業承継、「やることチェックリスト」を公開!」)
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