COLUMNコラム
うまくいかない理由はコレ!事業承継のよくある失敗事例3選
事業承継を考えている経営者なら、「事業承継はなぜ、何がきっかけで失敗するのか?」という原因を知ることが重要です。本記事では、事業承継がうまくいかなかった3つの典型例を紹介します。
目次
後継者が決まらない 見つからない!
中小企業の事業承継がうまくいかない要因の上位に入るのが、後継者不在です。特に地方では人口減少が加速しており、若者の都市への流出も止められません。
また、大企業や公務員を目指す安定志向の若者は多く、事業を経営することに魅力を感じない人も少なくはありません。そうした理由から最後まで後継者が見つからず、廃業や倒産といった経営者が望まない形で自社の歴史を終えてしまうケースも珍しくありません。
事業承継の準備にかける時間が少ない!
事業承継が成功している中小企業の多くは、準備に時間をかけています。主に、自社の魅力・価値を上げる取り組みをしています。会社に十分な利益が出ており、従業員、取引先、金融機関などのステークホルダーからも信頼されている企業であれば、後継者候補も安心して引き継ぐことができます。
しかし、そうした会社になるためには、人事・マーケティング・営業などさまざまな経営戦略を、数年単位で実行に移さなければなりません。後継者の育成も念頭に置き、引退直前で「後継者が見つからない……」と焦ることのないようにしましょう。
M&Aも視野に入れ、専門家に相談を!
後継者候補は基本的に、子どもなどの親族、自社の役員・従業員、第三者となる企業・個人の順番で検討していきます。ただ、もし見つからない場合はM&Aによる売却も視野に入れましょう。
最近では、中小企業のM&A件数は増加しており、もはや当たり前の選択肢となっています。早めに専門家に相談して助言を仰ぎ、事業承継の成功確率を上げましょう。
納税資金・株式買い取りの資金不足!
事業承継には、贈与税や相続税などの税金や、株式の買取り費用などのコストがかかります。この費用は後継者が負担するものであり、しかも贈与税・相続税の支払いは現金一括が原則です。対策を怠ると納税で資金が底をついたり、そもそも事業承継ができなかったりするケースもあります。
株式の評価額が高い・制度を活用しきれていない!
株式の評価額が高いことは、企業の業績が良いことを意味しています。しかし、事業承継を実施するうえでは、後継者が株式の買取り費用を支払えなくなるリスクが上がります。また相続や贈与では、後述するようなさまざまな制度があり、それらを活用することで税額を減額、あるいは猶予・免除できる可能性もあります。
適切な株価対策の実施・制度の活用
株式の評価額を下げ、必要となる買い取り資金を減額するさまざまな対策があります。たとえば、会社規模の変更、子会社の設立、不動産購入による自社株の評価額引き下げ、類似業種株価の引き下げなどです。あるいは、分割での支払いや金融機関・ファンドからの資金調達という方法もあるでしょう。
また制度の活用という意味では、事業承継税制の特例措置、事業承継・引継ぎ補助金、生前贈与の暦年贈与と相続時精算課税制度などが挙げられます。生前贈与を活用した事業承継のメリットは、次の記事からお読みいただけます。
(「相続税対策だけじゃない! 「生前贈与」で事業承継を行なう3つのメリット」)
どのような対策を講じるのかは、会社や経営者・後継者の状況によって異なりますので、専門家に相談のうえ進めるのがよいでしょう。
事業承継後も先代経営者が影響力を持ちつづける!
事業承継が完了した後は、先代経営者は後継者に経営を任せて見守るのが一般的です。しかし、中には影響力を持ったまま、後継者の意思決定に口出しをする先代経営者もいます。その結果、現経営者は従業員からの信頼を失い、大量の離職者が出てしまうケースも珍しくありません。
他にも、先代派と当代派に二分してしまったり、現経営者が会社から追い出されてしまったりするケースもあります。
後継者の育成が不十分で、周囲を信頼できていない
後継者の育成期間が短かかったり、親族だから、承諾してくれたからなど、安直な理由から事業承継を行なえば、承継後も経営者として不適切だと思われることでしょう。もちろん、最初から100%の結果を出せるわけではないのですが、上のような背景があると、「やっぱり子どもには任せられない!」、「大事な取引先は、引き続き自分が関わるべきだ!」と思って、先代経営者が前に出る機会が増えてしまいます。
特にオーナー経営者の中には、自分=会社と考えている人も多く、会社への強い愛情があるため、いざ事業承継してもなかなか影響力の行使をやめられない、という例もあります。
綿密な事業承継計画を作成して実行!
現経営者の情報、財政状態、誰に引き継がせるのか、何を準備するかなど事業承継の内容をまとめた書類を、事業承継計画書といいます。また、会社や現経営者、後継者が事業承継までにどういった変化していくのかを1年単位でまとめた工程表を、事業承継計画表といいます。
事業承継計画書と事業承継計画表を作成することで、現経営者と後継者で認識をすり合わせられますし、事業承継後も「こんなはずでは……」といった行き違いが起こるリスクを回避できるでしょう。事業承継計画書の作成の流れ・メリットは、次の記事からお読みいただけます。
(「事業承継を成功に導くロードマップ!「事業承継計画書」の作成のコツとは?」)
まとめ
事業承継では、思わぬトラブルが起きたり、リスクが顕在化することもあります。早い段階で準備を始め、少しでも不安を抱いたら専門家に相談しましょう。
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