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事業承継の悩みを解決! ホールディングスを活用する5つのメリット

事業承継は、大切な会社を後継者に引き継ぐ一大イベントです。「早く進めなければ……」と思いつつも、費用や手間がかかることを考え、二の足を踏んでしまっている方もいるでしょう。そのような悩みを解決してくれるかもしれないのが「ホールディングスを活用した事業承継」です。本記事では、事業承継におけるホールディングス化のメリットを解説します。

そもそも「ホールディングス」とは?

ホールディングスとは、持株会社とも呼ばれる、他の株式会社の株式を保有することを目的として存在している会社のことです。

ホールディングス(持株会社)には「純粋持株会社」と「事業持株会社」の2種類があります。

・純粋持株会社:自らは事業活動を行わず、他の株式会社の株式を保有することに特化している会社
・事業持株会社:他の株式会社の株式を保有するだけでなく、自らも事業活動を行う会社

持株会社と聞くと、純粋持株会社をイメージする人が多いでしょう。純粋持株会社は、事業活動は行わず、子会社の管理と支配をし、子会社からの株式配当によって利益を上げることとなります。かつて、純粋持株会社は認められていませんでした。1997年に独占禁止法が改正されて以降、事業承継対策の一つとしてホールディングスを利用する企業が増えています。

「ホールディングス」を活用した事業承継とは

ホールディングスを活用した事業承継について説明しましょう。通常、事業承継では、後継者が対象企業の株式を先代から移転されることで、企業の経営権を持つこととなります。一方、ホールディングス経営の場合は少し異なります。まず、現経営者か後継者がホールディングスを設立します。そして、ホールディングスが現経営者から対象企業の株式を買い入れ、対象企業を完全子会社にします。その後、株式が移転され、後継者は持株会社の株式を保有することとなります。

ホールディングスを活用する事業承継のメリット

ここでは、ホールディングスを活用する事業承継のメリットを挙げてみましょう。

①事業承継の手続きが簡単である

ホールディングス経営を活用することで、事業承継の手続きが簡単になります。複数企業の経営権を持つ人が事業承継する場合、経営権を持っている会社それぞれについて株式を引き継がなければなりません。たとえば、5社の経営権を持っているとしたら、5社の株式を一つひとつ移転していくことになるのです。ところが、ホールディングス経営であれば、株式をまとめて承継できます。事業承継にかかる時間と手間を節約できるのは、多忙な経営者にとって大きなメリットでしょう。特に、健康上の理由などによってすぐにでも事業承継を完了させたい場合には、これ以上ないメリットだといえます。

②新しい事業を展開しやすくなる

ホールディングス化によって、新しい事業を展開しやすくなることもメリットでしょう。ホールディングスの傘下にある複数の会社が連携すれば、時間とコストを節約しつつ、より幅広い事業が展開できます。事業承継による世代交代が、新たな事業を始める良いきっかけになるでしょう。

③節税効果が期待できる

節税効果も見逃せないメリットです。2010年に税制改正が行われたことで、100%の経営権を持つ子会社からの配当には課税されなくなりました。ホールディングスを活用して事業承継すると、株式評価後の利益のうち42%ほどが控除の対象になります。相続税は多額になることも多いため、節税はありがたいメリットとなるでしょう。

④融資が受けやすくなる

ホールディングスの存在によって、融資が受けやすくなることもメリットです。一般的な事業承継では、承継後、融資がスムーズに受けられなくなることもしばしば。経営者の交代によって、取引先との関係が悪化したり、業績が落ち込んだりすることが懸念されるためです。一方、ホールディングスであれば、その懸念は少なくなります。ホールディングスは傘下の会社から継続的に配当を受けられるため、安定的に経営できるものと期待されるからです。

⑤現経営者に現金を渡せる

ホールディングスを活用した事業承継では、先代経営者がホールディングスに株式を譲渡するため、現金を取得できます。現金があれば、退職後の生活も安心できるでしょう。

ホールディングスを活用する事業承継のデメリット

あわせて、ホールディングスを活用した事業承継のデメリットも紹介します。

①ホールディングスに借入金が発生する

現経営者から対象会社の株式を購入するにあたって、金融機関から借入金が発生します。場合によっては、借入金が多額になることもあるでしょう。

②譲渡益に税金がかかる

現経営者がホールディングスに対象会社の株式を譲渡すると、譲渡益課税が生じることとなります。

③設立が認められないことがある

節税のみを目的としたホールディングス設立が問題視され、課税対象となる可能性があります。税務当局から指摘が入らないよう、専門家のアドバイスを受けながら、慎重に進めることをおすすめします。税務当局から指摘を受ける可能性がありますので、あらかじめ専門家に相談して、慎重に動くことをおすすめします。

まとめ

ホールディングスを活用した事業承継には、節税や手続きの簡略化などといったメリットがあります。とはいえ税務当局から指摘を受けるリスクも。活用を検討したい場合は、専門家のアドバイスを受けながら進めていきましょう。

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賢者の選択 サクセッション編集部

賢者の選択サクセッションでは、⽇本経済の課題解決と発展のためには、ベンチャー企業の育成と併せて、これまでの⽇本の成⻑を⽀えてきた成熟企業∕中堅‧中⼩企業における事業承継をフックとした経営資源の再構築が必要であると考えています。 ビジネスを創り継ぐ「事業創継」という新しいコンセプトを提唱し、社会課題である事業承継問題に真摯に向き合うことで、様々な事業承継のケースを発信しています。 絶対解の存在しない事業承継において、受け継いだ経営者が事業を伸ばす きっかけとなる知⾒を集約していきます。

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