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「ファミリー企業は経営と生活を混同しがち」 経営と親族の適切な距離感とは、メガバンク出身の専門家がアドバイス

中小企業の事業承継について専門家とともに学ぶ第13回「サクセッションアカデミー」(主催・一般社団法人サクセッション協会)が9月24日、東京都銀座及びオンラインで開催されました。最終回の今回は、企業の利害関係者「ステークホルダー」の中でも、特に親族と経営の距離感や、関わりの意義について学びました。 サクセッションアカデミーは、事業承継が抱える課題を浮き彫りにし、企業の持続可能な成長へと導くことを目的として設立されました。メガバンク出身の同協会代表理事、原健太郎氏と、外資系企業で約30年以上にわたりコンサルティング業務を経験した同協会フェローの中山良一氏が講師を務めます。

ステークホルダーの「3サークルモデル」を

ステークホルダーを理解するための重要な概念として「スリーサークルモデル」が取り上げられました。このモデルでは、各ステークホルダーを「家族」「所有」「経営」に分類して考えます。

たとえば、「家族」は経営者の親族たち、「所有」はオーナーや株主、「経営」は従業員や一般役員が該当します。親族であり株主でもある人は、「家族」「所有」の両方に該当します。3つのいずれに属するかを確認することで、それぞれの視点や関与の仕方が異なるといいます。

原氏は「家族」の視点から、「ファミリー企業では、会社経営と日常生活が混同しがちである」と述べ、中山氏は「セカンドライフを考える中で、会社に関わらない選択肢も重要」と指摘しました。

「所有」の視点からは、欧米と日本の違いについて、中山氏が「アメリカでは、企業の株価が重要視されるのに対し、日本ではその意識が薄い」と指摘しました。

リスクの数値化と言語化の重要性

ステークホルダーが事業承継のリスクを理解するためには、数値化し、具体的に言語化することが不可欠です。原氏は「事業承継はすべての企業で必ず発生するリスクであり、そのための準備が必要だ。事業承継対応を曖昧にすると、最終的には選択肢が限られ、撤退や廃業に追い込まれる危険がある」と強調し、過去の事例を元にリスクを明確化することの重要性を説きました。

また中山氏は「古い企業では不文律が多く、外部株主が疎外感を感じやすい」と述べ、ステークホルダー間でのコミュニケーションの重要性を強調しました。場合によっては、非公式な場での交流も有効であると指摘しています。

最後に原氏は「事業承継の課題を明確にし、ステークホルダー全員で共有することが成功の鍵」とし、ステークホルダーの関与と課題、情報の共有の重要性を再確認してセミナーを締めくくりました。

今回でサクセッションアカデミーは全13回の講義を終えましたが、今後、サクセッションアカデミーseason2の開催が予定されています。詳しくは「賢者の選択サクセッション」ホームページから。

取材・文/松田謙太郎

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賢者の選択サクセッション編集部

日本の社会課題である事業承継問題を解決するため、ビジネスを創り・受け継ぐ立場の事例から「事業創継」の在り方を探る事業承継総合メディア「賢者の選択サクセッション」。事業創継を成し遂げた“賢者”と共に考えるテレビ番組「賢者の選択サクセッション」も放送中。

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