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政府主導の支援策「事業承継ガイドライン」とは?

近年、多くの中小企業では後継者不足が大きな問題となっています。こうした背景から政府が問題を深く受け止めて策定したのが「事業承継ガイドライン」です。本記事では、事業承継ガイドラインの内容についてわかりやすく解説します。

事業承継ガイドラインとは?

事業承継ガイドラインとは、中小企業・小規模事業者の経営者に対して円滑な事業承継をサポートするために策定した指針のこと。「中小企業の事業承継におけるガイドブック」と考えると、わかりやすいかもしれません。

経済産業省の外局にあたる中小企業庁によって平成18年度(2006年度)に策定され、平成28年度(2016年度)、令和4年度(2022年度)に改訂されています。
「事業承継ガイドライン(第3版)」−中小企業庁

事業承継ガイドラインが策定された背景

日本の企業全体のうち、大企業が占める割合は0.3%に過ぎず、99.7%は中小企業が占めています。雇用の創出や技術の承継、地域経済の発展など、日本経済を支えるためには中小企業の存在は欠かせません。

ただ近年、経営者の高齢化や後継者不在などの理由から廃業を選択する中小企業が珍しくありません。そこで、円滑な事業承継を実現するために必要な取り組み、活用すべきツール、注意すべきポイントなどをまとめたのが「事業承継ガイドライン」です。

事業承継ガイドラインに書かれている内容

2022年度に改訂された「事業承継ガイドライン」は全139ページにも及ぶため、すべてを読み込むのは大変です。ここで事業承継ガイドラインに書かれている内容をお伝えしましょう。

「事業承継ガイドライン」の章立ては以下のとおりです。

第一章 事業承継の重要性

中小企業の事業承継を取り巻く現状(経営者の高齢化や後継者不足など)を、データをもとに解説したうえで、中小企業が事業承継することの重要性を説いています。また、事業承継の類型(親族内承継、従業員承継、M&A)、事業承継の構成要素(人、資産、知的資産の3要素)についても解説しています。

第二章 事業承継に向けた準備の進め方

事業承継を進めるにあたり、どんな順番で取り掛かればいいのかを、次の5 ステップに沿って解説しています。

ステップ1:事業承継に向けた準備の必要性の認識
ステップ2:経営状況・経営課題等の把握(見える化)
ステップ3:事業承継に向けた経営改善(磨き上げ)
ステップ4-1:事業承継計画の策定(親族内・従業員承継の場合)
ステップ4-2:M&Aの工程の実施(社外への引継ぎの場合)
ステップ5:事業承継・M&Aの実行

第三章 事業承継の類型ごとの課題と対応策

親族内承継、従業員承継、M&Aの3類型ごとに対応策を解説しています。

【「親族内承継」における課題と対応策】
(1)人(経営)の承継(後継者の選定・育成、親族等との調整、関係者との事前協議など)
(2)財産の承継-税負担への対応(暦年課税贈与、相続時精算課税贈与、事業承継税制、小規模宅地等の特例)
(3)財産の承継-株式・事業用資産の分散防止(生前贈与、安定株主の導入、遺言の活用、遺留分に関する民法特例など)
(4)債務・保証・担保の承継
(5)資金調達

【「従業員承継」における課題と対応策】
従業員承継における課題
人(経営)の承継(後継者の選定・育成など)
後継者による資金調達(MBO・EBO)
株式の分散の防止
債務・保証・担保の承継

【「社外への引継ぎ(M&A)」の手法と留意点】
(1)譲渡側にとっての留意点
(2)M&Aの手続き
(3)社外への引継ぎ(M&A)の代表的な手法(株式譲渡、事業譲渡)
(4)支援機関への相談

第四章 事業承継の円滑化に資する手法

以下のような、事業承継をより円滑に行うための具体的な方法を紹介しています。

・種類株式
・信託
・生命保険
・持ち株会社

第五章 個人事業主の事業承継

個人事業主における事業承継の手順を解説しています。

第六章 中小企業の事業承継をサポートする仕組み

中小企業を取り巻く事業承継支援体制(全都道府県の商工会・商工会議所、金融機関などの身近な支援機関から構成される事業承継ネットワーク)について解説しています。

また後半では、具体的な事業承継のサポート機関(士業、金融機関、商工会議所・商工会、登録M&A支援機関など)の連絡先も掲載されています。

事業承継診断票、事業承継計画表

巻末の付録として、これらのシート(フォーマット)があります。事業承継を進めるうえでは有効ですので、ぜひ活用してみましょう。

まとめ

事業承継ガイドラインは、中小企業が事業承継を行ううえで知っておくべき課題、手順、ノウハウ、連絡先が網羅されています。誰でも無料で閲覧できますので、まずは一読して気になった箇所を深掘りして調べるのが効率的といえるでしょう。

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賢者の選択 サクセッション編集部

賢者の選択サクセッションでは、⽇本経済の課題解決と発展のためには、ベンチャー企業の育成と併せて、これまでの⽇本の成⻑を⽀えてきた成熟企業∕中堅‧中⼩企業における事業承継をフックとした経営資源の再構築が必要であると考えています。 ビジネスを創り継ぐ「事業創継」という新しいコンセプトを提唱し、社会課題である事業承継問題に真摯に向き合うことで、様々な事業承継のケースを発信しています。 絶対解の存在しない事業承継において、受け継いだ経営者が事業を伸ばす きっかけとなる知⾒を集約していきます。

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