COLUMNコラム
2024.02.02
職人の待遇を上げないのは甘えだ/日本で初めて軍艦巻き導入、笠置シズ子や北大路魯山人が愛した寿司店「銀座 久兵衛」の戦略とは
歴代総理大臣が訪れ、食通として知られる北大路魯山人をもうならせた、寿司の名店「銀座 久兵衛」(本店・東京都中央区)。名店の事業承継から見える、経営戦略とブランドについて、2代目主人の今田洋介氏に聞いた。
目次
名店への経営戦略
東京銀座にあるお寿司屋「銀座 久兵衛」の2代目主人である今田洋介氏と対談をしました。創業90年近いこのお店は、歴代の総理大臣を含む著名人に愛され、食通で知られる北大路魯山人が認めた名店です。
今田氏は、幼い頃から家業を継ぐことを決意しており、小学校の作文で「寿司屋になる」と書いたことを明かしています。彼の父親であり、握り寿司の名人と言われた先代は、経営の不得手を感じ、当時20代前半の今田氏に経営を任せていたと語っています。
当初小さなお店だった「銀座 久兵衛」は、高度経済成長期においてホテルニューオータニ、ホテルオークラの2つの名門ホテルに支店を出すことに成功し、知名度を広めていきました。現在では銀座本店を含む7店舗があります。
職人を大切にしないのは甘え
事業拡大に伴い、今田氏は人材確保のために徒弟制度の廃止や職人の待遇向上に取り組んでいます。残業時間にも着目し、残業代の適正な支払いを行っています。その姿勢について、今田氏は「払うべきものは、払いなさい。払わないのは甘え」と厳しい言を述べています。
入山章栄・早稲田大学大学院教授は、今田氏の話に感心し、「職人を大事にしないのは、甘えているんだと、つまり職人の世界だけれど、きちんと経営として、甘えず厳しくやるということが、出来るからこそ銀座 久兵衛がここまでのブランドになったんでしょうね」と結論づけています。
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