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事業承継のかかるコストを削減! 「減資」の効果とデメリットを解説

事業承継を実施するにあたっては、費用を抑え、円滑に進行するために、さまざまな工夫をこらす企業も多いものです。事業承継にかかる費用を抑える取り組みの一つとして知られるのが「減資」です。本記事では、事業承継における減資の効果とデメリットを紹介します。

減資とは

減資とは、会社の資本金の額を減少させる手続きのことをいいます。その目的・メリットは大きく分けて「経営の立て直し」「株主への財産の払い戻し」「節税」の3つです。減資には「有償減資」と「無償減資」の2種類があります。その違いは「株主への払い戻しの有無」にあります。

有償減資とは

有償減資とは、株主への払戻を伴い、会社の財産が減少する減資のこと。実質的減資とも呼ばれます。有償減資のメリットは、「配当ができること」が挙げられます。利益が出なかった場合も、投資家に対して無配当とするのではなく、減資をして剰余金を作れば、その中から配当を行うことができます。

投資家との関係を良好に保つためにしばしば使われる手法です。一方、有償減資のデメリットは、会社の財産が減ってしまうこと。将来に向けての投資に使える財産が減ってしまい、会社としての成長が鈍化する可能性があります。

無償減資とは

無償減資とは、株主への払戻を伴わない、会社の財産が減少しない減資のこと。「形式的減資」とも呼ばれ、赤字企業が損失を補填するためにしばしば選ぶ手段です。無償減資のメリットは、「節税につながること」です。税制上、資本金が1億円を超えていない企業には、さまざまな優遇があります。資本金が1億円を超えている企業が無償減資を行い、資本金を1億円以下にすることで、そうした優遇を享受できます。

もう一つ、資金調達がしやすくなることも無償減資のメリットです。過去に大きな赤字が出てしまったり、赤字が続いたりすると、財務諸表に欠損金がたまっていきます。欠損金が多くたまってしまうと、金融機関からの融資が下りにくくなる恐れもあります。欠損金を消すには、黒字を出すか、資本金で補填するしかありません。無償減資によって欠損金を減らせば、資金調達が円滑に進み、経営の立て直しにつながるでしょう。

無償減資のデメリットは、信用低下につながりかねないこと。会社の信用力は、売上高や利益などのほかに、資本金の金額の大小によっても決まります。無償減資によって資本金額が小さくなれば、信用力が低下し、新規取引先の開拓に支障が出る可能性もあります。

事業承継と減資

次に、事業承継における減資の効果とデメリットについて紹介しましょう。

事業承継における減資の効果

資本金額を減らすことで、事業承継における優遇策、事業承継税制が適用となります。事業承継税制は、後継者に会社を承継する際、贈与税や相続税の支払いが免除される制度です。事業承継税制の適用には要件があり、そのうちの一つが「中小企業であること」。その基準は「資本金」と「社員数」です。

基準となる資本金額と社員数は、業種によって異なります。
・製造業その他:資本金3億円以下、又は従業員数300人以下
・製造業のうちゴム製品製造業:資本金3億円以下、又は従業員数900人以下
・卸売業:資本金1億円以下、又は従業員数100人以下
・小売業:資本金5000万円以下、又は従業員数50人以下
・サービス業:資本金5000万円以下、又は従業員数100人以下
・サービス業のうちソフトウェア業又は情報処理サービス業:資本金3億円以下、又は従業員数3300人以下
・サービス業のうち旅館業:資本金5000万円以下、又は従業員数200人以下

従業員数の多い企業であっても、減資によって資本金額を減らすことができれば、事業承継税制の適用が可能です。

事業承継税制の詳細はこちらの記事でご覧いただけます。
(事業承継で相続税が免除になる方法!――5分でわかる「事業承継税制」の仕組みとポイント)

事業承継における減資のデメリット

減資のデメリットは、先述の通り、信用力が低下しかねない点です。代表の交代によって、しばらくは会社の信用力が低下することもあるでしょう。そのうえ、さらに資本金額が小さくなれば、信用力がますます低下し、取引先・金融機関の開拓や関係維持に苦労するケースがあるかもしれません。

まとめ

事業承継における減資は、事業承継税制の適用につながるという大きなメリットがあります。その一方、信用力が低下しかねないことも忘れてはなりません。会社経営はやはり信用が第一。メリットとデメリットを考慮しながら、減資を実行するかどうか検討しましょう。

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賢者の選択 サクセッション編集部

賢者の選択サクセッションでは、⽇本経済の課題解決と発展のためには、ベンチャー企業の育成と併せて、これまでの⽇本の成⻑を⽀えてきた成熟企業∕中堅‧中⼩企業における事業承継をフックとした経営資源の再構築が必要であると考えています。 ビジネスを創り継ぐ「事業創継」という新しいコンセプトを提唱し、社会課題である事業承継問題に真摯に向き合うことで、様々な事業承継のケースを発信しています。 絶対解の存在しない事業承継において、受け継いだ経営者が事業を伸ばす きっかけとなる知⾒を集約していきます。

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