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事業承継、後継者不足の背景とその解決方法とは?

従来の経営者は親族が代々引き継ぐことが一般的でした。しかし、昨今は様々な要因から後継者が見つからず、廃業を余儀なくされるケースも目立ちます。なぜそのような事態になってしまうのか。その背景と解決策を解説します。

後継者不足は深刻化している

実際にどれくらい後継者不足が深刻化しているのか、株式会社帝国データバンクの『全国企業「後継者不在率」動向調査』(2021年)の結果から確認してみましょう。同資料によると調査を行った全国約26万6000社のうち、後継者が「いない」または「未定」と答えた企業は16万社に上りました。

全国の企業の約60%が後継者不在という状況なのです。さらに世代別の不在率を見ると、70代で37.0%、80代以上で29.4%となっています。つまり、すぐにでも事業継承しなければならない企業の3~4割が後継者不足に悩んでいるということです。

また、日本政策金融公庫の調査によると60歳以上の経営者のうち、50%強が将来的な廃業を予定し、そのうち「後継者不足」を理由とするものが約3割に達しています。

後継者不足の背景

では、なぜ後継者は不足しているのでしょうか。そのおもな理由として次の3つが考えられます。

1.少子高齢化
『2021年人口動態統計月報年計』(厚生労働省)によると、同年の出生数は81万1,604人で前年より2万9,231人減少し、過去最少となりました。また、一人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は1.30で6年連続で低下しています。一方で、高齢者(65歳以上)の人口は3,640万人と前年に比べ22万人増加し、過去最多となりました。このように少子高齢化が進む中、企業においても後継者となる子どもがいないケースが目立つようになりました。

2.親族内承継の減少
従来は子どもなどの親族が後継者になる親族内承継が一般的でした。しかし、昨今は子ども自身がやりたい仕事に就くことが珍しくなくなり、後継者不足につながっています。

3.将来の経営への不安
日本経済は長年に渡って低迷し続けています。将来に対して希望を持てない人も多いでしょう。それゆえ特に中小企業においては、経営を引き継ぎたくない、または引き継がせたくないというケースが増えています。

後継者不足の企業はどうすればいい?

後継者不足のおもな解決策として、まずは次の4つを検討してみましょう。

1.親族内承継
子どもなどの親族が後継者となる事業承継の方法です。中小企業庁の資料によると、日本の全事業者の99.7%は中小企業です。「親族内承継は減少している」と書きましたが、中小企業においては、まだまだこの方法がメインとなっています。経営者としては日々の業務で多忙かもしれませんが、まずは子どもや親族に後継者になる気はないのかしっかり確認してみましょう。

2.親族外承継
親族以外の役員や外部から招いた人を後継者とする方法です。この方法のメリットは、適性をしっかり見極めてから実行できるという点。一方で自社株譲渡などが障害になりがちなので、事前の準備が重要になります。

3.M&A
自社株を外部の法人や経営者へ譲渡する事業継承方法です。M&Aを専門に扱う仲介会社も存在するので比較的容易に事業承継ができます。だたし、買い手にとって価値ある企業でなければ契約は成立しません。

4.廃業
上記3つの方法が不可能な場合は、廃業という手段を取らざるを得ません。この際、従業員の再就職先を確保するなど円満な廃業を目指すようにしましょう。

後継者をしっかり育成できる準備期間の確保を

上記のいずれの方法でも成功させるには、ある程度の時間がかかります。また、子どもが後継者となった場合は、自社株に対する相続税対策として、相続する3年前から業績の調整等が必要になります。このようなことから、事業継承の準備期間は10年程度が望ましいとされています。

まとめ

「自分はまだまだ若い」と思っていても、事業承継しなければならない時期は必ず来ます。そのとき後悔しないために後継者探しは早すぎて損をすることはありません。後継者不在の企業は、早めに準備を開始してベストな承継を目指しましょう。

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賢者の選択 サクセッション編集部

賢者の選択サクセッションでは、⽇本経済の課題解決と発展のためには、ベンチャー企業の育成と併せて、これまでの⽇本の成⻑を⽀えてきた成熟企業∕中堅‧中⼩企業における事業承継をフックとした経営資源の再構築が必要であると考えています。 ビジネスを創り継ぐ「事業創継」という新しいコンセプトを提唱し、社会課題である事業承継問題に真摯に向き合うことで、様々な事業承継のケースを発信しています。 絶対解の存在しない事業承継において、受け継いだ経営者が事業を伸ばす きっかけとなる知⾒を集約していきます。

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