COLUMNコラム
事業承継の流れを7つのステップで解説!
先代から後継者へと、経営のバトンを渡す「事業承継」。ほとんどの人は一生に一度しか経験しないため、初めてのことばかりで戸惑ったり、失敗したりすることも多いものです。 本記事では、事業承継を円滑に進めるための流れについて紹介します。
目次
事業承継の流れ
事業承継の流れを、7つのステップに分けて見ていきましょう。
ステップ①「自社の現状を整理する」
「事業承継をしよう」と決意してまずやるべきことは、自社の現状把握です。
・自社の経営状況は?
・現在直面している課題、解決すべき課題は何か?
・内部環境は?
・外部環境は?
・今後、どのくらいの成長が見込めそうか?
主に以上の5点から、自社の現状を整理しましょう。
「日々経営しているのだから、現状も課題もしっかり見えている」と思うかもしれません。ですが、事業承継という軸を立てることで、また違ったものが見えてくる可能性があります。
なお、ここでは、「頭の中で考える」のではなく「紙や文書作成ツールに書き出す」方法を取るのがおすすめです。書き出しているうちに、芋づる式に発想が展開し、思いもよらぬ結論が出るかもしれません。
ここできちんと現状を見つめることで、自身の理解が深まるだけでなく、後継者選びや育成にも役立ちます。後継者へ引き継いだ後の方向性を示せるよう、きちんと言語化しておきましょう。
ステップ②「後継者候補を選定する」
自社の現状把握ができたら、そこで把握した課題などをもとに後継者候補を選定します。
事業承継は、後継対象別に3つのパターンがあります。
・親族承継(親族内承継)
日本の中小企業でよく見られる、事業を親族に承継するケースです。具体的には、現経営者の配偶者や子、孫、甥、姪などに承継させます。後継者選択の幅は限られますが、親族の中に経営適性と承継の意思を持った人材が見つかれば、この承継を選ぶ企業は多いものです。
親族承継のメリットやデメリットについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
(「大切な事業を親族へ!「親族承継」のメリット・デメリットと手順」)
・親族外承継(従業員承継)
親族外承継(従業員承継)は、役員や従業員に会社を任せるケースです。既にともに働いており、適性のある人に承継できるため、育成期間を短縮できます。
(「後継者不在を解決!「親族外承継」のメリット・デメリットと手順」)
・第三者承継(M&Aなど)
親族でも従業員でもない、まったくの第三者に事業承継するケース。近年、後継者不足により、第三者承継を選ぶ中小企業が増えています。
第三者承継(M&A)のメリットやデメリットについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
ステップ③「経営改善に着手する」
見過ごされがちですが、非常に重要なのが「経営改善」のステップです。
昨今の後継者不足の大きな原因として、後継者候補が、事業の将来に希望を持てないことが挙げられます。優秀な人材であればあるほど、引き継ぐ事業のネガティブな将来が見えてしまい、事業承継をためらってしまうのです。
後継者に喜んで承継してもらうために、まずは経営改善に着手し、自社の経営を安定させましょう。明るい未来のある事業であれば、後継者のモチベーションも大きくアップするはずです。
ステップ④「事業承継計画を立てる」
「いつ」「なにを」「誰に」「どのように」承継するのかを整理し、言語化しましょう。ここがクリアになっていないと、いつまで経っても事業承継に着手できません。
ステップ⑤「後継者候補に承継を打診する」
ここまで来て初めて、後継者候補に承継を打診します。ステップ①と④で言語化した「自社の現状」と「事業承継計画」をもとに、「いつ」「なにを」「どのように」承継したいのかを話します。
なお、ここで最も重要なのは、「なぜあなたに後継者になってほしいか」と明確に伝えること。「なぜ自分に?」という疑問を抱いたまま、事業承継を進められる後継者はいません。「あなたにはこんな強みがあると思ったから」「あなたなら自社を理想的な方向に導いてくれると思ったから」などと、日ごろの感謝を交えつつ、丁寧に伝えるようにしてください。
ステップ⑥「後継者候補を育成する」
後継者からイエスをもらえたら、育成に入ります。
従業員でない親族の場合は、このタイミングで自社に参画してもらい、OJTを行うとよいでしょう。ゆっくりと時間をかけて、経営に必要な知識やスキルはもちろん、自社ならではのノウハウや自社の理念も継承します。
ステップ⑦「事業承継にかかる資金について、対策を講じる」
事業承継のネックとなりがちなのが「資金」。後継者は、相続税や贈与税、自社株の取得資金などを支払うことになります。
後継者の負担を最大限軽減できるよう、専門家に相談しつつ対策を講じましょう。
相続税と贈与税が猶予または免除になる「事業承継税制」については、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
(「事業承継で相続税が免除になる方法!――5分でわかる「事業承継税制」の仕組みとポイント」)
まとめ
経営者が取り組むべき事業承継の流れは大きく分けて7つにまとめられます。時には専門家のアドバイスを仰ぎつつ、計画立ててしっかり取り組みましょう。
なお、事業承継が完了した後は「口を出さないこと」がポイント。後継者を信じて任せることが、後継者のポテンシャルを引き出し、自社を成長させることにつながります。
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