COLUMNコラム
新規事業立ち上げに役立つ融資、資金調達方法を紹介
「新規事業に取り組みたいけれど、自己資金のみでは不安」といった経営者は多いでしょう。新規事業を立ち上げる場合は、創業資金の確保が重要です。創業期から軌道に乗った事業経営をするために、資金調達には融資制度の利用がおすすめです。この記事では、新規事業立ち上げに利用できる融資の種類や資金調達方法、融資・資金調達における注意点などを解説します。
目次
新規事業立ち上げについて
近年、事業承継先が見つからず廃業となる中小企業の経営者が増えています。
日本の多くの企業は中小企業であるため、廃業に追い込まれないよう事業承継と新規事業の立ち上げが必要となっているのです。
ここでは新規事業立ち上げに必要な要素から資金面の確保について解説します。
新規事業立ち上げに必要な要素
新規事業立ち上げに必要な要素は、経営資源である「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の4つに分類されます。経営資源を適切に活用できれば、新規事業を立ち上げる際に問題が起こるリスクを下げられると言われています。
経営資源の4要素に考えられる課題と解決策の例は、以下の通りです。
・ヒト
課題:どんなスキルを持った人材に仕事を任せるべきか
解決策:新規事業に必要なスキルは何かを検討し、社内の各部署が既存事業にどのような働きをしているかを明らかにする
・モノ
課題:今まで習得したスキルや資源の活用方法が分からない
解決策:社内の強みになりそうなスキル・資源に注目し、それらの具体的な内容を見極めて市場性を明確にする
・カネ
課題:資金不足
解決策:既存事業の知識・技術を活かし、必要な資金を抑える
・情報
課題:フレームワーク・プロセスの選択方法が分からない
解決策:事業の成功または修正が必要かを見極めて軌道修正を繰り返す「リーンスタートアップ方式」を活用する
新規事業の立ち上げに要する資金面の確保について
新規事業を立ち上げ、創業期から軌道に乗った経営をするためには、資金の確保が重要です。
受けられる融資の種類や特徴、注意点などを把握し、円滑な事業経営を目指しましょう。
ここでは、新規事業立ち上げに利用できる融資や資金調達方法、資金確保における注意点を解説します。
新規事業立ち上げに利用できる融資
新規事業立ち上げに利用できる融資は「公庫融資」「制度融資」「銀行融資」「信用金庫」「マル経融資」の5つの方法があります。
・公庫融資
日本政策金融公庫では、起業者は国民生活事業の「新創業融資制度」に申し込めます。
起業前から申し込めたり、無担保・無保証人で融資を受けられたりするなどのメリットがあります。一方、融資を受けると金利が発生するため注意が必要です。
・制度融資
制度融資は、民間金融機関の貸付に信用保証協会からの保証が付くことで、起業者にとって融資が受けられる可能性が高くなる融資方法です。
行政が保証料や利息を一部負担する地域もあるため、地域の信用保証協会に確認してみましょう。
・銀行
銀行から資金を借りる融資方法です。
起業直後は信用や実績が無いため、大手銀行からの融資はほとんど受けられません。
しかし、地方銀行であれば対応してもらえるケースもあるようです。
・信用金庫
信用金庫から資金を借りる融資方法です。
銀行と比べて融資の難易度は低い傾向にありますが、起業したばかりの時期にはあまり選択されません。
・マル経融資
商工会議所の推薦に基づき利用できる融資制度です。
低金利のため借り換えが可能ですが、事業実績が1年以上必要であるため、起業後すぐには利用できません。
新規事業立ち上げ時の資金調達方法
新規事業立ち上げ時の資金調達方法は、主に「日本政策金融公庫」と「制度融資」を選択します。
銀行などの民間金融機関の場合、新規事業を立ち上げたばかりの会社に融資をするケースはほとんどありません。よって起業時の資金調達は、公的金融機関からの融資を検討すると良いでしょう。
日本政策金融公庫は、日本の小規模事業者や中小企業を支援する政府公認の政策金融機関です。日本政策金融公庫の制度には、無担保・無保証人で最大3,000万円の融資をする「新創業融資制度」を設けています。
また、地方自治体による制度融資は、都道府県や市町村などの地方自治体・金融機関・信用保証協会の3つの機関が連携して提供する融資制度です。制度融資を選択するメリットとして、信用保証協会からの保証があることにより金融機関は融資をスムーズに行え、審査に通る可能性が高くなることが挙げられます。
なお、日本政策金融公庫は制度融資よりも金利が高くなる場合が多くあることには注意が必要です。
一方、制度融資は連帯保証人が必要となったり融資の実行に時間がかかったりするケースがあるため、それぞれのメリット・デメリットを考慮することが重要です。
融資・資金調達における注意点
ここでは、融資・資金調達における注意点を3つ紹介します。
①融資を受けるためには、審査に通過しなければならない
公的金融機関・民間金融機関にかかわらず、どの融資も審査は必ず行われます。審査に通らなければ、融資は受けられません。
具体的な審査基準は公表されていませんが、日本政策金融公庫の公式サイトでは「自己資金の準備のみならず創業計画をしっかり立てているか」なども重要であると記載されています。
受けたい融資の募集要項などから審査内容を推測し、審査通過のための計画を立てておくことが大切です。
②必ずしも希望額で融資を受けられるわけではない
融資を申し込む際は融資希望額を記入しますが、審査状況によっては希望した額で融資が受けられないケースもあります。
希望額で融資を受けられないことも想定して、事業に必要な自己資金を準備することが大切でしょう。
③返済が負担になり、思い通りに事業展開できない恐れがある
借り入れたお金は利息とともに返済しなければなりませんが、返済額や返済期間によっては経営状況が厳しくなり、思い通りに事業展開ができない場合もあるでしょう。
起業時に受けられる融資額を確認するだけでなく、返済シミュレーションなどを活用し毎月無理なく返済できるよう計画を立てておきましょう。
まとめ
新規事業立ち上げ時に利用可能な融資はさまざまありますが、日本政策金融公庫や制度融資などの公的金融機関を利用するケースが多くあります。しかし、融資を受けるためには審査が必要であり、必ずしも希望額の融資を受けられるわけではありません。新規事業を創業期に軌道に乗せるためには、融資などで十分な資金調達が行えていることが重要です。
過去記事では、新規事業のさまざまなことについて解説しているので、ぜひご参照ください。
(「新規事業のアイデアを解説! 国内外の具体例もご紹介」)
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