COLUMNコラム
個人事業主は税対策が重要!税制と事業承継手続きのポイントを解説
近年、働き方の多様性が求められ、従来の終身雇用から個人事業主やフリーランスといったフレキシブルな働き方が注目を集めています。
こうした働き方は、柔軟に仕事のスケジュールやスタイルを調整できる魅力がありますが、一方で手続きを間違えてしまうと納税額が大きく増加する可能性も潜んでいます。
この記事では、法人と個人事業主の違いは何か、個人事業主が事業承継で引き継ぐもの、事業承継の流れについて解説します。
目次
法人と個人事業主の違いとは
法人とは、株式会社や社団法人、財団法人など、事業を目的にして法的に設立された組織のことです。
そのため、経営に関わるものはすべて法人に属しており、経営者が交代しても、経営の権利はそのまま継承することが可能です。
それに対して、個人事業主は個人で事業を営む人のことを指します。
経営に関わるものは個人が持っているため、経営者が変わると新しい人が最初から手続きを進めなければいけません。
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個人事業主が事業承継で引き継ぐもの
個人事業主の後継者が事業承継によって引き継ぐものは以下の3つになります。
「経営権」
個人事業は、法人とは異なり、株式を譲渡して経営権を引き継ぐことはできません。
代わりに、現経営者が事業を終了する手続きを行い、その後、顧客や資産などを引き継ぐ形で事業を継承します。
「経営資源」
経営資源は、収益を生み出すための無形の要素であり、これには顧客、技術、ノウハウ、信用、従業員、屋号などが含まれます。
物理的ではありませんが非常に重要な資産のため、これらを引き継ぐ作業は簡単ではなく、時間をかけて丁寧に継承する必要があります。
「物的資産」
個人が所有する物的な資産(不動産、設備、備品)のことを指します。
これらの固定資産の引き継ぎには、贈与税や相続税などの課税が発生する可能性があります。そのため、適切な対策が必要です。
また、そのほかに、金融的な取引(売掛金、借入金)などの債権債務もビジネス活動において重要とされています。
個人事業主が事業承継を行う2つの方法
個人事業主の事業承継には、「贈与」と「相続」の2つの手段があります。
継承方法により国へ納める税金も異なるため、事前に理解しておくことが重要です。
「贈与」
「贈与」は、事業資産を無償で後継者に引き継ぐ手法です。この方法では後継者に贈与税の納税が発生するため、十分な資金の用意や準備が必要です。
「相続」
個人事業主が亡くなることによって事業資産を引き継ぐ方法です。
後継者には相続税がかかり、その金額やルールは国や地域によって異なります。
したがって、後継者が一人だと他の相続人からの不満が出ることもあるので、生前に遺言書を残すなどの準備が必要不可欠です。
事業承継の流れ
個人事業主が事業承継を行う際の基本的な流れをご紹介します。
1. 後継者選び
贈与や相続の際には、後継者をどのように選ぶかが重要です。親族が後継者となる場合を「親族内承継」と呼び、子供などの家族が事業を引き継ぐことが含まれます。一方で、親族以外の役員や外部から招いた人が後継者となる場合を「親族外承継」と言います。
適性と意欲を評価し、法的・財務的なアドバイスを得つつ、後継者を慎重に選定することが大切でしょう。
2. 後継者への引き継ぎ・教育
後継者へのスキル・知識伝達にはメンターシップが重要です。
また、情報整理・法的対応・資料整理も欠かせません。
取引先挨拶は、事業継承後も信頼構築の鍵となるため、パートナーシップを継続する上で必要不可欠です。
3. 廃業・開業手続き
個人事業主が事業を終了する際には、「個人事業の廃業届出書」を税務署に提出する必要があります。免税事業者でない場合は、「事業廃止届出書」を提出することが求められます。また、廃業後に青色申告を続けない場合は、「所得税の青色申告の取りやめ届出書」も提出が必要です。
また、開業手続きとは、後継者が税務署に「個人事業主の開業届出書」を提出し、屋号を引き継ぐなら詳細も明記します。
青色申告をする場合は、「所得税の青色申告承認申請書」の提出が必要であり、原則として事業開始日から2カ月以内に行われることが求められています。
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活用できる税制のポイント
事業承継時の税金には「贈与税」「相続税」「所得税」がかかります。
引き継いだ資産が現金でない場合、納税に困ることもあるでしょう。
そんなときに知っておきたいのが「個人版事業承継税制」と「小規模宅地等の特例」です。これらを活用すると、納税負担を軽減して円滑な承継が可能となります。
「個人版事業承継税制」
個人事業主が経営していた事業を引き継ぐ際の税金のルールです。
例えば、引き継ぐ人が事業を続けることや雇用を守ることなど一定の条件を満たすと、スムーズな事業引継ぎが可能となり、負担が軽減されるという利点があります。
「小規模宅地等の特例」
小規模な土地や宅地に関する税金のルールです。
土地が一定の条件を満たすと、贈与や相続に伴う税金が軽減されます。
この特例を活用することで、事業における土地の評価額が削減され、税金の負担が軽減されるというメリットがあります。
ただし、他の税制措置との併用はできませんので、戦略的な活用が求められます。
まとめ
本記事では、個人事業主の税制上の留意点と事業承継の手続きのポイントを解説しました。事業承継の手続きは容易ではなく、多くの落とし穴が潜んでいます。そのため、税理士などの専門家のサポートを受けることもおすすめです。
過去記事では事業承継のさまざまな不安や問題を解決する事業承継センターについても詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
「事業承継センターとは?支援内容や事業承継事例を紹介」はこちら
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