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事業承継計画書にはなにを書く? 記載する内容は? メリットを解説!
事業承継を行う際は、計画書を作成することをおすすめします。計画書は公的な場所に提出するものではありませんが、作成しておくと円滑に事業承継を進めることが可能です。事業承継を失敗させないためにも、面倒であっても作成しておくと良いでしょう。
では、事業承継計画書とはどのようなものでしょうか。
この記事では、事業承継計画書に関する事柄を解説します。
目次
事業承継計画書とは
事業承継計画書とは、事業の課題や現状の把握、後継者の選定や時期を記したものです。事業承継に関することを一つにまとめたもので、承継をスムーズに運ぶためになくてはならないものと言えます。最近では中小企業庁が作成を推進しています。
事業承継計画表とは違う?
「事業承継計画書」は、事業承継に関する内容をまとめたものです。経営者や後継者が誰なのか、準備が必要なことはなにかなどを記載しておきます。実態に即した事柄を書いておくことが特徴です。
一方「事業承継計画表」は、1年単位で今後の予定を記すものです。事業承継をするまでに、経営者がどうなっていくのか、会社をどうしていくのかなどを書いておきます。「事業承継計画表」は事業承継が進むにつれ、適宜変更していくことになるものです。
計画書に記載する内容
まずは「前提状況」を書きます。前提状況は会社の概要、承継の予定時期、親族関係の話を記載するところです。
「会社の概要」には資本金や従業員数から企業の経緯までを書いておき、後継者に会社の現状を伝える目的があります。
「承継の予定時期」は事業承継を行うときの経営者の年齢や、株式譲渡のタイミングを記載します。
そして「親族関係」では、法定相続人の人間関係のほか、後継者への株式譲渡に関するものを書いておくことが望ましいでしょう。株式を譲渡する場合、後継の社長一人に集中することが一般的ですが、相続の大半が株式の場合は、ほかの相続人に株式を渡す配慮も必要になるかもしれません。
「前提状況」を書き終えたら、次は「経営者の考え」を書いておきましょう。会社に対する思いや経営理念などを、背景も交えて書くと後継者に伝わりやすくなります。理念などが伝わらないと企業が変質していき、最悪の場合、倒産リスクもあります。経営に関する心構えなどもあわせて具体的に書いておきましょう。
さらに「中期経営計画」も後継者に伝えます。現状分析はフレームワークを用いて行い、その結果を記載します。さらに会社の課題や強みを設定し、後継者にわかりやすい形で残しておくと良いでしょう。
中長期的な計画は現状分析のあとに、業界がどのように変化するかを把握したうえで、利益等の数値を設定します。経営の方向性なども書いておくと、後継者が迷うことなく経営を進める指針となるかもしれません。
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事業承継計画書を作成するメリット
事業承継計画書は、必ず作成しなければならないものではありません。しかし作っておいた方が事業承継をスムーズに進められます。ここでは事業承継計画書を作成するメリットについて解説します。
進捗の把握ができる
「事業承継計画書」には、細かいスケジュールや事業承継に向けてやるべきことを記載します。そのため、事業承継の進捗状況を、詳しく把握することが可能です。計画を立てて進めなければ、事業承継は行きづまるかもしれません。
会社の現状を確認できる
会社がいまどういう状況にあるのかを詳しく知るためにも、「事業承継計画書」は大事です。後継者に伝えるために詳細を書くことで、客観的な視点で現状を見つめることができるでしょう。後継者に譲り渡したあとの会社のことだけではなく、現状の会社の方向性なども新たに見直して、改善するきっかけになるかもしれません。
認識をすり合わせられる
「事業承継計画書」は一人で作るものではありません。後継者に関する事柄も書くため、後継者と一緒に作成します。時には現在の経営者と後継者が思い描くビジョンが違うこともあるでしょう。そのようなとき、「事業承継計画書」を一緒に作成することで、会社の方向性について認識のすり合わせが可能となります。
信頼や協力を得やすくなる
事業承継をするにあたっては、従業員をはじめとして金融会社や法律関係の職務についている方など、さまざまな人と関わることになります。「事業承継計画書」を作成して共有することで、協力をしてもらいやすくなるでしょう。
事業承継計画書作成の流れ
「事業承継計画書」を作るにあたって、何から始めたら良いのでしょうか。ここからは「事業承継計画書」を作成する流れについて紹介します。
現状を把握する
自社の現状を把握するところから計画書づくりは始まります。経営がどの程度のレベルにあるのか、経営資源はどのくらいなのか、また経営者の資産についても正確に把握し、書き記しましょう。
関係者の意思確認・後継者の確定
関係者や事業承継に関する意思を確認して、本格的に計画を進めても良いか決定します。このとき、関係者以外にも幹部役員や家族にも意思を確認しておくと良いでしょう。
現状把握から関係者への意思確認の間に、後継者を誰にするかもリストアップし、関係者の意見も取り入れて最終的に確定させておきます。
事業承継計画書の作成
準備が整ったら、いよいよ作成を開始します。「事業承継計画書」には、決まったフォーマットがあるわけではありません。ただしインターネット上には書式のダウンロードができる場所もあるため、何を書くべきかわからない方は、そちらを利用することもおすすめです。
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まとめ
「事業承継計画書」は絶対作成しなければならないものではありませんが、なるべく作成して事業承継をスムーズに進めるために必要です。関係する人や機関などと連携をとって計画書を作成し、事業承継を進める準備をしてみてください。
過去の記事では事業承継のやることチェックリストについて解説しています。あわせてご覧ください。
「事業承継、「やることチェックリスト」を公開!」はこちら
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