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事業承継を円滑に進めるには会社法の活用が大事! メリットとおもな活用方法を紹介!

事業承継を円滑に進める方法の一つが「会社法の活用」です。会社法には会社運営全般の規約が書かれており、事業承継に役立つ制度もいくつか設けられています。今回は、会社法活用のメリットと方法について紹介します。

「会社法」の内容とメリットを理解しよう!

事業承継を行う際に関わってくる法律は「会社法・民法・税法」の3種類です。なかでも会社法には会社運営の規定が書かれており、事業譲渡・株式譲渡といった承継方法の要件・規約も定められています。事業承継を円滑に進めるには、会社法にもとづいた手続きが欠かせません。では、会社法の内容と活用メリットについて解説します。

事業承継に関する会社法の内容

会社法は、時代の流れに沿って規則の改正・追加が行われてきました。なかでも、事業継承に関するおもな内容は以下の通りです。

・さまざまな種類株式が発行できるようになった(108条)
・自己株式の取得制限が大幅に緩和された(156条)
・相続による株式移転の制限ができるようになった(174条)
・現物出資、債務の株式化が可能になった(236条)
・事業譲渡の要件が緩和された(467条)

なかでも種類株式については後ほど紹介します。

会社法を活用する3つのメリット

会社法の規定内容をもとに株式譲渡の方法を工夫することで、さまざまなメリットが得られます。具体的には以下の3つです。

1.株式の分散を防げる
2.相続トラブルを回避できる
3.安定した経営を続けられる

先述した通り、株式の保有割合が経営権に関係します。そのため、株式が分散すると拒否権・支配権をもつ株主が現れ、経営が不安定になってしまう可能性があります。場合によっては、経営権をめぐり、相続時には相続人同士のトラブルに発展する事例も珍しくありません。ですが会社法の制度を活用すれば、これら3つのリスクを回避できます。具体的な活用方法については次項で紹介します。

会社法のおもな活用方法

事業承継における会社法の活用方法を4つ紹介します。

分散した株式を買い取る(第174条)

買取に賛同する人たち3分の2以上の議決権をもつ場合は、相手の同意がなくても、分散した株式を強制的に買い取ることができます。

株式譲渡制限条項を設置する(第2条)

株式は原則として自由に譲渡可能なので、所有関係が複雑になったり望ましくない人が経営に関与したりするリスクがあります。ですが譲渡による株式取得について、株式会社の承認を要することを定めた「株式譲渡制限条項」を活用すれば、譲渡・売却行為を制限できます。

売渡請求条項を設置する(第174条)

「売渡請求制度」とは、株主の相続・合併など株式の譲渡制限をかけられない場合に、会社に対して株式を売り渡す請求ができる制度です。これを定款に定めておけば、相続人が会社にとって好ましくない場合、会社の株式を強制的に買い取れます。

種類株式を発行する(第108条)

一般的な普通株式とは別に、会社法では目的に応じて9つの種類株式を発行できます。なかでも事業承継では「議決権制限株式・譲渡制限株式・拒否権付株式」の3種類が多く活用され、株式の分散防止や経営権の継続が図れます。詳しくは以下の記事でご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
「相続時には注意が必要!大きな権利を持つ黄金株」はこちら

まとめ

事業承継を行う際の要件・規約を含めて、会社運営全体について書かれているのが「会社法」です。事業承継で会社法を活用すれば、株式の分散や相続トラブルの防止につながり、安定した経営を続けられます。今回紹介した活用方法をはじめ、いつ・誰に・どんな方法で承継するのかを事前に計画しましょう。

なお、事業承継時に準備すべきことは以下の記事にまとめて紹介しているので、ぜひお役立てください。
「事業承継、『やることチェックリスト』を公開!」はこちら

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賢者の選択 サクセッション編集部

賢者の選択サクセッションでは、⽇本経済の課題解決と発展のためには、ベンチャー企業の育成と併せて、これまでの⽇本の成⻑を⽀えてきた成熟企業∕中堅‧中⼩企業における事業承継をフックとした経営資源の再構築が必要であると考えています。 ビジネスを創り継ぐ「事業創継」という新しいコンセプトを提唱し、社会課題である事業承継問題に真摯に向き合うことで、様々な事業承継のケースを発信しています。 絶対解の存在しない事業承継において、受け継いだ経営者が事業を伸ばす きっかけとなる知⾒を集約していきます。

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